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訪日外国人4,000万超えで2020以降も需要増 空家で「民泊運営するか否か」判断のポイントと掛かる費用

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訪日外国人4,000万超えで2020以降も需要増 空家で「民泊運営するか否か」判断のポイントと掛かる費用

先日、

「オリンピックイヤーは宿泊施設の不足により、民泊が活況になるんじゃないかと思い、2世帯住宅の1世帯が空家なので民泊に活用したいのですができますか」

というご相談を受けました。

実際に、東京都内のホテルの宿泊価格は高騰しているにも拘わらず、週末などはなかなか予約が取れません。

宿泊施設の不足を現在は民泊が補っているという現状もあり、オリンピックイヤーの民泊運営には勝機がありそうです。

現在の民泊を取り巻く環境

airbnb

≪画像元:airbnb≫

民泊は、個人や不動産業者が空家の一部を宿泊施設として活用して宿泊料を受け取るサービスで、Airbnbなどのサイトに情報登録し、宿泊客の募集を行います

民泊新法施行前

本来は、旅館業法に則って簡易宿所営業の許可を取るなどして宿泊施設を経営しないとなりませんが、訪日外国人が増えたことで、各自治体は民泊特区を設定し、旅館業法の適用を受けなくても宿泊施設の運営ができるようになりました。

しかし、民泊運営が増加するにつれ、簡易宿所営業の許可を取らなかったり、民泊特区外で民泊を行ういわゆる闇民泊をする人も増えていきます。

管理がずさんな民泊物件も多く、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが多発し、一定のルールを定める必要ができたため、健全な民泊サービスの普及を図るものとして、新たに平成29年6月に住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行されました。

民泊新法施行後

民泊新法では、届け出が必要になり、180日の営業制限や消防設備の設置が必要になるなど手続きが面倒だということで個人業者は次々と撤退し、春には約6万2,000件だったAirbnbの登録件数が、民泊新法施行後は1万3,800件まで激減しました。

その影響もあり、2018年は民泊の売上は約3割落ち込みましたが、その年の訪日外国人は3,000万人を超え、2019年には回復し、オリンピックイヤーの2020年には4,000万人が目標とされています。

最近では、楽天などの大手も民泊・宿泊予約サイト事業に参入し、民泊運営を手伝う民泊代行業者も多いことから民泊に参入しやすい環境になっています。

「民泊運営するか否か」判断のポイント

冒頭の相談者の詳しい相談内容は、

「2世帯住宅の1世帯空き家になっているんだけど、放置しておくのは痛むばかりだし、リフォームしても借り手がつくかわからないし、費用を回収できるかどうか不明。

民泊でリフォーム費用を半分くらい回収できるなら、オリンピック後に借り手がついたら貸してもいいし、つかないならボランティアで学び目的に場所提供してもいいし諦めがつくかなと思っている」

というお話でした。

空家で「民泊運営するか否か」 判断のポイント&掛かる費用

ポイント1:建物の所在地

このケースの場合、まず1番重要なのは、建物の所在地が民泊特区かそれ以外かということです。

民泊特区以外の場合

民泊特区以外では、

住宅宿泊事業法に基づき届出が必要があり、営業日数180日の制限や消防設備の設置などが必要

です。

加えて市区町村の条例に従う必要があり、用途地域によって営業の可否や時間など制限があります。

周辺に学校がある場合なども同様に制限を受けることがあります。

そのため、まずは実際に営業できるのかどうかの確認が必要です。

民泊特区の場合

民泊特区の場合は、民泊を推奨しているエリアですのすので、2泊3日以上の滞在が条件、部屋は25㎡以上でないといけないなどいくつか制限がありますが、住宅宿泊事業法に比べると制限が緩いので、参入しやすいと言えます。

民泊特区のネックは、

大阪府大阪市
東京都大田区
福岡県北九州市
新潟県新潟市
千葉県千葉市

など特区がまだまだ少ないことです。

次に大事なのは、やはり立地条件です。

民泊は訪日外国人が利用することが多いので、商業エリアや観光施設にある程度近い場所で、最寄り駅から10分程度に民泊施設がないと難しいと言われています。

ポイント2:リフォーム・手続きなどの費用

では、立地がある程度条件を満たす場合、今回のケースで住宅宿泊事業法で民泊を始める際のリフォーム費用や手続きの費用でどのくらいかかるのでしょうか。

リフォーム費用

リフォーム費用は物件によって異なりますが、今回のケースですとファミリータイプなので2LDK70㎡位とするとやはり150~200万円は掛かると思います。

民泊物件も非常に多いので、そのまま貸すのではアピールが難しく、壁紙や水回りを外国人好みに変えたり、ベットや家電など宿泊できるように設備を整える必要があります。

手続き費用

続いて、民泊の申請などに必要な手続きの費用です。

自分で申請を行えばほとんど費用は掛かりませんが、住宅図面の作成、消防法に則って消防設備を設置できているかの確認、さまざまな申請書類や確認が必要です。

特に消防設備関係は1回でクリアできるケースが少なく、行政書士などの専門家に任せた方が無難です。

ただし、行政書士に任せた場合には、事前調査費用や新規営業申請費用として25~40万円程度掛かります。

この辺りは、実際に民泊運営した場合の収支シミュレーションを行うなどして、費用をどこまで掛けて大丈夫なのかをきちんと把握しておく必要があります。

宿泊費は、都内の2LDKで1泊1.0~2.0万円です。

オリンピックイヤーであれば20日以上の稼働も見込めそうなので、20~40万円の宿泊費を得ることができるでしょう。

これを前提にすれば、リフォーム費用200万円、申請費用30万円の合計230万円を掛けても十分に回収ができそうです。

ただし、住宅宿泊事業法の場合の民泊は最大180日の制限があるので、すべて埋まったとしても宿泊費は180~360万円です。

この物件が民泊需要のあるエリアであれば参入してもよいのではないかと思います。

民泊需要はまだまだ増える

民泊需要の多くは訪日外国人です。

訪日外国人は、2018年には3,119.1万人と3,000万人を超え、2019年も3,300万人が見込まれています。

オリンピックイヤーの2020年は目標としている4,000万人も目指せる可能性が高く、今後ますます訪日外国人の増加が見込まれます。

ホテルや旅館の客室数も増えていますが、宿泊価格の安さを求める層は民泊を選ぶ傾向にあるので、民泊需要もますます高まるでしょう。

勝算あるエリアであればトライするのも面白いと思います。(執筆者:山口 智也)

《山口 智也》
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山口 智也

山口 智也

賃貸仲介、賃貸管理、投資系、住居系不動産の売買を経験し、様々な問題に対応できる不動産コンサルタントとして活動中。特に、収益系不動産を活用した資産作りの支援、相続対策を得意としており、皆様の為になるような情報を提供していきたいと考えています。 <保有資格>:宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・米国不動産経営管理士(CPM) 寄稿者にメッセージを送る

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