令和2年4月に何が変わるのか

なにがどう変わる?

新型コロナの感染が心配される中、皆様どのようにお過ごしでしょうか。

部屋で黙々と巣ごもりしていても4月になると変わる制度があります。

平成31年4月にも労働法(働き方改革関連)や入管法改正をはじめ、いろいろなことが変わりました。

令和2年度も働き方改革法により、昨年改正になった労働基準法の「時間外労働の上限規制」が中小企業にも適用になり、生活に根付く法律である民法が改正されます。

どのように変わるか確認していきましょう。

令和2年4月:民法大改正

120年振り(家族法は40年振り)に民法が大改正されます。

生活に影響のある法律ですので、主な改正点を確認していきましょう。

1. 令和2年4月より:民法改正で消滅時効の見直し

時効消滅の見直し

【債権】例:貸主が借主にお金を返してもらう権利

今まで「返してもらう権利を行使できるときから10年」で10年過ぎると権利がなくなりました。

4月以降、「権利行使できるときから10年」の他に「返してもらえることを知った日から5年」が加わりました。

【職業別の短期時効】例:飲み屋のツケが1年

廃止され、5年または原則10年で統一されます。

従って、4月の民法改正と合わせ、賃金請求できる期間も現在の2年から将来的には5年(当分は3年)に延長される予定です。

それを受けてか、企業に未払い残業代を請求する労働者が増加しているそうです。

2. 令和2年4月より:相続における配偶者居住権の創設

改正民法では「配偶者居住権」が新たに設けられます。

自宅の資産を所有権と居住権に分け、配偶者が遺産として居住権を選べば、自宅の所有権が子どもや他人に渡ってもそのまま住み続けられます

居住権の評価額は配偶者の年齢や平均余命などから算出され、高齢になるほど安くなるので、所有権より低く評価されます。

高齢の妻は所有権を相続するより、居住権を相続した方が遺産を多く取得でき、住居と生活費が確保しやすくなります。

結婚して20年以上の夫婦なら、生前贈与や遺言で譲り受けた自宅を相続時の遺産分割から除く優遇措置も設けられます。

長年連れ添った配偶者が相続で自宅を失わないように考慮された改正といえます。

故人の介護や看護に尽くした親族(例えば長男の嫁など)なら、相続権がなくても、相続人に金銭を請求できるようになります。

3. 令和2年4月より:民法改正で特別養子縁組の対象年齢を原則15歳未満に引き上げ

特別養子縁組は、実の親と暮らせない子どもと養親の間で縁組をする制度です。

特別養子の対象年齢が原則6歳未満(例外的に8歳未満)から原則15歳未満(例外的に17歳未満)に引き上げられました。

特別養子縁組を希望する夫婦が家庭裁判所に審判を申し立てて手続きをします。

特別縁組が成立すると、法律上は子どもと実親の間の親子関係がなくなり、養親と新たな親子関係を結び、原則として離縁はできません

養子縁組の年齢引き上げ

4. 令和2年4月より:法定利率の引き下げ

お金の貸し借りなどに使う利率は貸した人と借りた人が双方で納得した利率を設定できますが、利率の取り決めがなかった場合、令和2年4月より、法定利率3%(以前は5%)を使うことになります。

5. 令和2年4月より:定型約款に関する規定の新設

生命保険約款など定型約款(事業者が不特定多数のお客と取引するときに共通の定型的契約条項)に

「定型約款を契約内容とするという表示」

があれば、共通している個別条項に合意しているとみなされますが、相手の利益を一方的に害する条項は無効になります。

6. 令和2年4月より:賃借人と賃貸人(大家)とのルールについて明確化

例えば、借りている建物が雨漏りするなど修繕が必要な場合で、賃貸人(大家)が修繕してくれない場合、賃借人が一切自分で雨漏りを修繕できないと不便ですが、改正前の民法には,どのような場合に賃借人が自分で修繕できるのかを定めた規定はありませんでした。

令和2年4月以降改正後の民法では、賃借人が賃貸人(大家)に修繕が必要である旨を通知したか又は賃貸人(大家)がその旨(この場合雨漏り)を知っていて相当の期間内に修繕をしないときは賃借人が自分で修繕できるようになりました。

急な事情があるときも賃借人が目的物(この場合雨漏りのする天井)を修繕できるようになります。

賃貸契約終了時の敷金の返還や原状回復についてもルールを明記しています。

7. 令和2年4月より:個人の保証人を保護する規定が新設

令和2年4月から施行される改正民法では、事業用貸し出しの債務についての保証契約を事業主個人が結ぶときに、個人保証人を保護するための規定(例:公正証書で保証意思表示が必要とされる)が設けられます。

例えば、根保証契約とは、

特定の債権者(貸し出し者)と債務者(借金した者)との間で現在から将来的に発生する不特定の債務(借金等)を保証人(この場合個人事業主)が保証する契約

をいいます。

極度額(上限額)の定めのない個人の「根保証契約」は無効とされることになりました。

令和2年4月:個人保証の借金を「信用保証協会」が保証

後継者が個人で借金を背負うのを嫌がり、そのまま廃業に追い込まれる例があるため、個人保証の借金が全国の信用保証協会に保証してもらえるようになります。

政府では中小企業の後継者リスクを減らすため改正法案を目指しています。

働き方改革法で労働基準法が変わる

令和元年4月に働き方改革法が施行され、労働基準法にも大きく影響を与えました。

令和2年4月に変わる内容を確認していきましょう。

1. 時間外労働の上限規制が中小企業にも適用

労働基準法には時間外労働の規制があります。

平成31年4月に働き方改革法によって大きく変わったのですが、大企業だけが対象でしたが、令和2年4月からは中小企業も改正の対象です。

【平成31年3月まで】

労働者側と会社側で結んだ別条項付きの36条協定を労働基準監督署へ届け出すれば、基準時間を超えて残業させて(目安の基準は月45時間、年360時間以内)も罰則がありませんでした。

【平成31年4月以降】

大企業で結ばれた36条協定では、時間外労働 (休日労働は含まず) の上限は、「原則月45時間・年360時間」となり、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、「時間外労働は年720時間以内、時間外労働+休日労働は月100時間未満、2~6か月平均80時間以内」とする必要があります。

月45時間を超えることができるのは年6か月までです。

時間外労働の上限

≪令和2年4月より中小企業も時間外労働上限が適用≫

この時間外の上限規制は、平成31年4月以降の労使協定から大企業から適用されましたが、中小企業は、令和2年4月以降の労使協定からの適用です。

中小企業とはどのくらいの規模なのか確認

以下の規模より小さい中小企業でも今後時間外労働の上限を超えると罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が適用になることがあります。

業種によって、中小企業の基準となる資本 金や従業員数が異なります。

中小企業の定義

≪画像元:中小企業庁

ただし、この時間外労働の上限規制は、令和6年3月まで建設業、自動車運転業務、医師には適用されません

鹿児島及び沖縄の砂糖製造業も時間外労働と休日労働の合計については、「月100時間未満、2~6か月平均80時間以内」規制は適用されません。

2. パートタイム労働法・労働契約法・労働者派遣法改正

令和2年4月から、まずは大企業において(中小企業は令和3年4月から)、パート・有期雇用・派遣(非正規雇用者)と正社員との同一労働同一賃金が義務付けられ、合理的な理由がなければ待遇を同じにする必要があります。

同一労働同一賃金の実現のため、事業主(会社)がすべきことは3つです。

(1) 非正規雇用者の待遇に対して雇い入れ時、及び要望があった場合事業主(会社)は正社員との合理的な待遇の違いを説明する義務があります。

(2) 非正規雇用者に関する均等・均衡待遇ルールの整備を行う必要があります。

(3) 労働行政による裁判外紛争(ADR)解決手続きの整備をすること。

今までは、派遣社員にはパート労働法に基づく均等待遇の規定がありませんでしたが、令和2年4月より、派遣労働法に均等待遇の規定が整備されました。

パート・有期雇用、派遣と正社員の均等待遇の目安としては以下の表のとおりです。

有期雇用の待遇ルール

≪画像元:厚生労働省

雇用保険料の高齢免除は廃止

令和2年4月1日時点で64歳以上の雇用保険の被保険者について、令和2年4月分より雇用保険料が給与から差し引かれるようになります。

3月分までは雇用保険料が差し引かれません。

年金額が変わる

経済マクロスライドに伴い、令和2年度の年金額も改定されます。

・ 令和2年度の老齢基礎年金の年額が78万900円(プラス800円)

・ 令和2年度の障害基礎年金2級の年額が78万900円(プラス800円)

・ 令和2年度の国民年金保険料額が月額1万6,540円(プラス130円)

・ 令和2年度の年金生活者支援給付金の額が変わります。

老齢年金生活者支援給付金は月額5,030円(プラス30円)

障害年金生活者支援給付金は1級月額6,288円(プラス88円)

障害年金生活者支援給付金は2級月額5,030円(プラス30円)

遺族年金生活者支援給付金は月額5,030円(プラス30円)

介護保険の総報酬制が全面施行

令和2年4月から40歳から64歳に被保険者(第2号被保険者)が加入する医療保険者が納める介護納付金を加入者の総報酬(給与や賞与)に応じて負担する仕組みになります。

加入者数に応じての負担から段階的に変更します。

児童福祉法・児童虐待防止法改正

児童福祉法・児童虐待防止法が令和元年6月に改正されており、令和2年4月に施行されます。

「学校や教育委員会や児童相談所職員に守秘義務を課すこと」

「家族が引っ越した場合に情報を共有すること」

「体罰禁止」

などが明記されています。

千葉県野田市での小4女児を父親が虐待死させてしまった事件がかなり影響しているのでしょう。

「3回口頭で注意しても言うことを聞かないので頬を叩いた」など、「体罰の基準」もあります。

虐待をしない「普通の親」にとっても影響のある内容です。

参照元:厚生労働省「体罰によらない子育てのために(pdf)

介護支援ロボに公的保険適用を厚労省検討

介護支援ロボット令和2年度に効果測定し、令和3年度の介護報酬改定で介護保険対象に加えるかを判断するとのことです。

令和2年4月から電力各社の送配電部門が別会社

北海道から沖縄までの電力9社が連携して、電力が足りていない会社に電力が足りている会社が電力を融通する仕組みができるとのことです。

電気代が安くなることを願います。

ヤフーが30分で配達のネットスーパーを福岡で実験

令和2年3月までは送料が無料、4月以降は「混み具合などに応じて随時送料が変動する」方法を導入するとのことです。

30分で配達してくれれば大助かりの家庭も多いでしょう。

ぜひ全国に広がってもらいたいものです。

島根県松江市で令和2年4月から電子黒板を本格導入

松江市は市立の小中学校と義務教育学校の全50校で、来年度から電子黒板とタブレット端末を導入すると発表しました。

情報通信技術(ICT)によって映像を使った授業を小学3年生以上から取り入れるそうです。

2020年度から公立小学校でプログラミングも必修化されます。

子どもたちとともに、アナログ世代も通信技術に触れていければいいと考えております。

タブレットPCを操作する小学生

4月以降の対策・支援に注目

新型コロナ感染拡大による緊急経済対策は4月以降どうなるのでしょうか。

西村康稔経済財政・再生相が記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ4月に緊急の経済対策を検討すると表明しました。

税金と社会保険料の延納や、税金の減免などが挙げられているようです。

子供が休校で仕事を休んだ保護者にも補償金が支払われるとのこと、今後の対策・支援に注目です。(執筆者:社会保険労務士 拝野 洋子)