マネーフォワード大幅安

日本の株式市場全体が大きく下落

2018年は日本の株式市場全体が大きく下落した年となった。

特に、「グロース株」と呼ばれる高成長企業の株はひときわ大きく売られた。

TOPIX(東証1部株価指数)の年間騰落率-18%に対し、東証マザーズ指数は倍近くの-34%

なかには株価が年内ピーク時の半分近くまで下落した銘柄もある。

個人向け家計簿アプリで有名なマネーフォワードもそのうちの1つだ。

マネーフォワードは2017年9月に東証マザーズに上場して以降、黒字には至っていないものの年々急速に売上高を伸ばしてきた。

数年~数十年後に多額の利益計上が期待されている企業だ。

マネーフォワードの株価は2018年3月に6,380円の高値を付けたものの、その後は弱い値動きが続き、12月には2,639円の安値を付けるまで売られた

米国・中国間の貿易摩擦による世界経済見通しの悪化を受けて、投資家のリスク選好姿勢が軟化したことなどが背景として考えられる。

しかし、とりわけマネーフォワードのようなグロース株にとっては、米国での金利引き上げが非常に強く影響したと考えている


≪画像元:マネーフォワード

証券の現在価値と金利の関係

株式といった証券の現時点における価値と金利の関係

初めに、株式といった証券の現時点における価値と金利の関係を説明する。

証券の現在価値は、将来の各期の利益をそれぞれ一定率(金利にリスクプレミアムを乗せた値)で割り引いたものの合計値として計算される。

これだけでは非常にわかりにくいので、以下に簡単な例を示した。

【証券A】
将来確実に受け取る利益  :1万円
受け取る時期       :1年後に1回のみ
現在の国債利回り(金利) :1%

このような証券があったとする。

この証券の現時点の価値は9,901円となる。

これは「今9,901円あれば、国債に投資することで1年後に確実に1万円を受け取れる」という理屈に基づいて計算される。

では、金融政策の影響で国債利回りが拡大したらどうなるだろう?

【証券B】
将来確実に受け取る利益  :1万円
受け取る時期       :1年後に1回のみ
現在の国債利回り(金利) :3% ※1%→3%

この場合、現時点の価値は9,709円となる。

利回り1%の時と比べて現在価値は192円分下落した。

これは国債の1年間の期待リターンが3%に上がったことで、1年後に1万円を受け取るために現時点で必要とされる投資資金が減ったためだ。

では、1万円を受け取るタイミングが1年遅くなった場合はどうだろう?

【証券C】
将来確実に受け取る利益  :1万円
受け取る時期       :2年後に1回のみ ※1年後→2年後
現在の国債利回り(金利) :1%

この場合、現時点の価値は9,803円となる。

これは「今9,803円あれば、国債に投資することで2年後(年率1%リターン)に確実に1万円を受け取れる」という理屈が背景にあるためだ。

ちなみに受け取る時期が10年後となった場合の現在価値は9,053円まで下がる。

多少わかりづらい例だったかもしれないが、ここで肝に銘じたいのは「金利が上がる」「利益を受け取る時期が遠ざかる」と、証券の現在価値は下がるということだ。

グロース株は金利上昇の影響を強く受ける


ここで株式の話に戻る。

株式を保有することで受け取る利益は、基本的に各期の配当だ。

前述の話を重ねると、1年後の配当と10年後の配当では、現在の価値に換算した時の割り引き度合いが大きく違う

20年後であればさらに大幅に割り引かれる。

これを、マネーフォワードなどのグロース株に当てはめるとどのように考えられるだろうか?

グロース株とは業績の高成長が期待されている銘柄だ。

なかには短・中期的に損失を計上し、より先の未来で大きな収益を上げようとする企業もある。

だとすると、こうした企業の投資家が得る利益は遠い未来になるにつれて増えることになる。

ここに、グロース株が金利上昇の影響を強く受ける理由がある。

前述したように、証券の現在価値は「金利が上がる」「利益を受け取る時期が遠ざかる」と下がる

ただでさえ米国の金利上昇を受けて株式が全般的に売られやすい中、グロース株は利益計上タイミングの早い/遅いによる影響も重ねて受けることになる

グロース株の中には売上高の規模が小さい上に海外展開していない銘柄も多く、こうした銘柄の投資家の中には「海外のマクロ経済情勢を意識したって意味はない」と考える人も一定割合いると思われる。

しかし、各国の金利は世界主要国の経済情勢や金融政策に大きく影響を受けるグローバルな要素だ。

グロース株投資家としても、このリスクは無視してはいけない。(執筆者:高橋 清志)