利息0.5%でお金を借りられる「当座貸越」のメリットとデメリット 元銀行員が分かりやすく解説

総合口座は、普通預金と定期預金がセットになっている銀行口座です。

その総合口座に、自分の定期預金を担保にお金を借りられる「当座貸越」というサービスがあることをご存じでしょうか。

今回は、当座貸越とは何なのか、メリットやデメリットについても詳しく説明します。

利息0.5%でお金を借りられる 「当座貸越」 メリットとデメリット

当座貸越とは

当座貸越とは、総合口座の普通預金残高が不足した時、同じ口座にある定期預金から自動的にお金を借りられる銀行サービスです。

通常、当座貸越を利用できるのは20歳以上となっています。

当座貸越を利用した場合、通帳やネットバンキングの入出金明細には、金額の左に「-(マイナス)」がつきます

このことで、現在いくら定期預金から借り入れているかがわかります。

また、

利用限度額は、定期預金残高の90% または 銀行が指定する金額(通常は200万円程度)

で、その範囲でならいくらでも借りられます

当座貸越のメリット

MUFGの総合口座

≪画像元:MUFG Bank

次に、当座貸越のメリットについてお話しします。

メリット1:口座振替で残高不足にならない

当座貸越の最大のメリットは、口座振替の際に残高不足にならないことです。

たとえば、残高不足でクレジットカードの利用代金が落ちない場合には、

遅延損害金が加算される

個人信用情報機関の金融事故として記録される

などのリスクがあります。

しかし、請求金額が定期預金の9割未満の場合は、自動的に当座貸越が行われ、残高不足によるリスクを防げます。

メリット2:定期預金が担保だから金利が低い

自分の定期預金を担保とする当座貸越は金利が低めです。

銀行により若干の違いはありますが、一般的には、

金利は、担保となる定期預金の約定利率(金利)+ 0.5%

です。

現在は一般的な定期預金金利(年利)は0.01%ですので、それをもとに単純計算すると0.51%です。

消費者金融やクレジットカードのキャッシング金利が約15%、銀行カードローンの金利が約3~14%であることを考えると、かなりの低金利だと言えます。

※金利は2019年10月時点のものです。

メリット3:返済しやすい

普通預金残高の変動にともない、当座貸越による借金額も変動します。

そのため、長期間お金を借りっぱなしにしない限りは、1年で数十円~数百円の利息で済み、返済も容易です。

万が一返済が難しくなった場合には、最終手段として定期預金の解約で借金を清算できます

メリット4:高金利の借金に手を出さずに済む

当座貸越があると自分の定期を担保に低金利でお金を借りられるので、カードローンやキャッシングなどの高金利な借金に手を出さずに済みます。

当座貸越のデメリット

当座貸越は、借金です!

一方、当座貸越にはデメリットもあります。

デメリット1:借金している自覚が薄くなる

当座貸越は「借金」です。

しかし自分の定期預金を担保にしているせいか、借金している自覚が薄れがちです。

そのため、「今月は家計が赤字だから当座貸越に頼ろう」などと、安易に利用してしまう人も多いのです。

実はかつての筆者もその1人です。

実際に当座貸越を利用した際、一度利用すると借金することに抵抗がなくなることを実感しました。

筆者の場合は生活費の補填が目的であり、「困った時は当座貸越に頼ればいい」と思っていました。

そのような考えから、少額ずつ当座貸越の利用を繰り返した結果、借入金額が10万円単位になってしまったのです。

そこで「まずい」と気づいて定期預金を一部解約、マイナス分を全額返済しました。

以後は一度も当座貸越を利用していません。

もしその時点で危機感なく利用し続けていれば、100万円単位の定期預金を全額解約した可能性があります。

また、借金癖がついてキャッシングなどに手を出していたかもしれないと思うと、今でもぞっとします。

デメリット2:預金利息と比べるとはるかに高金利

借金の利息としては低金利の当座貸越ですが、預金金利と比べるとはるかに高金利です。

先ほど単純計算した

当座貸越金利(0.51%)は、普通預金金利(0.001%)のなんと約500倍

定期預金金利(0.01%)と比べても50%

です。

そのことから、改めて当座貸越が借金であり、利用するのは損であることがわかります。

当座貸越を上手に利用する方法

当座貸越は、口座振替で残高不足にならないなどのメリットがあり、それで助けられた人もいるでしょう。

しかし、先述した通り当座貸越はまぎれもない借金であり、デメリットもあります。

そのような当座貸越を上手に利用するには、次のことを心がけましょう。

心掛け1:「当座貸越 = 借金」の認識を持つ

何度も言いますが、当座貸越は「借金」です。

返済できなければ定期預金を解約することになり、いざという時に必要なお金を確保できなくなる恐れがあります。

常日頃から「当座貸越 = 借金」という認識を持ち、本当に家計がピンチの時だけ利用するようにしましょう。

当座貸越の利用を考える前に、まずは支出を見直してみましょう

場合によっては、当座貸越を利用せずにすむかもしれません。

心掛け2:普通預金残高を長期間マイナスにしない

やむを得ず当座貸越を利用した場合、普通預金口座を長期間マイナスにしないことも重要です。

日割り計算となる当座貸越の利息は、当然ながら利用日数が長くなるほど増えます

また、口座がマイナスになっている状態が当たり前になると、借金へのハードルが下がる恐れもあります。

そのような負の影響を避ける意味でも、当座貸越利用後はできるだけ早く普通預金口座をプラスに戻しましょう

当座貸越は借金、安易な利用は控える

長い人生で、どうしてもお金が足りなくなる時はあるものです。

そのような時に自分の定期預金を担保に低金利で借りられる当座貸越は非常に助かる存在です。

しかし、当座貸越は借金であり、安易に利用すればさまざまな弊害も生じます。

特に、借金に対する心理的抵抗感の薄れは、さらなる借金を生む危険をはらんでいます。

ぜひ常に節度を持ってお金と向き合い、安易な当座貸越の利用は避けましょう。(執筆者:大岩 楓)

この記事を書いた人

大岩 楓 大岩 楓(おおいわ かえで)»筆者の記事一覧 (132)

元銀行員にしてベテラン主婦のフリーライターです。クレジットカードや節約記事などの執筆のほか、既成記事の校閲も行っています。50代になった現在、最大の関心事はずばり「老後のお金」今後のマネープランについて真剣に考え始めました。そこで自らの勉強も兼ね、銀行員時代に培った金融知識と25年以上の家計管理経験をベースにお金に関するさまざまな事柄について深堀りしていきます。
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