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ゆうちょ銀行が投資信託の販売でルール違反
保険会社は信用できないけどかんぽだと安心、という方のみならず、今回の報道は衝撃でした。
6月14日、ゆうちょ銀行は高齢者への投資信託の販売において、健康確認を怠っていたなどの不適切な事例があったと明らかにしました。
ゆうちょ銀行では70歳以上の高齢者に投資信託を販売する場合、担当者は勧誘時と契約時の2回、お客様の健康確認と商品の理解度について店長などの管理者に了解を得るルールになっています。
ところが、233の直営店の9割でこの手続きを契約時の1回しか行っていなかったというのです。
投資信託は元本の保障のない、リスクを伴う金融商品です。
貯金をしてもお金がほとんど増えない今の時代、初めて投資をする方も少なくないでしょう。
そういった方の中には元本割れのリスクを甘く考えている方も少なくないかもしれませんが、金融商品の苦情のトップはリスクの理解不足によるものです。
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かんぽ生命が不適切な乗り換え契約を推奨
こちらは6月24日に明らかにされたかんぽ生命についての報道です。
乗り換え契約において、契約者に不利益となることが疑われる事例があったというものです。
「乗り換え」とは、過去の契約を新しい契約に変更することですが、約2万1,000件の乗り換え契約の内、約5,800件が同じ種類の保険への乗り換えだとのことです。
かんぽ生命の契約者は3割弱が70才以上ですが、不利益を被った契約者の中には高齢者もいたとのことです。
参考:日本経済新聞
参考:中日新聞
終身保険の乗り換えはデメリットばかり
報道された事例は、終身保険から終身保険への乗り換えでした。
終身保険は、
・保険料はずっと変わらない
・解約返戻金がある
・保険料の支払いは70歳まで、60歳までなどのように短くできる
という保険で、今も昔も特徴は変わりません。
一方、医療保険やがん保険などは、通院でも給付金が受取れる、高額な一時金が受取れるなど、保障内容の変化が著しいです。
従って医療保険やがん保険などは新しい保険に乗り換える意義も分かりますが、終身保険の乗り換えは保険料UPのデメリットしかないと言ってもいいでしょう。
被保険者の加齢に伴い死亡リスクが高まっていますからね。
さらに空前の低金利下にある今は、保険料UPの度合いが大きいばかりか、解約返戻金が増え難いため、長期間契約しても解約返戻金が累計保険料を上回らなかったり、累計保険料が保障額より多くなったりします。
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保険料だけで判断してはいけない
ところで、TV報道された1つの事例に以下のものがあったと記憶しています。
報道では、月5万円程度の収入しかない方にこの乗り換えが行われたことを問題にしていました。
それはその通りですが、ちょっとそれを横において保険料と保障の比率に着目してください。
乗り換え前と後では保険料は4倍、けれど保障は5倍になっています。
ということは、保険としては有利になっているんじゃないの? と思う方がいるかもしれません。
しかし、そんなことは決してありません。
保険料が安い場合、保険料を何歳まで払う内容になっているかを確認して下さい。
今の保険が60歳や65歳で保険料を払い終えるのに対し、乗り換え後は一生涯保険料を払うようになっているはずです。
終身保険から終身保険への乗り換え、担当者はこう言っているかもしれません。
死亡保険はまた新しく入って、もしも保険料を払うのが大変になったら解約金で払えばいいんです」
あるいは、たくさんあることを説明されないまま解約金は下取りされ、
「こちらの保険に乗り換えれば、保障が○○万円も増えるのに保険料は〇〇円しか高くならないんですよ」
保険の勧誘時、担当者は設計書や提案書を持って来ます。
それには解約金を記したページもありますので、書類にはすべて目を通して欲しいところです。
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問題の背景には契約者の複雑な心情も
保険をはじめ70才以上の方に金融商品を販売する場合については、コンプライアンスが特に厳しくなっています。
ゆうちょ銀行のルールの他、専門の職員が訪問して商品の理解度や加入の意向を確認する仕方もありますが、勧誘時や契約時に家族の同伴を促すことも行われています。
これが守られれば高齢者が標的になることもないと考えますが、お客様の中には契約したことを家族に内緒にしたいという方もいます。
これも人間、厳しいノルマのために不適切販売をいとわないのも人間…なかなか厄介です。(執筆者:金澤 けい子)