新型コロナ感染拡大がアジアから欧米へと広がりを見せ、欧米も移動制限・経済活動縮小によって緊急経済対策を次々と打ち出しています

日本では学校休校要請から休業を余儀なくされた保護者への所得補償を巡り、フリーランスに対するものがサラリーマンと比べて不十分なことは、国会議員や国民の批判を浴びました。

2020年3月28日の安倍首相会見では、中小・小規模事業者向け給付金制度の創設を表明しました。

英国においても同じようにフリーランスへの補償が不十分なことが批判を浴び、その批判を基に過去の所得に基づいたフリーランス救済策が打ち出されました。

英国と日本、両者のフリーランス所得補償策を解説します。

※2020年3月末時点での情報に基づいています。

両者のフリーランス所得補償策を解説

過去3年度の事業所得に基づく英国の所得補償策

申告された過去3年度の事業所得に基づいて平均をとり、月額ベースで80%を6~8月をめどとして3か月間支給するというものです。

ただし支給額には上限があり、月あたり2,500ポンド(日本円換算で33万円程度)です。

また、年間5万ポンド(日本円換算で660万円程度)未満という所得制限もあります


≪日本の収支内訳書・青色申告決算書の事業所得金額(収入金額-必要経費)≫

日本の基準で言えば、確定申告書に添付する収支内訳書「所得金額」、青色申告決算書「青色申告特別控除前の所得金額」に相当します。

英国の確定申告における課税年度は4/6~翌4/5

なお英国の確定申告は日本と異なり、対象となる期間は暦年(1月1日~12月31日)ではありません。

4月6日~翌年4月5日を課税年度としています。

過去3年度は、2016年4月6日~2019年4月5日を対象とします。

対策を発表したのが2020年3月26日なので、2019年4月6日~2020年4月5日は過去3年度の対象とはなりません。

日本の救済策(小学校休業等対応支援金)

日本の場合フリーランス救済策は、無利子・無担保型を謳った融資と、延滞税が免除される納税猶予が中心です。

数少ない給付支援策が、厚労省の「新型コロナ感染症による小学校休業等対応支援金」です。

もともと政府側が3月から小中高の一斉休校を要請したことに伴い、児童の世話のために休業を余儀なくされた保護者に対する支援策として出てきた話です。

当初はサラリーマンしか念頭に置いてない助成策だったため、フリーランスにも支援すべきだという声から追加されました。

金額が、休業した日あたり4,100円と一律です。サラリーマン向けもフリーランス向けも厚労省の案件だったために、東京都の最低賃金で4時間働いたとみなして算出された数字が4,100円と言われています。

「雇用類似」の一部が対象

フリーランスとしての要件も限定されています。依頼主と業務委託契約を結んでいて、業務の時間や日が指定されているようなフリーランスが対象です。

要件を満たせるフリーランスは、厚労省の有識者会議で「雇用類似」(「雇用的自営」「自営的就労」などと言われることもあり)として扱われてきた雇用に近いタイプ(厳格な定義はありません)で、さらにその中でも一部です。

不特定多数を顧客とする小売業などは、対象とはなりません

日本でもマイナンバーを生かせばできそうな英国式

マイナンバー

日額4,100円・雇用類似の一部が対象という厚労省の苦肉の策に比べれば、過去3年の事業所得に基づく給付は汎用的で、合理性も増しています。

日本では2016年分(住民税の年度では2017年度)の所得より、マイナンバーによる管理が行われています。

すでに2018年分(住民税は2019年度)までちょうど3年間管理が行われ、3年平均による給付は可能な状況です。

困った時の支援策として所得補償的な給付実績を作ることは、今後架空経費などによる脱税や租税回避の抑制効果もあるように思えます。

英国の給付策と日本の給付策は背景・目的が異なるので、同列に論じるのは難しいところもあるのですが、フリーランス支援としては日本でも非常に参考になると感じています。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)