人には、
という傾向があります。
これを行動経済学などでは保有効果と呼びます。
目次
保有効果とは
あるパン会社のキャンペーンでお皿をもらったとします。

このお皿、なんの変哲もない普通のお皿です。
しかも、もらったものですから仕入れ値はただです。
あなたはいくらでこのお皿を売りますか?
ただであっても、自分のものになった瞬間、価値が上がる? 保有効果具体例

多くの人が「本来の価値よりも高い価格」を付けることが知られています。
当たり前のような気もしますが、冷静に見ると、不自然な点もあります。
もともと無料でもらったので、本来的な価値はゼロ円です。
合理的に考えると、他人にもただであげればいいことです。
算数の計算なら「x = x」です。
しかし、私たちは 「x = x」より高い価格という不可思議な答えを見出しやすいです。
一度「自分のもの」になった時点で、心の中でより高い価値観を見出してしまう、という心のクセが人にはあるからだと考えられます。
開運なんでも鑑定団からみる「保有効果」

これは、出演者が自分の持ち物を出し、鑑定士がそれに価格をつけるものです。
自分の主観的な価値観と、他者の冷静な価値観の違いが面白いと筆者は感じます。
統計的なデータはありませんが、多くの場合、出品者は「自分のもの」にはより高い価値を見出してしまう気がします。
例えば骨とう品屋さんで、1万円で買った壺に10万円の価値があると思う、というパターンです。
算数なら 1万円=1万円 が正解です。
しかし多くの出品者は 1万円=10万円 などと不可解な式を描いています。
そのため、しばしば「そんな高くはないだろう」と笑いながらツッコんでしまうこともあります。
誰でも日常的に保有効果にはまっている?
冷静に自分を見ると、日常のいたるところで、「自分のもの」に対しては、より高い価値を見出してしまっているかもしれません。
・自分の住まいは平均より良い住まいだ
・自分のペットは他のペットより、なんかスゴイ
けれども、他の人からはもしかすると「そんなに良くはないだろう」と心の中でツッコまれているのかもしれません。
明るく生きるには保有効果が必要?

保有効果とは、自分の持ち物に対してはより高い価値を見出してしまう心の働きです。
他人から見ると、「そんなに良くはないだろう」と思われることもあります。
人間を前向きで明るい存在にしているのは、ひょっとしたら、ちっとも合理的ではない心なのかもしれません。
しかし、保有効果があるからこそ、私たちは、客観的には他人と同じようであっても「自分はスゴイ」という明るく前向きな気持ちになれます。(執筆者:佐々木 裕平)