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正規・非正規問わず手当される保護者「休業補償」助成金の誤解と手当に対する課税関係

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正規・非正規問わず手当される保護者「休業補償」助成金の誤解と手当に対する課税関係

新型コロナウイルス感染拡大防止の思いきった措置として、政府が各地の小中高などに一斉休校を要請しましたが、あわせて働けなくなった小学生以下(特別支援学校含む)の保護者向けに新たな助成金も創設することを発表しました。

正規・非正規を問わず休業補償という報道がされたため、失業給付みたいなものがもらえるのかと思いがちです。

助成金の計算に失業給付をベースとした金額が絡むため余計誤解を生みやすいのですが、まずこのイメージは実態と違うと理解してください。

「休業補償」助成金の誤解

「政府が直接労働者に補償」は誤解

安倍総理会見で創設の表明があった「あらたな助成金」(正式には「新型コロナ感染症による小学校休業等対応助成金」)は、まず国が労働者個人に支給するものでは無いです。

ただし、労働者でなく業務委託契約のフリーランスが日額4,100円を上限に受け取れる「新型コロナ感染症による小学校休業等対応支援金」のほうは直接支給であり、手続きもフリーランス自身が申請します。

勤務先が従業員に支払い、勤務先が国に助成金申請

国が個人に支給ではなく、国 → 企業(勤務先)→ 休業中の保護者とお金が流れていくことをおさえてください。

従業員が年次有給休暇とは別の特別休暇を取得した際の(休業中)賃金に対し、助成金が日額8,330円を上限に支給されます。

日額8,330円は失業給付を参考に決めておりますが、過去にこの日額が毎月勤労統計調査のミスにより過少設定されていたため、失業給付の追加支給が行われることになりました。

政府から助成されるかは勤務先次第

お金の流れから行くと、休業補償分を実際に国が助成するかは勤務先の申請次第ということになってしまいます。

助成金は申請書類も煩雑ですし、事業者・従業員が満たすべき要件も多いです。

勤務先に顧問社労士がいれば社労士に委任して手続きになろうかと思いますが、勤務先に助成金の申請をする気がそもそもないのであれば、従業員への補償につながらないという問題点があります。

すでにある雇用関係の助成金に新設

「あらたな助成金」と言いますが、従来から事業者に助成される雇用関係の助成金は多数存在します。

今回の新型コロナ絡みでイベント自粛も相次いでいますが、要件を緩和した雇用調整助成金が活用できることも政府側がアピールしています。

雇用調整助成金とは、売上高などが一定水準以上に落ち込んだ事業者が休業手当を支払った場合に助成されるものです。

雇用関係の助成金は厚生労働省の管轄ですが、経済産業省が管轄の産業関係助成金・補助金もあります

非課税ではない「休業補償」

もう1点、この労働者に対する休業補償について、税金の問題を取り上げます

損害・損失の補償に関しては、所得税や住民税が非課税という原則はあります。

ただこれまで説明した「休業補償」の性格からいうと、そもそも補償というのが妥当なのかという問題もあります。

事業者(勤務先)の課税問題はここでは触れませんが、従業員側は課税されるのでしょうか?

給与所得として課税対象

従業員個人から見ると、有給の特別休暇をとってその分の給与をもらっているというのが実態なので、通常の給与所得として課税されます

休業補償は非課税ではありません

一律に確定申告義務が発生するわけではない

都のベビーシッター助成金を利用すると、助成された金額分が雑所得として課税され、確定申告を求められることがSNSで話題になりました。

しかし給与所得であれば、通常の給料と合算されて年末調整で所得税の計算は終わりますので、確定申告が必要になるとは限りません。

副業がある・医療費控除を受けるなどで確定申告を行う場合でも、「休業補償」分を切り分ける作業は不要であり、勤務先からもらう源泉徴収票に基づいて申告を行えばいいだけです。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)

《石谷 彰彦》
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石谷 彰彦

石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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