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入社や退職で「保険証」をまだ受け取ってない、返却しちゃった…手元にない時に「医療機関」を利用する場合の対処法

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入社や退職で「保険証」をまだ受け取ってない、返却しちゃった…手元にない時に「医療機関」を利用する場合の対処法

会社員が加入する健康保険は、

・各都道府県にある全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ
・企業が単独または共同で設立した健康保険組合が運営する「組合健保

の2種類があります。

会社員が加入する健康保険

一般的に前者の協会けんぽには、中小企業の従業員とその被扶養者が加入しており、また後者の組合健保には、大企業の従業員とその被扶養者が加入しております。

失業中のため国民健康保険に加入している方が、例えば4月1日から働き始め、いずれかの健康保険に加入した場合、この日以降は勤務先から渡された保険証を、医療機関(病院、診療所、薬局など)の窓口に、提出する必要があるのです。

ただ新年度が始まる4月は入社する方が多く、保険証を発行するまでに時間がかかってしまうため、すぐに受け取れないケースがあります。

また逆に3月31日に退職して、4月1日から国民健康保険に加入する場合、退職日までは勤務先から渡された保険証を、医療機関の窓口に提出できます。

ただ3月は有給消化でまったく出勤しないため、有給に入る前に保険証を、勤務先に返却してきたというケースがあります。

いずれのケースについても、勤務先が加入する協会けんぽ、または組合健保の保険証を使えるにもかかわらず、それが手元にない状態です。

こういった状態の時に、医療機関を利用する場合には、次のように対処すれば良いと思います。

保険証を提出できない時は後日、医療費の7~8割の還付を受ける

保険証が手元にない状態

入社したばかりで、保険証が手元にない状態の時に、医療機関を利用する場合、原則的に医療費の10割を、窓口で支払う必要があります。

しかし後日に領収書や診療明細書などを添付して、「療養費支給申請書」という書類を協会けんぽや組合健保に提出すると、自己負担となる医療費の2割~3割を除いた、医療費の7割~8割が還付されます。

ですから立て替え払いのため、一時的に負担が重くなるのですが、手続きして還付を受ければ、保険証を提出した時と同じ自己負担で、診療を受けられるのです。

そうはいっても手続きが大変そうと思う方は、勤務先から保険証を受け取ったら、できるだけ早くに保険証や領収書を持って、医療機関の窓口に相談してみるのです。

その理由として医療機関は原則的に、患者から受け取らなかった医療費の7割~8割を、1か月ごとにまとめて、協会けんぽや組合健保に請求しております。

ですから診療を受けた月と同月内に保険証を見せれば、医療機関の窓口で還付を受けられる場合があるからです。

なお療養に要した費用を、医療機関の窓口で支払った日の翌日から起算して2年が経過すると、還付を受けられなくなってしまうので、すぐには手続きができなかったとしても、この期間内には済ませる必要があります。

使えない保険証を医療機関に提出すると、後日に医療費を請求される

国民健康保険に加入している方が就職して、4月1日から健康保険に加入した場合、この日以降は上記のように、勤務先から渡された保険証を、医療機関の窓口に提出する必要があります。

ただ医療機関は加入する公的医療保険が変わったことに、すぐには気が付かないため、国民健康保険の保険証を窓口に提出した場合でも、自己負担となる医療費の2割~3割を支払うだけで、済んでしまう場合があるのです。

そのため4月1日以降も、国民健康保険の保険証を使えると、勘違いする方がいるのですが、すでに使えないものを提出しているため、後日に国民健康保険を運営する市区町村から、医療費の7割~8割を請求されます

また逆に3月31日に退職した方が、勤務先から受け取った保険証を、4月1日以降に医療機関の窓口に提出した場合、後日に協会けんぽや組合健保から、医療費の7割~8割を請求されます。

もちろん上記のような還付手続きをすれば、医療費の7割~8割は戻ってくるのですが、いったん返してから還付を受けると、二度手間になってしまうため、使えない保険証を医療機関の窓口に提出するのは、絶対に止めておきましょう。

退職日を迎えるまで保険証は、勤務先が保管している可能性が高い

退職した方が保険証を返却した後に社会保険事務の担当者は、それを添付したうえで「被保険者資格喪失届」という書類を、協会けんぽや組合健保に提出します。

ただこの手続きをするのは、退職日を過ぎてからになるため、有給消化に入る前に保険証を返却してきた場合、その保険証は退職日を迎えるまで、勤務先が保管している可能性が高いのです。

ですから有給消化の期間中に、医療機関を利用する場合には、保険証をいったん返してほしいと、勤務先にお願いしてみるのです。

医療機関を利用する前に保険証を取り戻せれば、自己負担となる医療費の2割~3割を支払うだけで済みます

また医療機関を利用した後に、保険証を取り戻した場合には、それを見ながら「療養費支給申請書」を記入して、医療費の7割~8割の還付を受けるのです。

保険証の代わりとなる、「健康保険被保険者資格証明書」を入手する

「健康保険被保険者資格証明書」を入手

≪画像元:日本年金機構 健康保険 被保険者資格証明書交付申請書(pdf)≫

入社したばかりで、保険証が手元にない状態の時に、医療機関を利用した場合、上記のように所定の手続きをすれば、医療費の7割~8割が還付されます。

ただ病気やケガの症状が重いと、かなりの金額を立て替え払いする必要があるため、預貯金が十分にない場合には、やりくりが難しくなります。

そこで加入する健康保険が協会けんぽの場合には、勤務先に手続きをお願いして、または自分で手続きして、「健康保険被保険者資格証明書」を入手するのです。

この証明書は発行から20日以内に限って、保険証の代わりとして使えるため、医療機関の窓口に提出すると、医療費の2割~3割の自己負担で診療を受けられるのです。

なお加入する健康保険が組合健保の場合には、証明書の有効期限が協会けんぽと違ったり、証明書を発行しなかったりする場合があるので、まずは健康保険組合のウェブサイトなどで、調べてみるのが良いと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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