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【現役銀行員が語る】ドラマ「集団左遷」のリアル 検証3:不正行為はできるのか

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【現役銀行員が語る】ドラマ「集団左遷」のリアル 検証3:不正行為はできるのか

「銀行を舞台にしたドラマと現実」の第3回目

ドラマの中で出てきた政治家への賄賂といった「不正行為」、そしてその資金を作るための「不正融資」こうしたことは現実にできるのでしょうか?

【現役銀行員が語る】ドラマ「集団左遷」のリアル(全4回)

検証1:集団左遷は現実にあるか
検証2:熱血支店長は現実にいるのか
検証3:不正行為はできるのか
検証4:ドラマの中で気になった場面
集団左遷の検証3

不正行為はできるのか

答えは

「不正行為はできてしまう」

です。


銀行では全てコンピュータによるさまざまなシステムが構築され、不正を防ぐというよりは不正することができないシステムになっています。

しかし、どんなに高度なシステムも作ったのは人間、また運用するのも人間ですから「不正行為はできてしまう」と言えます。

不正はすぐバレるシステムになっている

例えば融資では、融資案件の稟議や書類作成から契約、そして融資を顧客口座に入金するところまでほぼ全て機械化されており、人間の手作業は、契約書類に署名捺印するところくらいです。

こうしたシステムにおいて、不正融資はできない仕組みになっています。

もちろん上記のように運用は人間ですので、途中で不正することがあるかもしれませんが、必ず発覚するようになっています。

ドラマのように、不正融資で作った裏金を隠し口座に入れるなどできません

繰り返しますが、仮に無理やりやったとしても文字通り無理やりの行為ですからすぐにバレます。

代々の支店長が秘密を隠し通すなど不可能です。

不正が発覚しても隠蔽はできる?

これに関しては、特に銀行だからというものではなく企業それぞれの体質、モラルの高低にかかっています。

従来銀行という業種は、残念ながら隠蔽体質があったことは否めません。

ドラマのような政界を巻込んだスキャンダルでも、あるいは最近問題になった融資に関する不正行為なども、その銀行が隠蔽した、あるいは組織ぐるみで不正を黙認したことが遠因です。

ドラマの不正行為も、見ている私にはそれほど現実離れしたものではなく、また違和感があまりなかったことは悲しい現実です。

不正な根回しはリアルにあるのか?

不正な根回しはリアルにあるのか

政治家や金融庁に賄賂を渡す場面がありましたが、これは現実離れしており、ドラマだけだと思います。

現金を紙封筒で渡すなどドラマ上の演出としては面白いでしょうが、現実にはやる人はいないでしょう。

不正融資で資金を作ることが不可能と記したのと同じで、今どきこのようにあからさまな賄賂を受け取るほどリスク意識がない政治家や官僚もいないでしょう。

不正に金を手に入れる方法はいくらでもあり、「私ならこうするのに」と思える不正融資や根回しのやり方もあるからです。

そして現実離れしているといえる1番の理由は「割に合うか?」という点です。

政治家や官僚のトップクラスの年収がいくらくらいか知りませんが、その安定を棒に振るほどの金額とはいったいいくらになるのでしょう?

少なくとも不正融資で紙封筒に入れる金額では到底足りないと思います。

私も若いころ、銀行員の預金着服など不祥事のニュースを見聞きする都度、同僚と「いくらだったら(着服などの悪事を)やるか?」と不謹慎ながら話したことがあります。

その答えは共通していて、真面目に定年まで勤めることも考えれば、たとえいくらでも悪いことはしない、割に合わないというものです。

少なくとも1億、2億ではやってられないといったところでしょうか。

銀行の平社員ですらこの値段です。

政治家や官僚が、その地位をかなぐり捨ててまで賄賂を受け取るとは思えません。

ただし、連日報道されるように不正な根回し自体はなくなることがありませんので、現金あるいはそもそもお金以外の何かをその代償にしているのかもしれません。(執筆者:加藤 隆二)

《加藤 隆二》
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執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二 加藤 隆二

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。 寄稿者にメッセージを送る

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