生命保険の保険料の払込方法としては、

毎月支払う「月払」
半年ごとに支払う「半年払」
毎年1回支払う「年払」

などがあります。

その他に保険期間(保障期間)全体の保険料を、契約時に1回で支払う「一時払」や、保険金額の一部に対応する保険料を、契約時に支払う「一部一時払(頭金制度)」などがあります。

また保険料の払込み経路としては、口座振替、クレジットカード払い、給与からの天引き(生命保険会社と勤務先が団体契約している場合)、送金(振込用紙を使って支払う)などがあります。

例えば口座振替を選択した場合には、契約者が指定した口座から、自動的に引き落としされるため、普段は自分が支払っている保険料の金額などを、あまり意識しないかもしれません。

ただ年末調整の前になると、生命保険会社から「生命保険料控除証明書」が送付され、その中に記載されている金額などを、「給与所得者の保険料控除申告書」に転記するため、この時ばかりは意識すると思います

また転記した申告書を勤務先に提出すると、年内最後の給与を受け取る時などに、還付金を受け取れる可能性があるため、多少の手間がかかっても、きちんと手続きしていると思います。

控除額の上限に達したら 分散加入しよう

生命保険料控除により所得税が還付され、住民税は金額が安くなる

1月から12月に支払った(支払う予定の)生命保険の保険料は、年末調整や確定申告の際に、「生命保険料控除」として所得から控除できます

また控除により低くなった所得に対して、税率を乗じて税金を算出するため、控除前より所得税や住民税が安くなります。

結果として、

「1月から12月の給与から天引きされた仮の所得税の合計>生命保険料控除などを適用した後の所得税」

になった場合には、上記のように両者の差額が、還付金として支払われます

要するに還付金といっても、その中身は納め過ぎた自分の所得税ですが、やはり還付金を受け取れるのはうれしいと思います。

なお住民税については、還付金を受け取るのではなく、給与から控除されている住民税が、翌年の6月から安くなります

旧制度は2種類の控除しかないが、新制度より控除できる金額が多い

生命保険料控除は契約(更新、特約の中途付加、転換なども含む)した日が、2012年1月1日以降の場合には、新制度が適用されるため、次のような3種類に分かれます。

1. 一般生命保険料控除

死亡保険(掛け捨て型の「定期保険」や「収入保障保険」、貯蓄型の「終身保険」や「養老保険」など)、学資保険などの保険料を、支払った場合に受けられる控除です。

2. 介護医療保険料控除

医療保険、がん保険、介護保険、就業不能保険などの保険料を、支払った場合に受けられる控除です。

3. 個人年金保険料控除

個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険の保険料を、支払った場合に受けられる控除です。

またそれぞれの生命保険料控除を受けた場合の控除額は、次のような金額になります。

新制度での生命保険料控除額

一方で契約日が2011年12月31日以前の場合には、旧制度が適用されるため、「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類に分かれます

またそれぞれの生命保険料控除を受けた場合の控除額は、次のような金額になるため、新制度より控除額が少しだけ多くなるのです。

旧制度での製麺保険料控除額

所得税は8万円超、住民税は5万6,000円超だと、控除額が一律になる

これらの表の中で注目すべきなのは、控除できる金額の上限です。

例えば新制度で所得税を計算する場合には、3種類の生命保険料控除のいずれについても、年間に支払った保険料が「8万円超」だと、所得から控除できる金額は「一律4万円」になります

ですから所得税の計算では12万円(4万円 × 3)が、所得から控除できる金額の上限になります

また住民税を計算する場合には、3種類の生命保険料控除のいずれについても、年間に支払った保険料が「5万6,000円超」だと、所得から控除できる金額は「一律2万8,000円」になります。

そうなると住民税の計算では8万4,000円(2万8,000円 × 3)が、所得から控除できる金額の上限になりそうですが、実際は7万円が上限になってしまうのです。

節税効果を高めるために、生命保険の加入に関する偏りを解消する

偏りを解消して保険を分散加入した方が節税効果が高い

生命保険文化センターが3年ごとに実施している、「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険に加入している世帯が支払っている保険料の平均額(2018年度)は、年間あたりで38万2,000円になります。

また個人年金保険の世帯加入率(全生保)は意外に低く、21.9%になっております。

こうようなデータから考えると、一般生命保険料控除が受けられる生命保険(死亡保険など)については、年間の保険料の支払いが「8万円超」や「5万6,000円超」になっている方が、かなり多いと推測されます。

一方で個人年金保険料控除が受けられる生命保険(個人年金保険)については、年間の保険料の支払いが「8万円超」や「5万6,000円超」になっていない方が、かなり多いと推測されます。

こういった偏りを解消して、3種類の生命保険に分散加入した方が、節税効果が高くなると思います。

例えば子供が社会人になったタイミングなどで、死亡保険の保険金額を減らせば、支払う保険料が少なくなります。

それによって余ったお金で個人年金保険に加入すれば、分散加入が進むのですが、個人年金保険より節税効果が高い、iDeCo(個人型の確定拠出年金)に加入しても良いと思います

都道府県民共済、収入保障保険、10年定期保険などで保険料を抑える

一般生命保険料控除が受けられる生命保険(死亡保険など)の保険料を、住民税の上限である5万6,000円くらいにするには、1か月あたりの保険料を、4,600円くらいにする必要があります。

このような難題について解説している、「どんな家庭でも生命保険料は月5,000円だけ」(著:藤井泰輔)を読むと、独身や子供のいない夫婦に対しては、「都道府県民共済(総合保障2型)」を推奨しております

また子供のいるサラリーマン家庭や自営業の家庭、母子家庭(父子家庭)に対しては、「収入保障保険」もしくは「10年定期保険(特に勤務先の会社や、所属する組合で加入できる団体定期保険)」を推奨しております。

いずれにしろ年末調整の際は、生命保険料控除証明書の金額をただ転記するのではなく、保障内容や保険料の金額が適切なのかを、検討したいところです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)