2019年12月に中国湖北省武漢市で新型コロナウイルスが確認され、中国を中心に世界中に感染が広がっています。

日本でも感染が確認され、イベントの中止やテレワークの推奨、小・中学校の休校など、私たちの生活にも影響が出ています。

それでは今後、新型コロナウイルスは日本経済にどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は現時点で発生しているもしくは、今後考えられるコロナウイルスの経済への影響についてお伝えしていきます

新型コロナによる景況悪化

新型コロナウイルスによる影響で世界経済は減速傾向

2020年3月2日にOECD(経済協力開発機構)が発表した内容によると、世界経済成長は2020年に2.4%としていますが、新型コロナウイルスの感染拡大が広がると、1.5%まで下落する可能性があると発表しました

感染拡大と景況感の悪化は生産と支出に打撃を与え、

日本やユーロ圏を含む一部の国・地域では不況に転じると述べています。

日本経済に与える影響も大きい

日本の製造業の多くは中国に生産拠点を設けていることも多く、今後製造業を中心に影響が出てくる可能性があります

また観光業では訪日外国人の減少や、宿泊施設のキャンセルなどが相次いでいます

ここでは特に影響が大きいと考えられる業界を中心に、見ていくことにしましょう。

【製造業】サプライチェーンの寸断で生産停止も

日本の製造業は、新型コロナウイルスの発生地の中国で生産停止が続くと大きな損失につながる可能性があります

九州のある自動車メーカーでは、中国から部品が納品されず、2月に生産ラインを停止させました。

今後このようにサプライチェーンの寸断が続くと、日本の製造業はさらなる生産停止に追い込まれ、製造業を中心に雇用にも影響する可能性があります

労働政策研究・研修機構によると2019年現在、雇用者数6,004万人に対し、最も多い業種が製造業で1,016万人で全体の16.9%に上ります。

参照元:労働政策研究・研修機構「産業別雇用者数

特にブルーカラーの雇用者は、生産停止の長期化で収入減につながり、消費へ影響することが予想されるでしょう。

【観光業界】訪日外国人の減少で大打撃

近年の日本経済は、「インバウンド消費」による訪日外国人観光客の消費が支えとなっています。

訪日外国人旅行消費額の中で中国人観光客の消費が最も多いので、中国からの入国規制を強化すると、観光業界は今後影響が広がる可能性があるといえるでしょう。

特にホテルなどの宿泊業界は、業績見通しを下方修正する動きも出てきています。

北海道は中国人観光客の減少が3月まで続くと、観光消費が少なくとも200億円以上減ると公表しています。

また東京と京都、大阪を結ぶ「ゴールデンルート」上にあり、中国便が就航する静岡空港を抱える静岡県は中国人旅行客に人気が高い地方の一つです。

2018年の県内の外国人宿泊者の約65%を中国人が占めるほどですが、新型コロナウイルスの影響で2月5日までに静岡県内の宿泊キャンセルは約9万件に上り、その後もキャンセルが続いています

訪日観光客

【サービス業】「学校休校」によるパート不足から営業時間短縮

食品スーパー最大手のライフコーポレーションは、3月2日から全約280店で営業時間の短縮を行っています。

営業時間を短縮する理由は、政府が小中学校・高校などの臨時休校を要請したためで、店舗では子育て中の主婦などのパート従業員が多く、休校により子どもの面倒を見る時間が増えることから配慮されました。

またゼンショーホールディングスは牛丼店「すき家」で、店舗によりますが、時短営業や休業、メニューの絞り込みに取り組み始めました。

メニューを絞ることで、通常3人で対応する時間帯でも2人で対応できるようにし、ただでさえ人手不足と言われる飲食業は難しい対応を迫られています

すきや営業時間短縮

≪画像元:すきや

中国・韓国頼みから脱却をはかる自治体も出てきた

日本政府観光局によると、訪日外国人観光客のうち中国と韓国で約半分を占めると公表しています。

このような中、沖縄県ではほぼ未開拓であったロシアからの集客に注目しています

ロシアで「冬のタイ観光」の人気が高いことに着目した沖縄県知事や副知事が、2019年に訪ロし、温暖なリゾート地をPRしました。

また外国人観光客の5割を韓国人が占めていた福岡県柳川市は、タイからの集客を強化しています

昨年12月に市のパンフレット「柳川旅物語」のタイ語版を完成させ、観光案内所などで配布し、タイでの観光プロモーションに活用しています。

製造業同様に、特定の国や地域からの集客は今回の新型コロナウイルスの件で、地方経済に大きな影響を与えることが確認され、各地方はそれぞれ知恵を絞る必要ができたといえるでしょう。(執筆者:福森 俊希)