【退職後の健康保険】4つの選択肢から何を選べばいい? 保険料、保険給付、保健事業という点から比較検討してみます。

会社員の方が加入する健康保険は、健康保険組合が運営している「組合健保」と、全国健康保険協会が運営している「協会けんぽ」の、2種類に分かれております。

前者には大企業の従業員とその被扶養者が、後者には中小企業の従業員とその被扶養者が、主に加入しております。

これらに被保険者として加入できるのは、退職するまでになりますので、退職した後は次の3つの選択肢の中から、新たに加入する健康保険を選択する必要があります

(1)市区町村と都道府県が運営している、公営の国民健康保険
(以下では「公営国保」で記述)に加入する

(2)退職する前に加入していた健康保険(組合健保と協会けんぽのいずれでも良い)の、任意継続被保険者になる

(3)家族が加入する健康保険の被扶養者になる

現在は、病気やケガをした時に受給できる保険給付にほとんど差がないため、それぞれの保険料を比較して、もっとも保険料の安いものを、選択する場合が多いようです。

ただ組合健保については、法定給付の上乗せとなる「付加給付」、人間ドックの受診補助や、格安で利用できる保養所の運営などの「保健事業」を、実施している場合があります。

そのため他の選択肢より保険料が高くなったとしても、組合健保の任意継続被保険者を選択する方がいるようです。

退職後の健康保険

退職後に収入が下がったら、任意継続被保険者から公営国保に変える

給料が下がったら、任意継続被保険者から公営国保に変える

このように新たに加入する健康保険を選択する際には、

保険料、保険給付、保健事業という3つの点を比較

してみるのですが、タイミングも大切だと思います。

例えば退職する前に加入していた健康保険の、任意継続被保険者になりたいという場合には、健康保険の資格喪失日(原則として退職日の翌日)から20日以内に、手続きを済ませる必要があります。

もしこのタイミングを逃してしまったら、任意継続被保険者を選択できなくなります

また例えば退職した直後は、公営国保より任意継続被保険者の方が、保険料が安かったとしても、公営国保は前年の所得を元に保険料を決定するため、退職後に収入が下がった場合には、公営国保の方が任意継続被保険者より、保険料が安くなる場合があります

ですから退職して1年くらいが経過したタイミングで、住所地の市区町村に公営国保の保険料を試算してもらい、これが任意継続被保険者の保険料より安くなっていたら、加入する健康保険を切り替えます

なお任意継続被保険者を選択したら、2年間は止められないと思っている方がいるようですが、10日の納付期限までに保険料を納付しなければ、任意継続被保険者の資格を喪失するため、意図的に保険料を納付しなければ、いつでも止められます。

このようにして任意継続被保険者の資格を喪失した後に、公営国保に加入すれば、加入する健康保険を切り替えられます。

小規模の個人事業を始めた場合、組合国保に加入できる場合がある

組合国保に加入できる場合がある

退職後の健康保険の選択肢は、一般的には上記の(1)から(3)になりますが、第4の選択肢として、国民健康保険組合が運営している国民健康保険、いわゆる「組合国保」を紹介している本やウェブサイトがあります。

この理由として公営国保は、前年の所得を元に保険料を決定しますが、組合国保の保険料は定額の場合が多いため、収入によっては公営国保より組合国保の方が、保険料が安くなる場合があるからです。

また保険給付や保健事業を比較してみると、公営国保より組合国保の方が、充実している場合が多いからです。

ただ組合国保に加入するためには、医師、薬剤師、弁護士、理美容師、食品販売業、土木建築業などの特定の職種や業務に従事しており、かつ組合国保が定める地域に住んでいる必要があります。

組合国保に加入できる職種や業務については、一般社団法人全国国民健康保険組合協会のウェブサイトの中にある、国民健康保険組合へのリンク[業種選択]というページを見ると、ある程度の目安がわかります。

また加入できる要件を満たしても、株式会社などの法人事業所や、常時5人以上の従業員を雇用している個人事業所は、社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入する必要があるため、そこで働く方は原則的に組合国保に加入できません。

そうなると組合国保に加入できるのは、例えば退職後に小規模の個人事業を始め、その個人事業に関連した国民健康保険組合が設立されている個人事業主と、その家族や従業員になります。

組合国保の保険料が定額なのは、メリットでありデメリットでもある

組合国保に加入できる要件を満たしていたら、保険料、保険給付、保健事業という3つの点を、公営国保と比較してみます。

その結果、公営国保よりメリットがあると思ったら、組合国保への加入を検討してみます

ただ特定の業界団体に所属していないと、組合国保に加入できない場合があり、そういったケースでは業界団体の会費などの負担も考慮する必要があります。

また組合国保の保険料が定額の場合には、収入が上がっても保険料は高くなりません。

これは大きなメリットだと思うのですが、収入が下がっても保険料は安くならないため、デメリットにもなります

ですから組合国保に加入するのは退職直後ではなく、個人事業が軌道に乗ってきて、安定した収入を確保できるようになったタイミングが良いと思います。(執筆者:木村 公司)

この記事を書いた人

木村 公司 木村 公司(きむら こうじ)»筆者の記事一覧 (197)

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。
【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種
【寄稿者にメッセージを送る】

今、あなたにおススメの記事
本サイトの更新情報をfacebook・Twitter・RSSでチェックしましょう