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著名投資家の過去例からみる「投資のタイミング」 大きく損をしないための予防策

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著名投資家の過去例からみる「投資のタイミング」 大きく損をしないための予防策

バフェットが賭けた「サラダオイル事件」

著名投資家、ウォーレン・バフェットのこれまでの投資例でも有名なものに、アメックス(アメリカン・エキスプレス)への投資が挙げられる

ウォーレン・バフェット氏

≪画像元:Wikipedia

簡単に説明しよう。

1960年頃、アメックスは大きな詐欺被害にあった。

アメックスが他社に6,000万ドルを有担保で融資していたが、担保のベースとなっていた資産は実のところ存在せず、その融資先が破産したことで多額の貸し倒れ損失を計上したというものだ。

その架空の偽装資産がサラダオイルだったことから、この件は俗に「サラダオイル事件」と呼ばれている

アメックスの株価はこの事件による経済的打撃の不安により暴落

この時バフェットは、自ら足を運んで各店舗のレジを確認し、アメックスの業界における信用が本当に失墜したのかをチェックした。

米国の利用者はこれまで通りアメックスの決済を活用しており、それを受けたバフェットは「アメックスのブランドはまだ健在だ」と考え、アメックス株を買うこととした

そして、その後に株価は大きく上昇

バフェットは高いリターンを得て、この話は成功例として語られることとなった

バフェットが渡った危ない橋

だが、一人の投資家が収集できる情報はそう多くない。

売りか買いかを考える上で必要とされる情報は政府または企業のリリースなどから集めることができるが、十分な量を集められるケースは非常に少ない。

そして、足りない情報をバフェットのように自ら得ようとしても、最終的にできあがるのは独りよがりの見立てに過ぎず、客観性・信ぴょう性を維持するのは至難の業だ。

アメックスの場合、

「バフェットが向かった店舗の利用者が偶然そうだっただけで、全体的にはブランド価値は毀損していた」

「事業が平常運転をできていても、債務返済に充てる現預金がなく破産する可能性の方が高かった」

というケースも十分あり得たと考えられる。

アメックスへの投資が、バフェットの失敗例となっていても全くおかしくなかったということだ。

危ない橋を渡る

TATERU急落後に外れた「もっともらしい意見」

株式市場では、時に多くの銘柄の株価が暴落する。

記憶に新しいところでは、TATERUやスルガ銀行、日産自動車などといった企業の株がネガティブイベントをきっかけに大きく売られた。

こうした特定銘柄の急落が起こると必ずネット上では投資家個々の主観的意見が飛び交い、株式市場でも売買が盛んとなる。

メディアでも、さまざまな肩書きの人が解説・意見を発信し、それが株価に響く

TATERUが大きく売られた時は

・ 確固たるブランドがあるため、今後売上高が大幅に減る可能性は低い

・ かぼちゃの馬車のケースと違い、家賃保証のリスクを負っていないから将来的損失の懸念は少ない

などのポジティブな見方が広がり、TATERUの株価は急落して間もなく倍以上の水準まで急反発した。

だが、その後は再度売られる展開となった。

不正が明るみに出てからのTATERUの売買成約件数は非常に低調な推移を見せている

その原因が、宣伝広告の自粛なのか、需要の低迷なのか、提携する銀行の姿勢緊縮化なのかは定かではないが、事業の価値が大きく毀損してしまったことは間違いない。

その結果、急落直後に散見された楽観的な見方は少なくなり、売買も減少する中で株価も弱いトレンドを継続している

はやる気持ちを抑えて静観する戦術も重要

こうした点を考慮すると、ファンダメンタルズ投資家は混乱局面ではその株を売買することのリスクをあらためて見直す姿勢が大切だと思われる

「落ちてくるナイフを掴んではいけない」など、株価が大きく上下する局面でポジションを取ろうとすべきでないとする至言は少なくない。

はやる気持ちを抑え、「市場を静観する」戦術も選択肢として常に意識すべきだろう。(執筆者:高橋 清志)

《高橋 清志》
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外資系投資会社にて株式アナリストとして勤めております。主に「株式投資」の分野で具体的な企業の例を交えながら、資産運用に役立つ生きた知識をお伝えしたいと思います。話題のテーマを取り上げ、噛み砕いてご紹介することで、企業経営や金融に対する「知的好奇心」を満たしたり、数字ベースの堅実な投資スタイルを身に付けられたりできるような記事をご提供していきます。 寄稿者にメッセージを送る

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