出産・育児というライフイベントは、日常の生活以上に費用がかかるだけではなく、それに伴い収入が減少し、総じて経済的負担が大きくなります。

このような時こそ、社会保障制度を上手に利用したいものです。

産前~育児休業終了まで社会保険料が免除されることで経済的負担が軽減されます。

ここでは、出産・育児に関わる経済的負担を支える仕組みを紹介します。

産前から育児休業終了までの「手当金」「給付金」「一時金」

1. 産前~出産まで

産前~出産まで支給されるものは次の通りです。

・ 出産費用について、健康保険から「出産育児一時金」

・ 出産の前後(原則として産前42日、産後56日)を通じて「出産手当金」

・ 育児休業期間(原則として子の出生後から1歳まで、パパママ育休プラスの場合は1歳2か月まで、保育園に入園できないなどの場合は1歳6か月まで)を通じて「育児休業給付金」

が支給されます。

「出産手当金」

「出産手当金」は、賃金日額の2/3相当の額が支給されますが、例えば、産前休業期間の開始予定日より前に、切迫流産の危険があり自宅静養が必要と医師から診断されたような場合には、産前開始予定日までは「傷病手当金」を請求することで、生活保障として出産手当金と同等の額を受給できます

「出産育児一時金」

「出産育児一時金」は、子1人につき42万円(産科医療補償制度に加入していない病院での出産は39万円)が支給されます。

もっとも、手続き上は、出産する本人と病院があらかじめ「直接支払制度の利用に関する同意書」をもって、実際にかかった費用が42万円を超える場合にだけ、その超えた額を本人が病院に支払うことを約束するのが一般的です。

費用が42万円未満であれば、その差額を後日請求できます。

2. 産後~育児休業終了まで

育児休業終了

「育児休業給付金」は、原則として休業前賃金の67%相当額(育児休業開始から6か月経過後は50%)が支給されます。

なお、この給付金に特有の注意点として次の3つがあります。

「育児休業給付金」の注意点

(1) 育児休業開始前の2年間に雇用保険に加入し、かつ11日以上就業いている月が12か月以上なければ受給対象とならない。

(2) 申請は原則として2か月ごとですが、本人の希望により1か月ごとの申請に切り替えられる。

(3) 育児休業期間中に仕事をして会社から賃金が支払われる場合でも、支払われた賃金が休業前賃金の80%未満であれば給付金が支給される。

(3)の場合は、賃金と給付金の合計が休業前賃金の80%に達するまで支給されます

いずれもあまり知られていないのですが、重要な内容なのでおさえておきましょう。(執筆者:今坂 啓)