本記事は、「資産運用の専門家は自分では買わない」と考えられる投資信託について考察します。
これをしっかりと理解すれば読者の方にとっては、「残念なものを買う可能性」をグッと下げることができるおすすめの豆知識です。
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目次
資産運用の専門家がおすすめしない投資信託5つ
今回参考にするのは、「価格.com投資信託人気ランキング」(2019/5/11時点)の上位に上がっているものの、資産運用の専門家なら自分では買わないと考えられるものです。
先に結論を述べますと、ランキング1位~17位までは残念ながら「資産運用の専門家は自分では買わない」と考えられる投資信託でした。
※ランキング順位については記事作成時点のものです。現時点では異なる可能性があります。
おすすめしない投資信託の残念なポイント
それでは、なぜ1位~17位という人気が高い投資信託にも関わらず「資産運用の専門家は自分では買わない」と考えられるのでしょうか。
ちなみにここでいう専門家には利害関係がある専門家は含みません。
例えば、販売・勧誘・宣伝や広報のために「私も買っています・持っています・おすすめです」という人は含んでいません。
まず残念なポイントを見てみましょう。
次のポイントは、複数の要素を含んでいる投資信託もありますし、単独で残念なポイントがある投資信託もあります。
以下が残念なポイントです。
・ 優秀な専門家が運用するアクティブ型と呼ばれる種類である
・ 毎月分配金が受け取れる、かつ、分配金利回りが高い
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1. 信託報酬は0.3%より高いものはすべて無視して良い
取材時のランキング1~17位までは信託報酬と呼ばれるコストが0.7%~1.6%程度です。
これは専門家から見ると、「高すぎる」数値です。
なぜなら、信託報酬と呼ばれるコストは「一切、運用成績の向上に寄与しない」と考えられるからです。
ですから、選定基準の一つとして信託報酬が0.3%より高いものは無視します。
ちなみにこの時点でランキング1~17位までが全て不適格で消えます。
2. 優秀な専門家が運用するアクティブ型は買わなくていい
読者の方の中には「どうして信託報酬が運用成績に寄与しないの?」と不思議に思われる方もいらっしゃると思います。
その理由を解説します。
その理由は、投資の世界(市場)には優秀な専門家がたくさんいるからです。
「優秀な専門家がいるから、任せたらいいのではないのか?」と思われるかもしれません。確かにその通りです。
ちなみに優秀な専門家が管理する投資信託をアクティブ型と呼びます。
このアクティブ型は市場の投資信託の九割以上を占めています。
つまり、市場は優秀な専門家だらけ、ということです。
そうなると残念ながらお互いが切磋琢磨しますので、他の投資信託を出し抜くことができません。
わかりやすく言いますと、長期で見ると市場の平均に勝てないということです。
ですので、信託報酬は運用成績には寄与しないのです。
また、事前に今年運用成績の良いものを見分けることができません。
ということは、アクティブ型は同じような成績だらけの中で信託報酬と呼ばれるコストが高いものになります。
合理的な投資を考えた場合にはコストが0.1%台くらいのアクティブ型の平均の値動きをするインデックス型と呼ばれる投資信託が投資対象として残ります。
3. 毎月分配型で分配金利回りが高いものは買ってはいけない
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最後のポイントは毎月分配型と呼ばれる投資信託です。
これは一見すると魅力的に見えます。
しかし、資産運用の専門家は自分では買いません。なぜでしょうか?
それは複利効果が働きにくく、長期で行っても資産が雪だるま式に大きくなりにくいからです。
一言でいうと「資産形成に不利だから買わない」です。
どういうことでしょうか。
まず分配金というのは、二種類あります。
2. 自分の出した元本を受け取るだけの特別分配金
これらはどちらであっても資産形成には不利なものです。
まず、1の利益の普通分配金から見てみましょう。
普通分配金は利益ですから税金がおよそ2割かかります。
もしこれを再投資した場合は、少し減った利益を再投資することになり、雪だるま式に大きくする効果が下がってしまいます。
それなら分配金のない投資信託の方が資産形成には有利です。
雪だるまを大きくしたい時に邪魔されたらどう思いますか
2の特別分配金に至っては、利益が生じていない時に自分のお金を受け取るだけです。
これはいけません。このときに残念なのは元本が小さくなっていくことです。
ちょっと想像してください。
ところが、邪魔者がやってきて、あなたが大きくしたい雪だるまを時々むしり取って、あなたの服のポケットに押し込んでくるのです。
雪だるまは小さくなります。もし邪魔者がいなければ複利効果が働いて雪だるまがどんどん大きくなったかもしれません。
しかし、邪魔者が雪だるまを時々小さくしてしまうので、思ったより大きな雪だるまになりませんでした
毎月分配型投資信託の特別分配金とは、邪魔者がやってきて、せっかくあなたが転がしている雪玉をむしり取り、あなたの服のポケットに入れる存在です。
1と2のどちらの分配金であっても、分配金を受け取らずに内部で再投資してくれるタイプの投資信託の方が理論上は資産形成に有利です。
雪だるまでいうと、邪魔をされずに雪玉を転がし続けられる、というイメージです。
そのため、毎月分配型投資信託は不利であるので「資産運用の専門家は自分では買わない」と考えられます。
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投資初心者の方は効率の悪い投資信託ばかりを選びがち
今回は「資産運用の専門家は自分では買わない」と考えられる投資信託のポイントと考え方について考察しました。
・ 優秀な専門家が運用するアクティブ型と呼ばれる種類である
・ 毎月分配金が受け取れる、かつ、分配金利回りが高い
以上の3ポイントでした。
しばしば投資初心者の方は効率の悪い投資信託ばかりを選びがちです。
しかし、上記3つのポイントに注意をして選べば、どなたでもプロの選定基準にグッと近づきます。
本記事が読者の方の合理的な資産運用の一助になれば幸いです。(執筆者:佐々木 裕平)