目次
「信用倍率」とは

今回は、株式の需給関係で特に意識しなければならない「信用倍率」について、その見方とポイントについて解説していきたいと思います。
信用倍率とは、信用取引で買い付けしている株数を空売りしている株数で割って算出されます。
この信用倍率には、
・ 一般信用
・ 制度信用
の2種類があり、特に意識しなければいけないのが期日のある制度信用取引の信用倍率です。
信用倍率は一桁台前半で推移する状況が好ましく、需給的にも良好といえます。
ポイント1:銘柄選別時は信用倍率をまず確認する
日本の個人投資家は、短期売買を好んでする傾向にあるため、信用倍率が高まるにつれ注意が必要です。
信用倍率が高いということは信用取引で買っている投資家が非常に増えてきていることを意味し、少し株価が上がっただけですぐに売られ下落してしまう可能性が高くなるのです。
銘柄選別時は信用倍率ができるだけ低いものを選択するように心掛けましょう。
ポイント2:日中出来高の平均に注目
上記では、信用倍率が高まると需給関係が悪化してしまうと述べましたが、必ずしもそれがすべて正しいわけではありません。
信用倍率が高くても、単に空売りが少ないだけの場合があります。
そこでポイントとなるのが、対象銘柄の日中出来高の平均値です。
信用買い残が日中出来高の平均とほぼ変わらない水準ならば、
と判断ができます。

ポイント3:信用倍率から相場の転換点を予測
制度信用取引は、半年後に期日が来るため、それまでに反対売買をする必要があります。
この性質を利用し、ヒストリカルから信用残が増減した時期を見極めることで相場の転換点を予測できます。
・ 上昇局面… 信用買い残が増加し始めてから半年後に頭打ちする可能性が高まりますので、それに向けて株価が高値を取っていく場合、下落時期をある程度予測ができます。
・ 下落局面… 信用売り残がいつごろから増えたのかが分かれば、そこから逆算しいつごろ需給関係が改善するのかを予想することができ、タイミングよく売買することが可能なのです。
しかし、この分析にはある程度の知識と経験を必要とするので、投資判断には十分に注意が必要です。
信用倍率は正しい判断基準
信用倍率は銘柄選別時に非常に重要であり、日本の投資家は特に短期売買をメインに考えていますので、正しい投資判断をするためにも事前に確認するよう心掛けましょう。
また、需給の改善時期は相場の転換点になる可能性が高いので、日ごろから注意して見ておきましょう。(執筆者:白鳥 翔一)