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【現役銀行員が語る】ドラマ「集団左遷」のリアル 検証4:ドラマの中で気になった場面

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【現役銀行員が語る】ドラマ「集団左遷」のリアル 検証4:ドラマの中で気になった場面

「銀行を舞台にしたドラマと現実」の第4回目

ドラマ「集団左遷」から、銀行員がリアルを語ってきました。

最後は銀行員から見て違和感を覚えた部分についてお話しします。

細かいネタバレ的な話しになるかもしれませんが、ほんの少しのネタバレには目をつぶって、読んでいただきたいです。

【現役銀行員が語る】ドラマ「集団左遷」のリアル(全4回)

検証1:集団左遷は現実にあるか
検証2:熱血支店長は現実にいるのか
検証3:不正行為はできるのか
検証4:ドラマの中で気になった場面
集団左遷の検証4

携帯電話は持ち込み禁止

主人公など登場人物が携帯電話を普通に使って会話していましたが、これはダメです。

銀行では支店や部署内に個人の携帯電話の持ち込みを禁止しているところが多いです。

これには顧客情報保護のためと、システム保護のためという理由があります。

理由1:顧客情報保護のため

言うまでもなく銀行内部には個人情報が集積されています。

預金残高など資産と、融資に関する情報はそれらを必要とする業種から見ればまさに「宝の山」です。

一昔前なら顧客の預金や融資残高を印刷して、あるいはフロッピーディスクで持ち出して、名簿業者などに売る銀行員が残念ながらいました。

時代は変わって現在、こうしたある意味幼稚な不正情報持ち出しをする銀行員はいません。

なぜなら厳密に管理され、銀行員が銀行から常に疑われ、監視されているからです。

例えば

・ 通勤かばんや机など抜き打ちで持ち物検査

・ 監視カメラの中にはロビーではなく銀行員を録画しているものもある

ということは銀行員も教育され知っています。

また個人用携帯電話は室内持ち込み禁止ですので、ドラマのように私用会話で堂々と使っていればすぐに怒られます。

また、業務用に携帯電話を銀行員に支給している銀行もあります。

これは私用電話を業務に使い、公私の区別がつかなくなることを禁じているからです。

この点からも室内で私用携帯を使っている銀行員は怪しいと疑われます

銀行内で使用の電話はNG

理由2:システム保護のため

これも携帯電話中心の話ですが、例えば銀行のコンピュータ機器に携帯電話をUSBなどで接続した場合、当然顧客情報への不正アクセスが疑われるとともに、最悪銀行全体のシステムにとって危機になるかもしれません。

例えば、情報を盗むなど大それたことではなく、

「携帯の充電がなくなりそうだから」といって充電ケーブルをUSB差し込み口に接続した場合、もしもその携帯がウイルスに汚染されていたとしたら、その後起こるトラブルは想像するだけでも恐ろしい

ということです。


資料やPC、情報の取り扱いについて

ドラマでは、不正融資を調査する目的ですが、会社の決算資料をかばんに入れていました。

主人公たちは居酒屋で会っていましたから、その日は帰宅したはずですが、これはいけません。

不正とはいえ、顧客情報を鞄に入れてしかも自宅に持ち帰るのは銀行員としてあるまじき行為です。

ドラマでは正義のためですが、逆にそれこそ不正行為をすることも可能です。

これと同じく、資料が表示されていたところを見ると、会社で使っているノートPCを持ち出して、やはり居酒屋から自宅に持ち帰っています。

これもいけないことは上記と全く同じ理由です。

そもそものお話ですが、こうした顧客情報を居酒屋や喫茶店などで堂々と広げてはいけません

店員が注文を取りに来て「じゃあ、同じモノを」などと言っているテーブルには情報が丸出し、見ているこちらがハラハラしてしまいました。

この辺、ドラマ

情報取り扱いペナルティー

これもネタバレ的な話題になってしまいますが、最終回で情報取り扱いペナルティーの話しが出てきます。

主人公を最後まで支えてきた香川照之演じる副支店長が、突然出向させられてしまいました。

敵方の副頭取からの陰謀ではありますが、その出向理由が「顧客情報を無断で持ち出したから」でした。

銀行員としては、ドラマ進行として出向は由々しき事態でしたが、出向の理由だけは妙に納得できました

やはり、銀行は守秘義務、顧客情報管理は厳正にあるべきだと思うからです。(執筆者:加藤 隆二)

《加藤 隆二》
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加藤 隆二

執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二 加藤 隆二

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。 寄稿者にメッセージを送る

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