不動産投資では、不動産会社からの詐欺的な勧誘や過剰な勧誘によって契約させられ、多額の損害をこうむっている投資家があとを絶ちません。

被害を回復するために裁判を起こそうにも、不動産取引特有の難しさがあります。

ここでは、不動産詐欺の事案で裁判をして勝てるケースと勝てないケースを解説します。

勝てないケースでは他に救済策がないのかということも紹介します。

不動産投資 「本物の詐欺」 「詐欺まがい」の事例 被害回復の対処法

裁判する価値のあるケース、無駄なケース

不動産投資詐欺を裁判にもちこんで、勝てるケースと勝てないケースがあります。

それには、遭遇した詐欺の種類が関係していると言えます。

不動産投資詐欺には2つの類型がある

不動産投資詐欺に遭うとひと口に言っても、大きく分けて2つの類型があります。

1.「本物の詐欺」に遭うケース

2.「詐欺まがい」の商法に引っかかるケース

このそれぞれのケースの場合を以降で詳しく説明していきます。

1.「本物の詐欺」の場合、裁判に勝っても無駄に終わる

裁判をしても無駄なケース

このうち、「本物の詐欺」に遭ったケースでは、ほとんどの場合、裁判をしても無駄な結果に終わってしまいます。

裁判したくてもできないケースも多いのが実情です。

本物の詐欺師は故意に犯罪行為を仕掛けてくるわけですから、ターゲットからお金を得た後は捕まらないように逃げてしまうことが大半だからです。

本物の詐欺と考えられる事例

・優良物件だからすぐに手付金だけでも払っておいた方がいいと言われて手付金を支払ったが、後日本契約のために連絡を取ろうとしても電話がつながらなくなっていた

・不動産を購入して契約も済ませ、登記をしようと思ったら先に別の人に所有権移転登記がされており、自分が支払った売買代金は売主に持ち逃げされた。

・婚活パーティで出会った異性から投資用マンションを勧められて購入したが、その後関係が疎遠になり、やがて音信不通になった。

このようなケースはすべて「本物の詐欺」であると考えられます。

本物の詐欺に遭ったケースでも、相手を調べれば相手の居所が判明する場合はあります。

そして、本物の詐欺であれば裁判をすれば勝つことは難しくありません

しかし、本物の詐欺師はしっかりとした経営基盤のある企業ではなく個人の場合が多いので、裁判に勝っても売買代金の返金や損害賠償金を回収するのは困難です。

結局、本物の詐欺に遭った際には、裁判をしても無駄な場合が多いのです。

2.「詐欺まがい」の商法の場合、裁判の検討価値あり

詐欺まがいのケースは裁判の検討価値あり

本物の詐欺ではなく、「詐欺まがい」の商法に引っかかったケースであれば、相手が逃げも隠れもしない企業であることも多いので、裁判を検討する価値はあります

本物の詐欺よりもこちらの方がはるかに件数が多いでしょう。

詐欺まがいの商法と考えられる事例

詐欺まがいの商法には、例えば以下のようなケースがあります。

・東京オリンピックの影響で必ず値上がりすると言われて土地を購入したが、よく調べてみるとほぼ無価値の土地を高値で買わされていた

・営業マンが作成したシミュレーションでは毎月数万円が手元に残るということでマンションを購入したが、そのシミュレーションは経費や空室リスクを度外視したものであり、実際には毎月赤字になっている。

・家賃保証(サブリース)を付ければ空室が出ても損はしないという説明を信じてマンションを購入したが、2年後には賃料が改定されて赤字に転じた

これらのケースで詐欺を訴えるために裁判を起こした場合には、購入者側で法律上の詐欺の要件を1つ1つ証明しなければなりません

証明するためには証拠が必要ですが、不動産業者であれば、顧客を勧誘する際に適切な説明をしたという証拠書類を巧妙に確保しているものです。

このような裁判で勝つのは容易なことではありません

不動産投資詐欺の被害を回復する現実的な方法

和解を目指す

簡単には裁判に勝てないからといって、諦める必要はありません。

弁護士に相談して、

裁判に勝てる見込みがどの程度あるのかを判断しながら裁判するかどうかを検討する

のも大切なことです。

どうしても裁判に勝てそうになければ、最終的には泣き寝入りして「授業料を払った」と思って損切りするしかありません。

しかし、少しでもお金を取り戻すためならいくつかの対処法はあります。

(1) 和解を目指す

売買契約を取り消して売買代金を全額取り戻すのは無理でも、何割かを返金してもらう和解なら成立する可能性があります。

裁判外で和解しない業者でも、裁判をしたうえでなら和解するケースも少なくありません。

(2) 警察に被害届を出す

警察に被害届を出したからといってお金を取り戻すために動いてもらえるわけではありませんが、被害届は無料で提出できるので何もしないよりはましです。

ときに、犯人が捕まって示談金を払ってくれるケースもあります。

(3) 宅建保証協会に相談する

宅地建物保証協会に所属する業者から詐欺被害に遭った場合には、

保証協会より弁済金として1,000万円を上限として補償される制度

があります。

補償を受けるためには満たすべき要件がいろいろありますが、検討してみて損はありません

不動産投資をはじめる前に損をしない体制を作る

不動産投資詐欺に遭った場合、悪いのは騙した方ですが、騙された方に過失はないとも言い切れません。

言葉巧みに執拗に勧誘されたとはいっても、大金を動かす決断をした背景には欲に目がくらんだという側面もあるでしょう。

不動産投資で損をする原因は、ほとんどの場合、本人の知識不足です。

失敗すると金銭的なリスクが高いのが不動産投資です。

投資をする前に、

・しっかり勉強する

・できるだけ小さな投資から始めて経験を積む

・投資仲間を作って不安なときには助言をもらう

などの体制を作っておきたいものです。(執筆者:川端 克成)