葬儀費用は節税にもなる

相続税の基礎控除前後の方が、税理士事務所に相談に行けば、当然申告するようアドバイスされます。

当然です、申告書を作成するのが「お仕事」だからです。

例えば相続が発生し、相続人が3人(配偶者と子供2人)とします

そうすると、相続税の基礎控除が、

3,000万円+600万円 × 3人=4,800万円

となります。

遺産が、5,000万円あれば相続税申告は必要です。

もっとも、葬儀代金で、200万円使用すれば申告不要です。

葬儀に相応のお金をかける予定であればそれもありでしょう。

また、香典が多く予定される家であれば、実質、葬儀代金は、香典でまかなえます。

しかも、香典は、非課税です。相続財産に含まれることもありません

節税のため、葬儀代金を多く払うのは本末転倒ですが、故人や喪主が、相応の葬儀を行う必要があれば、結果として、相続税の節税にもなります。

遺産が5,000万円あると「相続税の申告」は絶対必要

無申告で逃げ切れるか

ご存じのように、現在当局では無申告者に対して目を光らせています

相続税申告についても同様で、せっかく相続税の基礎控除を引き下げ、課税対象者を増やしたはずなのに、当初の予想以下の申告件数になっているからです。

そこで、当局は相続発生後6か月ぐらいの時期に「お尋ね書」を相続人宛てに郵送しています。

この、お手紙は、「申告書の提出が必要でありそうな方」を選別した上で郵送していますので、お手紙をいただいた方は、放置しておかない方がよいでしょう。
 

相続税申告についての「お尋ね書」が来たら

実際、相続人の数まで把握してお手紙を発送しているわけではないので、申告不要な方もいらっしゃいます。

それでも、お尋ねの回答は、行いましょう

よくあるのは、相続発生前に、多額の預金を引き出し、故人の預金ではなく、現金や家族名義にして預かっている場合です。

相続人にあげたのであっても3年以内の贈与は遺産に持ち戻し計算になります

預けているだけなら3年以上前のものでも相続財産に加算されます。

通帳の動きは、きちっと見られますので、ごまかす訳にはいきません

形式的にごまかそうと考える方が多いのですが、当局は事実認定です。

生前に不動産を売却した方

死亡時点では、故人の不動産・預金は、基礎控除以下でも、不動産売却金を家族名義預金にて預かっているケースは多いです。

本当に贈与しているのか、贈与したふりだけなのかが、争点となります

土地を売却すれば、登記情報から譲渡所得の申告も避けられません。

そして、この不動産の売却者情報は相続税申告者の見込みリストになるのです。

つまり売却して残ったお金を加算すれば「申告が必要になっていませんか」といったところをチェックするわけです。

ですから、お尋ね書の回答で、売却金で家を購入したとか、子供に住宅資金の非課税贈与をしている等のコメントもして、クリアにしておいた方がいいでしょう。

また、預金の動きは調査されますので、何に使用したのかその都度記入し後日説明できるようにしておくといいでしょう。

財産が5,000万円前後の方が、事前に行うべきこと

相続税の基礎控除前後の方は、そもそも対策が不要なのかの確認が大切です。

もし申告が必要な方でも、ちょっとした事前の工夫で、不要になることもあります。

事前の「お金の引き出し」は、後日、相続税調査の対象になりやすいこと、また争族のネタになるかもしれない事をお忘れなく。(執筆者:橋本 玄也)