クレジットカードの現金化は金策に困り果てた人にとっては魅力的な、そして最後の資金調達方法のひとつです。

しかし、怪しいイメージがあることも否めません。

「違法行為ではないのか?」、「逮捕されたら大変だ!」と不安に思っている方も多いことでしょう。

そこで、この記事では

クレジットカードの現金化を利用することで逮捕されることはあるのかないのか

という問題を元専門家が法律的に解説していきます。

現状ではセーフ、でも理論上はアウト

クレカ現金化は犯罪なのか

今までにクレジットカードの現金化によって逮捕された例はいくつもあります。

しかし、逮捕されたのはすべて現金化業者のほうだけです。

利用者が逮捕された例は今までに1件もありません

今後も当面の間は、断言はできませんが利用者が逮捕されることはまずないと考えられます。

「断言はできません」とお断りしているのは、実は理論上はクレジットカードの現金化は違法であり、警察が逮捕しようと思えばできる状態だからです。

それでも「現状ではセーフ」と言えるのはなぜなのか説明します。

業者だけが逮捕されている理由

クレジットカードの現金化によって業者だけが逮捕されている理由をひと言でいうなら、警察から見て利用者は被害者であると捉えられているからです。

これまでに逮捕された業者の逮捕容疑は、貸金業法違反と出資法違反です。

「貸金業法違反」とは、貸金業を営むには登録が必要なのに無登録で営業していたという容疑です。

「出資法違反」とは、法定の上限利息を超える利息を受け取っていたという容疑です。

これらの容疑では、利用者は無登録の貸金業者から暴利をむさぼりとられた被害者という位置付けになるので、利用者が逮捕されることはないのです。

しかし、よく考えてみると、貸金業法違反や出資法違反で業者が逮捕されるのは理論的におかしいことです。

現金化業者は貸金業者ではない

貸金業法違反や出資法違反という逮捕容疑だと、現金化業者は無登録で貸金業者としてお金を貸したということになり、利用者はその業者からお金を借りたということになります。

しかし、業者は利用者にお金を貸したわけではありませんし、利用者も業者からお金を借りたわけではありません

業者と利用者の間に債権・債務関係は一切残らないのです。

それでも警察が業者を逮捕したのは、クレジットカードの現金化の仕組みが「実態としては貸金業にあたる」と判断したことによります。

クレジットカードの現金化そのものを違法だとして禁止する法律は存在しないため、苦肉の策だったのでしょう。

そうしてでも逮捕しなければならない必要性があったのだと思われますが、それでも理論的に苦しいことは否定できません。

理論的には業者も利用者も違法

クレカを現金にする

クレジットカードの現金化の仕組みをよく見ると、貸金業法違反や出資法違反よりもよほどふさわしい犯罪類型が存在します。

「現金化の仕組み」は、

業者が利用者にショッピング枠を換金目的で利用させる
カード会社から得たお金の中から一部を手数料として徴収し、残りを利用者に還元する

というものです。

カード会社はショッピング枠を換金目的で利用することを利用規約で禁じていますから、その目的を知っていれば決済を通すことはありません。

その目的を隠して決済を通すとカード会社に対する詐欺罪が成立します。

業者と利用者がグルになってカード会社を騙し、お金を出させるという構造です。

また、カードを利用して購入した物の所有権は、代金の支払いが終わるまでカード会社にあります

支払い前に所有者に無断で転売すると横領罪になります。

したがって、買取り方式の現金化だとカード会社に対する横領罪も成立するのです。

クレジットカードの現金化の罪名としては、詐欺罪・横領罪のほうが貸金業法違反・出資法違反よりもよほど実態に即しています。

実際にも、2017年2月には業者が利用者と共謀してカード会社から現金を詐取したとして、電子計算機使用詐欺という容疑で逮捕されたケースが発生しました。

このケースでも逮捕されたのは業者だけで、利用者は逮捕されませんでしたが、逮捕されてもおかしくない例です。

それでも利用者が逮捕されない理由

クレジットカードの現金化に詐欺罪や横領罪が適用されれば利用者も違法ですから、いつ逮捕されてもおかしくありません。

それでも、当面は逮捕されることはないと考えられる要因がいくつかあります。

なお、以下は推測も交えてお伝えします。

絶対に利用者が逮捕されることはないと断言しているわけではありませんので、ご了承ください。

立証の難しさ

日本の警察は、犯罪行為を認識しても、裁判での立証を見込める確信がある程度ないと逮捕にまでは踏み切らないものです。

その立証は、犯罪の客観的な行為だけでなく、主観的な要件についても求められます。

詐欺罪や横領罪は特に主観的要件にデリケートな面があります。

金銭的に切羽詰まった利用者が業者に言われるままにクレジットカードを利用した場面で、詐欺罪や横領罪の主観的要件を立証するのは難しいケースも多いと考えられます。

警察も立件するのが難しい

被害届がない

利用者は高利の手数料を承知の上で現金化を利用しています。

利用後にヤミ金のような暴力的な取立てもないので、利用者が被害届を出すことはまずありません

クレジットカードの現金化の真の被害者はカード会社ですが、今のところ、カード会社も被害届を警察に提出することはないようです。

現金化が疑われるようなケースは膨大にあり、そのすべてについて被害届を提出するのは現実的ではありません。

間違いなく現金化したと考えられるケースだけをピックアップしようにも、その選別作業自体にコストがかかりすぎるでしょう。

警察としては、被害届がなければ動けないわけではありませんが、実務としては被害届を受けて捜査を始めるのが通常です。

今後はカード会社や警察の対応も変わってくる可能性はありますが、現状の対応では利用者の逮捕に向けて警察が動くのは現実的ではありません。

事実上のニーズが高い

世の中には、銀行や消費者金融などの正規のカードローンを利用できない人がたくさんいます。

多重債務者の他、主婦や学生の多くも当てはまります。

また、銀行員や警察官など職業柄、カードローンを利用しづらい人もたくさんいます。

そういった人たちが以前に多く手を出していたのがヤミ金です。

クレジットカードの現金化が現在のように広まる前はヤミ金業者が多く存在しており、社会問題にまで発展していました。

警察もヤミ金業者の取り締まりに追われていたのです。

今、早急にクレジットカードの現金化業者の撲滅に乗り出せば、行き場を失った人たちは再びヤミ金を利用するでしょうから、警察も慎重にならざるを得ないでしょう。

今後、警察がクレジットカードの現金化を積極的に取り締まってくる可能性もありますが、まずは業者の摘発に力を入れるでしょうから、一利用者が突然逮捕されることは考えにくいです。

逮捕はされなくても大きなデメリット

逮捕されなくても大きな損害

現状において、逮捕されることなく営業している現金化業者はたくさんいますし、それらの業者を利用している人たちもごまんといます。

しかし、クレジットカードの現金化には、逮捕されるかどうかという問題以外にも大きなデメリットがあります。

・ヤミ金の金利をも超える高利の手数料を取られる

・発覚したらカードが利用停止となる。最悪の場合、強制退会の上で利用残高の一括返済を請求される

・自己破産をしても免責が認められない

現金化で逮捕されるかどうかの問題に対しては若干歯切れの悪い結論となりましたが、違法かどうかで言うと明らかに違法です。

最後のチャンスとして現金化の利用を考えている方もいると思いますが、リスクの大きさも考えて、おすすめはできません。(執筆者:川端 克成)