老齢基礎年金は「繰り上げ」「繰り下げ」受給ができる　具体的な増減率を解説

老齢基礎年金とは、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金の老齢に関する年金です。

老齢基礎年金の受給要件を満たした人は、65歳から年金を受けとれます。

このことは多くの人が知っていることかもしれませんが、わりと知られていないのが、

ということです。

今回は、老齢基礎年金の繰り上げ受給、繰り下げ受給について詳しく解説していきます。

老齢基礎年金の受給要件

老齢基礎年金の繰り上げ受給や繰り下げ受給をするには、まず老齢基礎年金の受給要件を満たしていなければなりません。

老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合算対象期間を合わせて10年以上あれば65歳から受給されます。

老齢基礎年金の繰り上げ受給

老齢基礎年金繰り上げ受給には、「全部繰り上げ受給」と「一部繰り上げ受給」があります。

「一部繰り上げ受給」は特別受給の老齢厚生年金が受給される人だけが対象のため、今回は全部繰り上げ受給について解説していきます。

繰り上げ受給の内容

老齢基礎年金が受給されるのは原則65歳からですが、希望した場合は60歳～65歳までの間に繰り上げて受給できます。

ただし、繰り上げした期間に応じて65歳から受給できる金額よりも減額されます。

この減額率は生涯続くものですので、よく考えてから決定してください。

減額率

減額率は以下の計算式によって計算されます。

繰り上げ受給の例

65歳から年額70万円の老齢基礎年金を受け取れる人が、60歳0か月から繰り上げ受給を行う場合をみてみましょう。

この例の場合は、年額49万円の老齢基礎年金を生涯受け取ることになります。

老齢基礎年金の繰り下げ受給

続いて、繰り下げ受給についてみていきましょう。

繰り下げ受給の内容

老齢基礎年金の繰り下げ受給とは、繰り上げ受給とは反対で66歳以上で受給申請を行うことを言います。

月単位で年金額の増額が行われ、増額率は生涯変わりません。

増額率

増額率は以下の計算式によって計算されます。

70歳到達日以後の繰下げ受給の請求は、70歳到達時点での増額率となります。

繰り下げ受給の例

65歳から年額70万円の老齢基礎年金を受け取れる人が、66歳0か月から繰り下げ受給を行う場合をみてみましょう。

この例の場合は、年額75万8,800円の老齢基礎年金を生涯受け取ることになります。

増額・減額は一生涯続く

老齢基礎年金の繰り上げ・繰り下げ受給について、具体的な例をあげてご紹介しました。

という点に注意して、自分に合った受け取り方を選ぶようにしてください。（執筆者：社会保険労務士、行政書士 小島 章彦）