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ゆうちょ銀行の預入限度額が2600万円に! この引き上げを、利用すべきではない「3つの理由」

ビジネス 経済
ゆうちょ銀行の預入限度額が2600万円に! この引き上げを、利用すべきではない「3つの理由」

ゆうちょ銀行の貯金には現在のところ、「通常貯金」と「定期性貯金」の合算で1,300万円という、預入限度額があります。

そのため利用者はこの預入限度額の範囲内で、通常貯金の上限額を設定する必要があるのです。

例えば定期性貯金が300万円あったら、通常貯金の上限額は1,000万円以下に設定します。

ただこういった仕組みを知らない方が多かったため、郵便局の職員は上限額を超えた利用者に対して、何度も説明する必要があり、負担になっていたようです。

そこで政府は通常貯金と定期性貯金のそれぞれについて、預入限度額を1,300万円にする方針を固めました。

このように改正されれば、通常貯金と定期性貯金で1,300万円ずつ貯金ができるため、両者を併せた預入限度額は、現在の倍となる2,600万円になるのです。

ゆうちょ銀行

近年は地方経済の停滞や人口減少などにより、地方銀行の経営は厳しさを増しているため、生き残りのための経営統合が模索されております。

こういった状況の中で、

なぜ政府は預入限度額を引き上げして、地方銀行の経営を圧迫するのだろうか

という、疑問を感じてしまったのです。

そこでインターネットなどで調べてみたところ、次のような3つの理由により、ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げを、利用すべきではないと思いました。

理由1:株価を上昇させるために、利用される可能性がある

利用すべきではない理由1

ゆうちょ銀行は個人向けの住宅ローンや、企業向けの融資などが認められていないため、利用者から預かっている資産を、日本国債、外国債券、社債、株式などで運用して、利益を上げております。

また民営化する前には資産の80%程度を、日本国債で運用しておりましたが、現在はこれを30%程度まで減らし、特に外国債券の割合を増やしております。

インターネットで検索していたら、政府は預入限度額の引き上げによって増えた資産を、国内株式の購入額を増やすために利用させるという予想を見かけました。

政府がゆうちょ銀行に対して、そのような要求をするのは、株価を上昇させるためであり、十分にありえる話だと思うのです。

その理由として例えば年金の積立金は、その60%程度を日本国債などの国内債券で運用してきました。

しかし株価を上昇させたい政府の意向により、2014年10月から株式の割合が50%(国内株式:25%、外国株式:25%)に、引き上げされたという過去があるからです。

このように株式の比率が引き上げされた後は、年金の積立金の運用で発生した赤字額が、過去最高を更新したというニュースが、新聞などでよく取り上げられるようになりました。

現時点ではあくまで予想にすぎませんが、他の銀行より安全という理由で、ゆうちょ銀行に預けられたお金が、年金の積立金と同じように、株価を上昇させるために利用されるとしたら、個人的には納得できないのです。

理由2:日銀の出口戦略のために、利用される可能性がある

利用すべきではない理由2

2%の物価上昇を達成するため、日銀は2013年4月の金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和(異次元緩和)の導入を決定しました。

これを受けて日銀は、市場への資金供給量を増やす目的で、日本国債を大量に購入してきたのです。

未だに2%の物価上昇は達成されておりませんが、金融緩和の副作用が問題になってきたため、日銀は金融政策の正常化(出口戦略)を、近いうちに検討するという話があります。

もしこれが現実になった場合、日銀が保有する日本国債を、誰かに買い取ってもらう必要がありますが、インターネットで検索していたら、政府は預入限度額の引き上げによって増えた資産を、日本国債の購入のために利用させるという予想を見かけました。

日本国債は株式などより、安全資産と考えられておりますが、本当にそうなのでしょうか?

例えば数年前にギリシャで財政危機が発生した時、ギリシャ国債を保有する銀行などは、元本の53.5%を自主的に放棄するという条件を受諾したため、ギリシャ政府に貸していたお金の半分程度が、自分のところに戻ってこなかったのです。

また利子なども含めると、ギリシャ政府に貸していたお金の70%程度が、銀行などに戻ってこなかったと言われております。

ゆうちょ銀行が日銀から買い取った日本国債を、大量に保有したままの状態の時に、日本で財政危機が発生して、このギリシャと同じような処置が実施されたとしたら、いくらゆうちょ銀行といえども、ダメージが大きくなると思うのです。

理由3:すでに保有額が多い預貯金を、更に増やす必要はない

利用すべきではない理由3

安全資産と考えられている国債でも、上記のように元本割れになる場合があるのですから、資産運用で大切なのは「分散投資」なのです。

つまり預貯金、債券、株式、不動産、コモディティなどの、複数の資産を保有しておくのです。

そうすればどれかが損失を出したとしても、別のどれかの収益が、その損失を補ってくれる可能性があります。

日本人の一般的な資産配分は、預貯金に集中しておりますから、ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げを利用して、更に預貯金の割合を増やす必要があるのでしょうか?

また投資は嫌いだから、預貯金だけで十分という方も、ゆうちょ銀行に資金を、集中させない方が良いと思います。

その理由としてシステム障害により、ATMでお金を引き出せないというトラブルは、どの銀行でもときおり発生しているからです。

休眠預金が発生する原因になるため、分散しすぎるのも良くないと思いますが、緊急事態が発生した時に、お金が引き出せないというトラブルに備えるため、ある程度の分散は必要だと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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