何度お会いしてもその度に、かつて加入していた保険の苦情を切々と訴えるお客様がいます。
内容は見直しや解約にまつわるものですが、何年たっても何度話しても、お客様の気持ちが晴れる事はないのです。
それは保険の、
・ 常に使うものではないので内容を忘れやすい
・ 「保障」という目に見えないものにお金を払っている
といった特性に加え、保険外交員に対する不信感があるからでしょう。
そこでその事例をご紹介する事で、皆さんに注意喚起をしたいと思います。

目次
【事例1】配当金を引き出そうとしたら…
配当金が付くかどうかは決算の結果次第なので、配当金は必ず付くものでもなければ、その金額も決まっていません。
また同じ保険会社でも加入している保険の種類によって異なりますので、配当金が付いている事に気付かないお客様もいます。
さて、その配当金はお客様がいつでも自由に引き出せますが、お客様の苦情は、
というものです。
配当金がなくなった原因は、保険を見直した事でした。
今加入している保険を新しい保険に見直すと、新規に加入するより保険料が安く済みます。
その理由は貯まっている解約返戻金が下取りされるからですが、実はその時、配当金も下取りされてしまうのです。
そうであれば見直しに当たっては、以下の説明・プロセスを踏まなければならないでしょう。
・ 配当金も下取りした場合と配当金はお客様にお渡しした場合とで、見直し後の保障内容と保険料とを比較 → どちらが得かの検討
しかし配当金がなくなっている認識がお客様になかったという事は、この手続きが不十分だった可能性があります。
理由は、下取り金が多ければ多いほど見直し後の保険料が上がらないように保険設計ができるからで、最新の保険になっても保険料がそれほど上がらない事は、有効なセールスポイントになります。
【事例2】お金が借りられない
契約者は解約返戻金を担保にしてお金を借りる事ができます。
利子は付きますが、急場を凌ぐためにこの制度を利用する人は意外といます。
とお怒りだったのはそんなお客様の一人です。
下取りする解約返戻金は見直し後の保険に解約返戻金として残しておく事もでき、見直し後の保険設計で、その割合を決められます。
下取り金の金額と見直し後の保障内容・保険料との関係は【事例1】の通りなので、この辺の説明不足の可能性も【事例1】同様、考えられます。
このお客様の場合、解約返戻金の多くが下取りされてしまったわけです。
【事例3】5,000万円もの大きな保険に入っていたのに
お客様の苦情は、
というものです。
理由は簡単です。
加入していた保険には貯蓄性のある終身保険が100万円しかなく、残り4,900万円の死亡保障(三大疾病などの保障と死亡保障を兼ねたものを含む)と医療保障などの特約保険料は掛け捨てだったからです。
日本の大手生命保険会社などでよく売られるこの手の保険は、外交員にとってお給料が上がる、とてもおいしい保険です。
ですが、解約返戻金がもっと貯まる保険にすれば保険料も高くなるわけで、この辺の仕組みをお客様に十分ご理解いただいていなかったと考えられます。
自身の保険のタイプや配当金などをチェックしてください

今回は、お金に大きく関係する事例をご紹介しました。
最近は保険関係者でなくても保険に詳しい人は多くなりました。
大きな保険だから解約金が貯まる、保険料を高く払っているから解約金もたくさんある、というわけではない事はご存じの人も多いでしょう。
ですが今一度、ご自身の保険のタイプや配当金などをチェックしてみてください。(執筆者:金澤 けい子)