少子高齢化社会となった現代の日本では、多くの人が老後の暮らしに不安を感じています。

いざその時になってお金が足りなくなっても、雇用が不足していたり健康に問題があったりと、新たに収入を増やすことは難しくなってしまいます。

老後資金が不足するリスクに備えるためには、年金をなるべく多く受け取れるような準備を今のうちにしておくことが重要です。

そこで今回は、年金受給額を増やすための方法の基本となる3つのことを紹介します。

貯蓄を考える前に 「年金受給額を増やす」

年金受給額を増やす基本1:付加年金

まず、将来の年金受取額を確実に増やせる方法として、「付加年金」という制度があります。

毎月の国民年金保険料に400円追加で納付することで、将来の年金(老齢基礎年金)に

「年額200円 × 付加保険料納付済月数」が上乗せされる

という仕組みです。

払い込み期間が40年間あったとすると、納付金額の合計は、

400円 × 40年 × 12か月 = 19万2,000円

です。

それに対して、受給できる年金の付加額は、

200円 × 40年 × 12か月 = 9万6,000円

です。

つまり、年金を2年受け取れば元が取れてしまうのです。

長寿社会の現代では平均寿命が男女平均84歳程度となっており、年金を2年以上受け取れるケースがほとんどです。

夫婦がそれぞれこの制度を利用していれば年額19万2000円が追加されることになり、単純計算で月に1万6,000円も収入がアップします。

月に1万円前後追加の収入があるだけでも生活に困窮するリスクを軽減できるので、ぜひとも利用したい制度です。

ただし、付加年金制度を利用できるのは国民年金第1号被保険者のみなので注意が必要です。

年金受給額を増やす基本2:繰下げ受給

定年後も長く働き続けたり、健康で長生きすることが見込まれる場合にぜひ利用したいのが年金の「繰下げ受給」です。

原則65歳から支給される

年金の受給開始時期を指定した分だけ遅らせることで、年金の額が増額される

のです。

1ヶか月遅らせるごとに0.7%増額できるため、5年間遅らせて70歳から受給開始とすると、

0.7% × 12 × 5 = 42%も増額

できます。

繰下げ受給の上限年齢は現行で70歳となっていますが、2019年に厚労省から発表された年金制度改正案では、この上限年齢を75歳とすることが提示されました。

この法案が成立すれば、繰下げ受給により年金額は最大で

0.7% × 12 × 10 = 84%もの増額

ができるのです。

75歳に至るまでの生活費を労働収入や貯金、退職金などで賄うことさえできれば、75歳以降に約2倍もの年金を受け取ることができるので、老後の生活に安心感が生まれます。

もちろん受給開始までの生活資金が枯渇しては元も子もないので、年金の受給をしない期間の生活費のプランもよく考えたうえでの判断が必要です。

年金受給額を増やす基本3:私的年金を活用

iDeCoチラシ

≪画像元:国民年金基金連合会「iDeCoチラシ(pdf)」≫

さらに、公的年金に上乗せするために、別の制度によって年金を用意しておくことも有効です。

「国民年金基金」
「確定拠出年金」
「確定給付企業年金」
「個人年金保険」

などがこれに該当します。

特に最近話題になっている「確定拠出年金の個人型(iDeCo)」は、運用益への非課税制度および掛金全額が所得控除になるといった税制優遇があることから、年々利用者が増えている人気の制度です。

これまで一部の会社員は利用できませんでしたが、国民の需要を受けて制度改正が続いており、加入可能者の範囲は今後さらに拡大される見込みです。

ただし、原則60歳に至るまで引き出し不可能となっているため、それまでの生活資金を確保したうえで余剰資金で拠出する必要があります。

iDeCo以外の制度も含めて私的年金で公的年金に上乗せする場合には、

・公的年金だけの場合にどのくらい不足するのか

・どのくらいの金額を用意したいのか

を明確にしたうえで制度を利用することが重要です。

老後資金を心配するあまり現在の生活が圧迫されてはいけないので、「ねんきんネット」で公的年金受給額を確かめるなどして不足金額を把握してから、不足分だけを補えるように私的年金を活用するのがベストです。

貯蓄の前に年金自体の増額を考える

2019年に話題になった「老後2000万円問題」により「貯蓄」に注目が集まっていますが、受給する年金額を増やすこともまた老後の安定した暮らしを実現するために有効な方法です。

貯蓄だとつい使ってしまうという人は、ぜひ付加年金や私的年金を活用して年金の形で受け取れる生活資金の用意を検討してみて下さい。(執筆者:島村 妃奈)