認知症や判断力に不安な人のお金の管理を代行する「日常生活自立支援事業」 サービス内容・利用条件・利用方法など解説

高齢になると、金銭面のさまざまな手続きが困難になってくる人が多いです。

とくに認知症の人には、

預貯金の入出金

公共料金や保険料の支払い

年金に関する諸手続き

といったお金の管理はとても厄介なものです。

家族が遠方にいてフォローができない場合、このようにお金の管理に不安のある高齢者が頼りにできるサービスのひとつに、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」があります。

今回は、認知症高齢者の金銭管理をはじめとしたさまざまなサポートをしてくれる「日常生活自立支援事業」について、サービス内容、利用条件、利用方法などをくわしくまとめました

日常生活自立支援事業

こんな「困った」に対応 日常生活自立支援事業のサービス内容

社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」では、認知症高齢者の方に向けておもに以下の3つのサービスを提供しています。

1. 福祉サービス利用援助

本人が利用できる福祉サービス(介護保険サービスや障害者福祉サービスなど)について、情報提供や相談をはじめ、契約や手続きのお手伝いをします

また、郵便物の確認や役所での行政手続きもしてくれます。

さらに、間違えて購入してしまった商品のクーリングオフ制度の手続きを代行もしてくれます。

どれも自分で行おうとすると、非常に複雑で手間のかかる手続きですから、こうした支援サービスがあると助かります。

2. 日常的金銭管理サービス

冒頭で紹介したのが、この「日常的金銭管理サービス」です。

口座の入出金
福祉サービスや医療費の支払い
税金・公共料金・保険料等の支払い
家賃の支払いなど

を代行してくれます。

ほかに、年金や福祉手当などの受領手続きもおこなっています

3. 書類等預かりサービス

通帳類、年金証書、不動産権利証書、保険証書、実印などの重要な書類やハンコを預かってくれるサービスです。

うっかり紛失してしまったり、どこにしまったのが忘れてしまったりすると、肝心なときに必要な手続きが行えず困ってしまいます。

重要書類や印鑑をまとめて預かってもらえれば、失くしたり盗難にあったりする心配もなく、必要なときにすぐ用意できて便利です。

日常生活自立支援事業を利用できる人

制度を利用できる人

お金の出し入れ、各種支払い、重要書類の保管といったプライベートに関わるサポートは、誰にでも気軽に頼めるようなことではありません。

その点、行政機関でこうした作業を請け負ってくれるのはとても安心感があります

ただ、日常生活自立支援事業サービスには利用条件が設けられているため、誰でも自由に利用できるわけではありません

日常生活自立支援事業は、以下の2つに該当する人が対象です。

・ 軽い認知症、知的障害、精神障害などがあり、判断力に不安のある人

・ お金の出し入れや支払い手続きがひとりでは難しい人、大事な書類等の保管が不安な人

ただし、認知症の診断を受けていない人、障害者手帳を取得していない人でもサービスの対象になる場合があります。

「福祉サービスを利用したいけど、自分で手続きするのが不安」

「生活上の契約ごとで困っている」

「失くしものが多く通帳の管理が不安」

このような人で日常生活自立支援事業の利用を希望する人は、地域の社会福祉協議会へ問い合わせてみましょう。

日常生活自立支援事業のサービス利用の流れ

日常生活自立支援事業の窓口は、市町村の「社会福祉協議会」になります

本人でなくても、家族、ケアマネジャー、民生委員などからの相談でも大丈夫です。

その後、専門員が自宅や施設をたずね、相談や打ち合わせをおこないます。

相談内容は、プライバシーを考慮し秘密厳守ですので、安心してお話ししてください。

打ち合わせの後、具体的にどのような支援をおこなっていくか「支援計画」を立てたら、いよいよ計画に沿って生活支援員によるサービスが開始されます。


サービスの利用料金は有料です

日常生活自立支援事業サービスは、相談は無料ですがサービスの利用は有料です。

料金は、地域やサービスの内容や個々の所得によって異なりますので、お住まいの地区の社会福祉協議会で確認しましょう。

ちなみに、横浜市の場合、福祉サービス利用援助や金銭管理サービスは、1回の利用で0円~2,500円、書類等預かりサービスは、月額0円~250円、年額0円~3,000円です。

お住まいの地区の社会福祉協議会で確認

福祉サービス利用援助や金銭管理サービス

成年後見制度との違い

本人の金銭を守る手段としては、ほかに「成年後見制度」という選択肢もあります。

今回ご紹介している日常生活自立支援事業サービスとは、何が違うのでしょうか。

日常生活自立支援事業サービスは、基本的に日常的な金銭管理フォローや福祉サービスの利用支援であるのに対し、成年後見制度は家庭裁判所を介して本人を保護する制度になります。

財産管理や契約ごとなど、法律的行為が関係するものも含まれており、本人の判断能力が不十分な場合に認められます。

ただ、成年後見制度では、もし家族ではなく弁護士などが後見人に選ばれた場合、報酬が発生するので要注意です。

家族以外が後見人に選ばれるのを避けるために、家族に財産の管理を託す「家族信託」を選択する人も最近は増えているようです。

どの方法を選ぶかは、家族でよく話し合って決めていきましょう。

条件に合えば、非常に便利なサービスです

日常生活自立支援事業サービスは、本人の日常生活におけるお金や福祉サービス利用のサポートです。

認知症高齢者が対象になってはいますが、本人が契約内容を理解できること、利用の意思があることが利用の前提条件ですので、重度の認知症の人には向きません

もし条件に合えば、非常に便利なサービスですので、該当する人はぜひ利用を検討してください。(執筆者:渡辺 有美)

この記事を書いた人

渡辺 有美 渡辺 有美(わたなべ ゆみ)»筆者の記事一覧 (21)

OL時代は都銀で支店窓口→秘書室に転勤になり役員秘書に従事。その後、結婚と子育てを経て、人様のお世話をする仕事がしたくなり、介護の道を選びました。介護福祉士としてデイサービス・特養・訪問介護の現場で10年以上働いた経験を活かし、介護にかかるお金や、さまざまな生活の知恵をお届けしていきたいと思います。
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