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遺言の主流である「自筆証書」と「公正証書」

それぞれのメリット・デメリットについては、正に相反するといった感じです。
どちらがおすすめかは個人の事情にもより、一概には言えませんので、1度整理してみましょう。
自筆証書のメリットは、公正証書のデメリット
自筆証書遺言のメリットは何といっても、
・費用がかからない
の2点に尽きます。
自筆の場合、これまではすべての内容を本人が手書きしなければならなかったのですが、民法が改正され財産目録についてはコピーなどでもよくなったので、以前と比べて格段に書く手間が省かれると感じる方も増えたのではないでしょうか。
そして、かかる費用はせいぜい紙とインク代程度です。
一方公正証書の場合、戸籍謄本などの書類収集、公証役場に最低でも1度は足を運ばなければならないという手間があります。
そして公証人への手数料、行政書士などにサポートを依頼すればその費用、証人費用と、遺言内容や財産額にもよりますが、結構な出費となる場合があります。
公正証書のメリットは安全性
相続に関係のない証人2名と公証人と本人の計4名で最終的に内容を確認して調印することで客観的信頼性が生まれます。
後から改ざんすることは不可能ですし、専門家である公証人が作成している文書なので、本人死亡後、相続にすぐ取りかかれます。
万一失くしたり、隠されたりしても再交付が可能です。
一方、自筆証書の場合、内容に不満を持つ相続人がいると、改ざんや偽造を疑われるリスクがあります。
また、相続時に使用するためには家庭裁判所で検認を受けねばならず、その際に遺言者の出生から死亡までの戸籍や全相続人の戸籍をそろえる必要があります。
公正証書作成に必要な書類より取得に手間も時間もかかることがほとんどです。
また、様式に不備があると検認してもらえないというリスクもあります。
どちらを選ぶべきか

自筆証書と公正証書の違いは、極論かもしれませんが、
ということです。
遺言の内容が法定相続に比べて偏りがある場合(団体への寄付や第三者への贈与など)や、自分の死後に相続人同士の争いを絶対起こしてもらいたくない場合には公正証書にすべきでしょう。
しかし、普段から家族仲が良く、遺言内容について相続人が知らされており、納得しているような場合であれば自筆証書で十分かもしれません。
相続がスムーズにいくように気配りしておく
と考えるのがもっともな話だと思います。
ただ、遺言は自分の最後の希望を叶えてもらうものですから、いずれの方法を選択するにしても、気持ちよくスムーズに相続が進められるように気配りをしておくことは大切です。(執筆者:橋本 玲子)