この記事の最新更新日:2020年9月12日

近年、少子高齢化対策として教育支援に関するさまざまな取り組みが始まっています。

幼児教育・保育の無償化に加えて、2020年4月より私立高校の授業料無償化に向けた大幅な制度改革も行われました。

今回は私立高校無償化の詳細や対象世帯について解説します。

高校無償化 制度の概要

学校の風景

高校無償化と言われる制度は正しくは「高等学校等就学支援金制度」というもので、文部科学省が行う授業料支援を指します。

国公私立問わず高等学校等に通う所得等の要件を満たす世帯の生徒に対して、授業料に充てるための高等学校等就学支援金を給付するとして2010年に開始されました。

開始から4年後に世帯所得の制限が加わり、2019年度までは年収910万円未満の世帯に対して就学支援金が支給される形になっていました。

支給額は、

・ 特別支援学校を含む全日制の公立高校と全ての私立高校… 月額9,900円(年額11万8,800円)

・ 定時制の公立高校… 月額2,700円(年額3万2,400円)

・ 通信制の公立高校… 月額520円(年額6,240円)

・ 国立・公立特別支援学校の高等部… 月額400円(年額4,800円)

と定められており、単位制の高等学校については履修単位数に応じた支給とされています。

公立高校の授業料はどこの学校でもこの金額以下となるため、世帯年収が910万円以下であれば公立高校の授業料は実質無料になる仕組みです。

一方で私立では元々の授業料が国公立に比べて高額であるため、国から支給される支援金と授業料の差額に関しては世帯が負担することになり、支援が十分ではない状況にありました。

2020年度からはこの不測部分の支援内容が大きく変わり、

年収目安590万円未満の世帯では私立を含む様々な高校の授業料が実質無料

になるようになりました。

※590万円は控除前の所得(=年収)

2020年からの「私立高等学校授業料の実質無償化」対象者

2020年4月から高等学校等就学支援金制度が改正され、私立高校の平均授業料を勘案した水準まで加算支給額の上限が引き上げられました。

対象は保護者の年収目安が590万円未満の世帯の生徒です。

私立高校に通う学生について、これまでの支給では足りていなかった部分の授業料に関しても支給されるようになった、というイメージです。

年間で考えると、世帯年収が590万円未満の場合

・ 公立高校では11万8,800円

・ 私立高校では39万6,000円

を上限とした就学支援金を受けられます。

ここでいう私立高校は全日制の場合であり、通信制の私立高校では29万7,000円、国公立の高等専門学校は23万4,600円が支給上限となります。

単位制私立高校の場合の支援金の計算は単位毎となり、1単位につき最大1万2,030円(費用相当額)が支給され、実質無料になるケースがほとんどです。

一方、保護者の年収が590万円以上910万円未満の世帯はこれまでと同様に月額9,900円(年額11万8,800円)の支給のみ
となります。

私立の単位制高校の場合は1単位につき最大4,812円の支給額となり、差額は自己負担が必要です。

単位制高校の場合は支給期間と支給対象単位数に上限があるため、制度を利用する際はよく確認する必要があります。

これらの引き上げ後の支給額は在校生(2020年以前に入学した生徒)にも適用されます。

また、年収910万円以上の世帯についてはこれまでと同様に、支援金の支給はありません。

申し込みについては入学時の4月など手続きが必要な時期に学校から案内がされることとなっており、学校を通して申請することになります。

そのため、入学前に支払う授業料は一旦自己負担する必要があるので注意が必要です。

申請後審査などを経て実際に学校へ支援金が支給され、手元にお金に戻ってくるのは夏以降になることが多いようです。

詳しくは文部科学省のサイトで情報公開されています。

年収の計算方法についても、家族の構成人数や生計維持者が誰かなど状況によって変わりますので、自分の家庭が対象になるのか判断できない場合は学校に相談してみるのがおすすめです。

支援金をもらえるかどうかギリギリの年収ラインにある方は、iDeCoの利用などで所得判定額を見かけ上減らす工夫により、対象範囲内に収められる可能性もあります。

子供の可能性を広げる教育制度改革 今後も要チェック

勉強をしている風景

家計に大きく影響する教育資金ですが、昨今の少子化問題を背景に次々と対策が取られるようになってきました。

私立高校の無償化に向けた制度改正により、経済的な問題から国公立学校を選択せざるを得なかった世帯でも、子供の希望に応じて私立高校に通わせる選択肢を取れるようになるかもしれません。

授業料以外の施設利用費、教材費といったさまざまな教育費負担についても助成金を受けられる「高校生等奨学給付金」といった制度もあります。

看護科や情報科など一部の高等学校等の専攻科に通う生徒に対して、授業料と授業料以外の教育費の両方の支援が受けられる制度も2020年から始まりました。

授業料以外の教育費負担を軽減したい場合はぜひそちらも検討してみてください。

今後も制度改正が行われる可能性があるので、子供の進路希望に合わせて最新の制度をチェックしておくことが大切です。(執筆者:島村 妃奈)