歩いた分だけ保険料が割引になったり、加入後の健康状態や喫煙の有無により保険料率が下がり保険料が安くなる「健康増進型保険」と呼ばれる保険が近年相次いで発売されています。

保障内容は従来の保険と大して変わらないのですが、面白い仕組みをした保険という印象はあるかもしれません。

ただ、この健康増進型保険は本当に必要なのでしょうか。

その点について、今回は保険の機能というよりも、人の心理的な側面からその必要性を考えたいと思います。

保険はそもそも何のためにあるのか

保険というのは万が一のことが起こった際にも、きちんと生活をおくるためのものです。

また、万が一の際に保険金を受け取れるのはもちろんですが、保険を掛けているという安心感から、有名なマズローの欲求5段階説にある安心で安全な暮らしをしたいという「安全欲求」を満たすものと言えます。

しかし、現代ではそもそもの社会保障制度の充実に加えて、既にほとんどの人が何かしらの保険に加入しているような時代です。

この「安全欲求」というのは一昔前に比べて満たされている方が多く、むしろ今は不要な保険を減らしましょうというのがトレンドになっています。

健康増進を保険にする必要があるのか

マズローの5段階欲求説

≪画像元:psycho-lo

ただ、マズローの欲求5段階説では、1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動を表しています。

つまり、健康増進型保険に加入して健康状態を良くしましょうというのは、安全欲求が満たされた現代人がもっと上の欲求を満たすためであるとも考えられます。

これが1番しっくりくるのは、第5段階にある「自己実現欲求」です。

あるべき自分になりたいと願う欲求を指しますので、健康でありたいという人は多いでしょうから、健康増進型保険に加入することで、この自己実現の欲求を満たすことができるのでしょう。

実際の保険はどうなっているのか

この健康増進型保険を見てみましょう。

東京海上日動あんしん生命保険の「あるく保険」(入院や手術の保障がメイン):
歩いた目標を達成したら保険料が還付される。

住友生命の「1UP Vitality」(死亡保障など)や「ドクターGO Vitality」:
保険料とは別に月額で料金がかかるVitality健康プログラムを別に契約すると、運動や健康状態のステータスに応じて保険料の割引や提携企業の割引を受けられる。

「あるく保険」と「1UP Vitality」

≪画像元:左:東京海上日動あんしん生命 / 右:住友生命

健康増進を目的に加入してはいけない

しかし、実際にはこの健康増進型保険に加入しなくても、健康増進は実現可能なことではないでしょうか。

健康増進型保険に加入して健康に気を付けることは1つの目標となるかもしれませんが、実際には保険に加入せずともできることがほとんどです。

加入したい保険に健康増進の仕組みが付いていれば(できれば無料で)利用するのはいいかもしれませんが、ずっと健康で過ごしたいという自己実現のために保険に加入するのは少し変な話のように感じます。

本末転倒にならぬよう保険の保障は必要最低限に

健康増進型保険を含め、人は払った保険料が返ってくることにとてもお得感をもち、自分にとってそこまで必要でないモノでも魅力的に感じてしまいます。

保険は本来の機能である万が一の時のために掛けるもので、できれば必要最低限の保障にしましょう。(執筆者:西田 凌)