「マイホーム」持つべきか借りるべきか? 人生を成功に導くための大戦略を考える

大いなる戦略を持って人生に挑む

国際政治経済の分野で地政学に注目が集まっているようです。

地政学で検索してみると「地理的な環境が国家に与える政治的な、軍事的、経済的な影響を巨視的な視点で研究する」とウイキペディアにあり、主に国家間の関係を分析するようです。

そして地政学の本を読んでみて、なるほどと思ったことは、

「いくら戦術的に力を持っていても、大戦略で誤っていれば、国家の命運は尽きてしまう」

ということです。

国際関係を論じるつもりはありませんが、会社の経営に置き直してみると、「優秀な製品の製造能力と営業力があっても、製品の分野や売込み先の国や地域を間違ってしまうと利益は上がらない」ということでしょうか。

私の関心は、人の生き方とお金との関係です。

「戦術的に力を持っている」ということは、お金をしっかりと稼ぐ力があるということに通じていますが、いくらお金を稼ぐ力があっても、人生という場での大戦略を間違ってしまっては、よりよき人生とはならないということです。

人生の大戦略の分野は、就職、結婚・子育て、そして住宅ではないかと思います。

今回は、特にお金と関係深い住宅を具体的に考えてみましょう。

住宅は個人のバランスシートに大きな影響を及ぼす

緑の芝生の上にたくさんの家が置いてあるビジネスシーン

住宅は個人にとっては最大の資産項目であり、住宅ローンを利用して住宅を手に入れると居住地が20、30年にわたり固定されてしまい、家計行動にも借金返済という形で影響を及ぼし続けます。

個人のバランスシートを資産・負債ともに膨張させるのですが、膨張したバランスシートにはデメリットとメリットが明らかにあります。

住宅を取り巻く環境

2018年の国の調査では、空き家が約846万戸に達し、全国平均の空き家率が13.6%となっています。

当然、地域差があり山梨や和歌山では20%を超えています。

空き家率が20%を超えるということは、5戸に1戸は空き家、向こう三軒両隣の5戸のうち1戸が空き家です。

住宅はミスマッチがあるにしても余っており、住宅は十分に存在しているということです。

40、50年前の日本が高度経済成長期にあっても住宅は不足気味であったものが、人口が減少する時代になると、状況は大きく変化しています。

住宅を所有するか賃貸にするか、経済合理的に判断してもよい時代ではないかと思います。

家族のライフサイクルに応じた住宅への対応

まず、家族のライフサイクルを考えましょう。

個々の2人が結婚し、子供ができ、家族の数が増えます。

そして子供が巣立ち、夫婦二人に戻り、配偶者が亡くなると再び1人に戻ります。

この家族員数や子育ての環境などに上手に対応することを考える必要があります。

また、現在の日本では仕事や学業などに応じて住居を変えることが当たり前の時代になっています。

海外に子供や家族がいることもめずらしくはなく、子供が親と別に住むのが普通のことと思われているのではないでしょうか。

家族のライフライクルに応じた住宅は、ケースによって異なりますが、一般的には所有よりも賃貸の方が有利だと思われます。

一人暮らしがスタート

住宅(不動産)が負債となる場合もある

住宅を所有する経費は、まず固定資産税と自治会があればその会費などがあり、マンションでは管理費や修繕積立金、戸建てなら庭の樹木などの剪定費や住宅の修繕費などがあります。

これらの経費が仮に年で15万円かかるとします。

これは居住するために必要となる経費です。

しかし、相続などによって、いま自分が住まない住宅(不動産)を所有すると、居住の関係なく費用としてかかってきます。

年15万円を支払うということは、金融機関から3%で借入れる500万円の借金があることと同じことになります。

もちろん、この不動産は資産ですが、使われないということで500万円という負債の効果をもたらします。

一方で、この住宅(不動産)を1,000万円で売却し、1,000万円を利回り2%で運用できれば20万円の収入をもたらしてくれます。

隠れた「負債」から収入を生む資産となります。

住み慣れた親の住宅は、経済的なものだけで割り切れないものです。

しかし、住む予定のない住宅(利用しない不動産)を持ち続けることは、いたずらに費用を発生させ、それは誰も望むことではないと思います。

子にとって「隠れた負債」になる可能性のある住宅をどうすればよいのか。

ここで親が考えなければならないのは、相続するならば不動産のような実物資産ではなく、預貯金のような金融資産が良いということです。

住宅過多の現代、賃貸利用で軽やかに生きるのも選択肢

空に向かう人

名前を思い出せないのですが、明治から大正にかけての財閥創始者だったと思いますが、「住宅にかけるお金は自分の資産総額の10分の1が良い」と述べていた方がいました。

もちろん、住宅ローンという仕組みのない時代ですが。

この言葉からすると、住宅ローンなしに3,000万円の住宅を手に入れようと思うと3億円の資産所有者だということになります。

住宅を手に入れるには住宅ローンがいかにありがたい仕組みかがわかります。

ローン完済するも住宅部分の価値は消滅

しかし、住宅ローン完済後の資産価値がどれくらいになるかというと、経過30年とすると住宅部分はほぼ資産価値ゼロ、家屋ありの土地が評価額となります。

ここで個人のバランスシートを考えましょう。

住宅ローンを利用した場合には、資産には住宅の資産額、負債には住宅ローンがあります。

問題はこの住宅の資産額をどのように評価し、見積もるのかです。

地価や住宅価額が右肩上がりの時は良いのですが、逆に下がってくるとなると、住宅ローンのある負債額の方が大きくなる可能性があります。

生活スタイルに合わせて柔軟に住まう

現在は、人口が減少する時代です。

持ち家よりも賃貸住宅を活用して、家族のライフサイクルや自分の好みに応じた居住スタイルを持つことは、一地点に固定されるよりも、人生をより豊かにしてくれると思えます。

金融資産を形成すれば、住宅所有は可能です。

まずは、金融資産の構築から始めるのも、大戦略の一歩かもしれません。(執筆者:井戸 美枝)

この記事を書いた人

井戸 美枝 井戸 美枝»筆者の記事一覧 (6) http://www.mie-ido.com/

CFP®、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。経済エッセイストとして活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。
<保有資格>:社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー、キャリアカウンセラー(GCDF)、産業カウンセラー、発酵マイスター
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