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NISA恒久化見送りとの情報 今後も非課税期間(5年)の終了時期には注意

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NISA恒久化見送りとの情報 今後も非課税期間(5年)の終了時期には注意

2019年10月16日に、政府・与党が2023年投資分までの期限付きで導入されている少額投資非課税制度(NISA)の恒久化を見送る方向であることが、共同通信配信記事などで報道されました。

与党税制改正大綱の策定は12月の話なので、この報道はまだ確定ではない点に気をつけてほしいのですが、記事の反応としてはこの報道に違和感を覚える声も見られました。

NISAと言えば、昨年2018年から非課税期間を終える株式や投資信託に対して、延長(ロールオーバー)の手続きを求められるケースが出ています。

年末が近づく時期には今後も毎年、この手続きを意識することになるでしょう。

NISA恒久化見送り

富裕層優遇が見送りの原因なのか?

違和感の声が多く見られたのは、見送りの理由に「富裕層への優遇だとの指摘もあり」という点でした。

証券税制に触れ、自身でNISA口座を保有している筆者でもNISAが富裕層優遇だという批判は聞いたことがありませんでした

この報道では恒久化を見送るものの時限措置で存続させること、つみたてNISAは期限を延長することも明らかになっています。

このことから、実際には下記のようなことが考えられます。

一般NISAで指摘されている問題点

つみたてNISAではない一般NISAは高齢者の口座が多く、若年層の資産形成に役立っていないという批判はありました。

老後2,000万円問題で話題になった報告書は、若年層に老後資金の形成を促す狙いがあり、実際につみたてNISAなどへの関心も高まりました。

しかし一般NISAのほうは、資産形成の手段として税制優遇を続けるべきなのかという批判があがって然るべき状況でした

その意味では、恒久化は見送るべきだという話になるのはわからないでもありません。

富裕層優遇とされている税率の問題

富裕層優遇だという批判が、革新系野党の間では高まってきているのは事実です。

ただし、具体的にNISAを批判しているというよりは、約20%である金融所得の所得税・住民税率を上げるべきだという意味で批判しています

総合課税の所得税率は超過累進税率をとっているのに対し金融所得の税率は一定のため、合計所得金額1億円を超えてくると、かえって負担率が下がってくるというデータはあります。このため、財務省も税率を上げたがっています。

1年前のちょうど秋頃は、金融所得の税率上昇を見送るという報道がありましたが、これを富裕層への配慮と解釈するなら真逆の話が出ているようにも見えます。

NISA恒久化を見送るから税率上昇には至らないとも、逆に実際に指摘されている富裕層優遇批判を避けるために税率上昇への道筋をつけるとも解釈できます

いずれにせよ、富裕層優遇との声を意識しているとするのであれば、税率が25%~30%に上がる時期は遠くないようにも見えます

国の話ではありませんが、東京都税制調査会で出された2019年の答申でも、金融所得課税強化の検討が盛り込まれています。

今後も11~12月はロールオーバー手続きに注意

ロールオーバー手続きに注意しましょう

一般NISAの非課税期間は5年(厳密には、投資した年の4年後の年末まで)であり、この期間内で売却した場合に非課税の恩恵を受けられます。

ただし、ロールオーバーの手続きにより非課税期間がさらに5年間延長されます

NISA恒久化実現見込みが非常に低くなったとなれば、今後も5年間の非課税期間を意識し、ロールオーバーしたい場合は金融機関が定めた期限までに手続きが必要です。

NISAは2014年開始の制度ですので、2018年に初年度に投資した分のロールオーバー手続が始まりました。

2019年末は2015年投資分の手続き、2020年末は2016年投資分の手続き…と順々に手続きが迫ってきます

金融機関から手続きの案内は来るはずですが、保有している株式や投信などはいつ投資したのか、そしてロールオーバーして保有すべきかを毎年11~12月には意識しておく必要があります

早いところでは、11月末を期限としています。ロールオーバーすべきかは、11月のうちから考えておいたほうがいいです。

NISA口座保有株に対する対策

ロールオーバー候補の保有株に関しては

・ 翌年から課税口座に移す(手続不要)
・ ロールオーバーを行う
・ 売却する

のいずれかを選択します。

課税口座に移せば移管時点の時価を取得費として、そこから値上がりすれば課税対象、値下がりすれば他の上場株式等譲渡所得と相殺できます

ロールオーバーすると、翌年の非課税投資枠を使う点にも気を付ける必要があります。

1銘柄の時価が120万円を超えているのであれば、ロールオーバーで非課税枠全額使い切った方が得です。

2020年が上昇基調になりそうだと考えているなら、課税口座移管よりは非課税を継続したほうが得です。

以上対策を簡潔に説明しましたが、詳細は昨年の記事で触れています。


最後に、今年からの変更点など追加の注意点について2点触れます。

2019年分非課税枠の終了日

2019年7月半ばから、決済期間(売買成立から決済までの期間)が短縮しているので、この点にも気をつける必要があります。従来であれば12月25日の売買注文で2019年分は終了でしたが、1日遅くなり26日が締めです。

したがって12月26日の買付成立までは2019年分の非課税枠で投資でき、27日以降は2020年分の非課税枠で投資できます

ロールオーバーの期限が過ぎてしまった場合

ロールオーバーの期限を過ぎてしまった場合は、このまま所有し続けると課税口座に移管されてしまいます

それを好ましくないと考えているのであれば12月26日までに売却し、翌日以降に2019年分もしくは2020年分の非課税枠で買いなおすとよいでしょう。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)

《石谷 彰彦》
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石谷 彰彦

石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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