小学校入学前後や低学年くらいになると「そろそろお小遣いあげる年齢かな」と考えはじめる家庭も多いと思います。

そうは思いながらも、

「どうやってスタートしたらよいの?」

「将来わが子が困らないように今から親にできることは?」

とさまざまな疑問が浮かんでくるのも事実です。

そこで、こちらの記事では「お小遣いの始め方と育つ能力」について、子どものお小遣い実践中の「ファイナンシャルプランナー 兼 子育てアドバイザー」でもある筆者がお答えします。

「報酬制」と「定額制」の2大パターンを取り上げて、

・育つ能力
・始め方の超具体的方法
・悩みと解決法

についてお話します。

子どものお小遣いは「報酬制」でスタート「定額制」に移行

子どもへのお小遣いを「報酬制」からスタートする

親であれば、「自力で稼ぐ力を身につけてほしい、社会の役に立ってほしい」とわが子に対して思うものです。

こうした思いにが強いようでしたら、お小遣いを「働きに応じた対価としてもらえる報酬制」からスタートすることをおすすめします。

その理由は、

子どもが「お金は人の役に立ったことの対価としてもらえるものだ」ということを肌で感じ、ビジネスの基本を学べる

からです。

「定額制」から始めてしまうと、「何もしなくてもお金が降ってくる」ことになるので、学びのチャンスを失ってしまいます

「報酬制」で育つ能力

・「お金は人の役に立った対価として受け取るもの」というビジネスの基本が身に付く

・ 家事を積極的に知るキッカケになり「生活する力」の基本が身に付く

・ 自分が選んだ仕事をやり抜くことで「責任感」と「心理的自立」が育つ

・ 発展すると「他人の困りごとを解決しようとする思考」が育つ

「報酬制」か「定額制」かを迷ったら、まずは「報酬制」からスタートしてみてはいかがでしょうか。

「報酬制」スタートの流れ

では、「報酬制」をはじめる手順を説明します。

パターン(1)

1番理想的な流れは、

Step1:家族の困りごとを助けるような仕事を

Step2:子ども自身が「私がやるよ」と決めて

Step3:親と話し合って報酬を決めてスタート

しかし、実際の家庭生活では子ども自身が困りごとを見つけられない場合がほとんどです。

赤ちゃんの時からやってもらって当たり前で育ってきているので、ピンとこないのです。

パターン(2)

子どもがピンと来ない場合には、

Step1:家の中で子どもが出来そうな「我が家のお仕事リスト」をつくる

Step2:Step1のリストを親子で見ながら家の中の仕事について話す

Step3:何ができそうかを子どもが選ぶ

Step4:話し合って報酬を決めてスタート

といった具合です。

「お仕事リスト」のコツ

次は、「お仕事リスト」作成のコツは、

Step1:子どもの年齢に応じてできそうなものを

Step2:細かく区切って

Step3:「できた!」を実感できるように

作るということです。

「お仕事」の例

「お仕事」の具体的な例としては、次の通りです。

・ 玄関のくつ(スリッパ)を揃える

・ ポストから郵便物(新聞)を取ってくる

・ 家族の食器(おはし)を並べる、食後のお皿を運ぶ、テーブルを拭く

・ 洗濯物を干す、取り入れる、たたむ

・ お米を洗う、料理の一部を手伝う

・ お風呂を洗うなど家の中の一か所の掃除を担当する

など、家族が助かるものであれば何でも「我が家のお仕事」になります。

お仕事はお手伝い

報酬の金額と渡すタイミング

報酬の基本は10円からです。

大きなお金をいきなり渡すよりも、小さな単位から始める方がよりお金について学べます。

家庭の方針で「自分から進んでやれたら2倍、キレイにできたら2倍」などのご褒美を入れるのも効果的です。

渡すタイミングは、お仕事の直後にしましょう。

できたかどうかをチェックして「ありがとう!助かった!」と言葉とともに渡します。

「自分のはたらき」の直後に「報酬」がもらえることで、もらったお金の重みが増し、使い方を考える基礎となります。

「報酬制」の悩みと解決法

「報酬制」がよいことはわかりましたが、いざ実践してみると家庭それぞれの悩みが出てきます。

その悩みの解決法を見ていきましょう。

【悩み1】

・ 毎日「お仕事」をさせることが時間的に難しい

・ イマイチ自分から進んで「お仕事」を実行できていない

【解決法】

「お仕事」の悩みは、立ち止まって親子で話し合うチャンスだと捉えましょう。

何事も初めはトライ&エラーで修正しながら進むことが大切です。

【悩み2】

・ ちょっとした用事でもお金を要求するようになる

【解決法】

これはよく起こることで、成長の証と捉えましょう。

「それなら親もお金をもらわなければご飯を作らないし、洗濯もしない」

とキッパリ言うことです。

家族が気持ちよく暮らすために協力することを学ぶチャンスです。

【悩み3】

・「報酬制」だけだと金額にバラツキが出る、本来渡したいと考える金額に達しない

【解決法】

「定額制」との併用を検討しましょう。

「定額制」で「自己管理能力」と「コミュニケーション能力」を身に付ける

「定額制」は、一定の金額からスタートするので「そのお金をどう使うか自ら考え管理する力」が育ちます。

大人になってお金を稼ぐようにはなってから、

・ギャンブルでお金がなくなる

・詐欺に騙されてしまう

など、「自ら考え管理する力」が弱いと困ったことになる可能性も否定できません。

小さいうちにお金の扱い方を失敗しながら学ぶことはとても大切です。

「定額制」の最重要ポイントは、お小遣いを渡すときや値上げのタイミングで開く「親子会議」です。

ここでしっかり話し合い「お金のあげっぱなし」を防ぎます。

「定額制」で育つ能力

「定額制」で育つ能力は、

・ 定額のためお金の流れがわかりやすく、やりくりと通して「自己管理能力」が育つ

・ 期間と金額を区切るので、リセット可能な「失敗の練習」でお金の経験を積める

・ 親子会議の場で、自ら考えて話すことを通して「コミュニケーション能力」や「プレゼンテーションスキル」が育つ

ことです。

定額制で管理能力を身に付ける

「定額制」スタートの流れ

「定額制」をはじめる手順は、

Step1:「親子会議」の中身を考える

Step2:子どもと「親子会議」を開く

Step3:子どもはお小遣いを受け取り、管理する

Step4:次のお小遣いのタイミングを利用し定期的に親子で話し合う

です。

「親子会議」の中身

親子会議は、「定額制」スタート前に行う大切な話し合いです。

子どもの年齢や家庭の方針によって内容を練りましょう。

以下を参考にしてください。

(1) お金とは何か、お小遣いはどこからやってきているのかについて

・「報酬制」との最大の違いは「先にお金を渡す」ことで、何かの対価として受け取るわけではないので、お金についての話は丁寧にする

・ 日頃から、お金について話をしておくとスムーズ
 

(2) 1週間単位にするか1か月単位にするか

・ 長期間の管理はハードルが高いため、低学年なら1週間単位がよい

(3) お小遣いの使い道と金額

・ 日頃から子どものためにどのようにお金がかかっているかを「見える化」する

→ 「見える化」した中から「どの項目をお小遣いでやりくりするか」を話し合う

・ 初めは使い道を区切るとわかりやすい(おやつ代・かわいい文具を買う代金など)

・ 少額から始めてみて子どもの使い方を観察することも有効な方法

・ 慣れたら学用品なども含めてやりくりさせる(高額になるのでハイレベルコース)

(4) 家の「お仕事」について(自分の決めた「お仕事」を頑張ることを盛り込むかどうか)

・「お仕事」については「報酬制」にして分けて考えてもよい

・「お仕事をよく頑張ったらボーナスが出る、頑張らないと減額になる」などの決まりを入れてもよい

(5) お金の管理方法について

・ お小遣い帳を書く習慣をつけられるとよい

・ 予算を立てるのかどうか(将来高額になると必要になる)

こうして考えた内容をもとに、「親子会議」で話し合います。

「定額制」の悩みと対処法

「定額制」の悩みと対処法を見てみましょう。

【悩み】

「定額制」の最大の悩みは、子どもが「足りなくなった」と言ってくることです。

誰もが通る大切な経験であり「足りなくなった」失敗から子どもは多くを学びます。

【対処法】

学びを生かすためには、対応に注意が必要です。

まずは、前提として、

・ 前借りをさせない

・ やりくりすると決めた項目のものを買わない(文具代のためにお小遣いを渡しているのに文具を買ってあげるなど)

ことが大切です。

そのうえで、「どうして足りなくなったのか」を責めずに聞いてみましょう

自分自身で今後を考える手助けになります

もう1つの前提として、

・ 理由のあいまいな値上げをしない

ことも大切です。

学年が上がったからといって値上げする必要はありません

子ども自身が値上げの必要性をプレゼンテーションし、親子で話し合うことが生きた学びになります。

家庭に合った金銭教育で子どもの生きる力を育てる

お小遣いを通した経験を積むことで、子どもが大人になる前に「生きる力」を身に付けられます。

・ ビジネスの力
・ 生活する力
・ 心理的に自立する力
・ 自己管理能力
・ コミュニケーション能力
・ プレゼンテーションスキル

などさまざまな生きる力が育ちます。

学校では教えてくれない「金銭教育」にお小遣いを活用してぜひチャレンジしてみてください。(執筆者:安藤 環)