かんぽ生命にて、保険商品の不適切販売が発覚し、日本郵便では現在他社の保険商品の販売を自粛することや、営業目標の廃止などが検討されています。

金融機関の窓販に課せられる厳しい「ノルマ」とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

現役銀行員であり、資産運用を担当している私の窓販ノルマの詳細を解説いたします。

「かんぽ生命問題」からみるノルマの実情

実際のノルマの数字を公開

窓口係として実際に目標として与えられているのが、

・ 投資信託や保険の新規先数5~10件
・ 積立投資信託5~10件
・ 投資信託販売額3,000万~5,000万
・ 保険商品販売額3,000万~5,000万
・ 販売手数料収益100万~300万

半年でこのような数字です。

銀行によってノルマの種類や金額は当然異なり、中にはお給料の振込み口座0件とか、年金の振込み口座0件のようなノルマも存在します。

また、銀行の窓口には入出金、納税、キャッシュカードの磁気不良など、全く別の用件で来店されるお客様が多く、その中でこの数字をコンスタントに達成するのは難しいと言えます。

私の勤務先では、現在定期預金の目標額は設定されていません

理由は長引く低金利のためでしょう。

金利が高かった時代は定期などでお金をどんどん集めてくることが重要視されていたのですが、今は投信や保険の販売手数料がとても大事な資金源となっているのです。

「目標」に対するプレッシャーからお客様に寄り添えないことも

私の勤務先ではいわゆる「ノルマ」のことを「目標」と呼びます。

「目標だから、必達のものではない」というのが理由らしいのです。

実際には日々凄まじいプレッシャーを感じています。

毎日の朝礼や終礼で「実績」や「見込み先」の発表をし、上司からは「推進したけど何の商品も販売できませんでした、だけでは許されないから」なんて檄を飛ばされることも日常茶飯事です。

「ノルマ」がある金融機関の職員は、おそらくほとんどの人がこういった環境下で仕事をしています

そのため、窓販の際に「お客様に本当に必要な商品なのか?」よりも「自分の成績に少しでも足しになる商品はどれなのか?」を優先してしまう場面が多々あります。

銀行も営利企業ですから、結局投資信託や保険の販売手数料などで稼がないと意味がないのです

そんな理由から、例えば手数料などのコスト面で言えば、

「ノーロード投信よりも手数料のかかる投信を購入してくれたらうれしいな。」

「円建ての保険よりも外貨保険の方がたくさん手数料を稼げるな。」

のように考えることは多いです。

プレッシャーからお客様に寄り添えないことも…

もちろん手数料の高い商品が「全て悪」とは思いませんし、手間がかかっている分とても魅力がある商品も多いと思っています。

しかし、資産運用をする上で「コスト」を抑えるというのも、一つの大切なセオリーです

手数料収益の目標が大きいと、そのような話がしにくくなるのは事実です。

金融リテラシーを磨き、自身のお気に入りの商品を見つけよう

今、メガバンクやその他の金融機関でもノルマの廃止が話題になっています。

「販売額」などのノルマ設定を辞め、お客様の満足度によって窓販担当者の評価を決める、といった取り組みが新聞でも度々紹介されています。

金融機関の営業は「脱ノルマ」への転換期を迎えています

とは言え、資産運用商品の選定を銀行員や保険の担当者に一任してしまうのはリスクが大きいです。

商品の魅力や中身を良く理解した上で購入することが、楽しく資産運用を行う秘訣と言えるでしょう。(執筆者:高崎 あおい)