コロナショックによる経済的打撃

コロナショックによる経済的打撃

今回は、コロナショックに揺れる世界経済の成長率の見通しについて解説していきたいと思います。

IMFは、今回のコロナショックによる世界経済の経済損失額が5兆ドル(540兆円)を超える可能性があるとしており、これは、リーマンショック時の2兆ドル超を大幅に上回る悪化になります。

そのため、IMFのギオルギエギバ専務理事は、「世界各国に合計8兆ドル超の財政出動を依頼している」としており、上記の経済損失を上回るヘリコプターマネーが飛び交うことになるため、株式市場は足元反転上昇しています。

特に、顕著なのがNASDAQ総合指数の上昇であり、アマゾンを中心にデータ量増大による半導体需要が上昇要因となっています。

しかし、米新規失業保険申請件数は、3月中旬からの4週間で2,200万件に達し、失業率の上昇が続いています。

4月16日に米当局は、中小企業の雇用維持に使う3,500億ドル分の融資枠が上限に達してしまったことを受け、新たに2,500億ドルを積み増して合計6,000億ドルにする方針で一致しました。

しかし、米国の財政赤字が過去最大の3兆ドル規模になる可能性があるため、その反動には十分注意が必要です。

政府の財政出動と日銀の金融緩和による経済効果

政府の財政出動と日銀の金融緩和による経済効果

コロナウイルスの世界的な感染者急増を受け、あらゆる経済活動が停滞する事態となりました。

この影響は、リーマン・ショック時の経済的損失を超えており、そのため日銀は大規模な追加の金融緩和を決定しました。

これにより、当初年間6兆円を買い入れるとしていたETF(上場投資信託)の上限を12兆円に、REITを900億円から1,800億円へともに倍増しました。

そして、大企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)・社債の購入や中小企業の資金繰り支援のための金融機関向けの資金供給も拡充するこことで、さらなる景気悪化を回避すべく行動を実施しました。

また、各銘柄の株価が大幅に下落したことによる自社株買いの増加も期待されており、日銀と自社株買いの買いにより、20年度の年間買い付け額は19.5兆円規模になる可能性があることから、日経平均株価は上昇に転じています。

海外投資家の売買動向を見ると、19年度に海外投資家は13.2兆円の大幅な売り越しに転じており、日銀と各企業の自社株買いでこれに対抗する構図となっています。

今後のGDP(国内総生産)成長率の見通しとは

今後のGDP(国内総生産)成長率の見通しとは

3月時点での米国の20年度GDP予想成長率見通しは以下の通りであり、各金融機関の予想では、4~6月以降ピークを迎え、7~9月期にはGDPがプラス転換すると予測しています。

そのため、株価はこれを織り込む形で反転上昇しており、その動向が注目されています。 

米国、20年のGDP成長率見通し

しかし、この予測は、コロナウイルスの終息が前提であり、世界的な拡散が止まらない事態となればその予想は大きく変わり、株価の下落リスクが高まる可能性があるため、最大限の注意を払う必要があります。

実際、新型コロナウイルス感染者数が爆発的に拡大している米国の現状を受け、ゴールドマン・サックスは3月31日に、4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比マイナス34%となると新たに予想しています。

IMF、20年の世界経済予想を‐3%に引き下げ

IMF、20年の世界経済予想を‐3%に引き下げ

20年4月14日にIMF(国際通貨基金)は、米国を中心としたコロナウイルスの感染拡大を受け世界経済の見通しをマイナス3%に引き下げました。

国別で見ると、

・ 米国がマイナス5.9%

・ ユーロ圏がマイナス7.5%

・ 日本がマイナス5.2%

となっている一方、中国はプラス1.2%といち早くプラス成長に回帰するとしています。

IMF、GDP成長率見通し

また、IMFは、年後半にかけて景気が回復局面を迎えるとの予測を継続しており、21年度では、世界全体がプラス5.8%成長に転じるとしています。

しかし、この予測は、コロナウイルスの封じ込めに失敗した場合、世界経済成長率はさらにマイナス3%程度下振れする可能性があるとしており、さらなる景気後退を避けるべく各国が財政出動に動いています。
 

下半期に向けてコロナウイルス終息に期待

紹介したように、今回のコロナショックによる景気悪化を抑えるべく各国は過去にないほどの財政赤字を覚悟でその封じ込めに動いています。

株式市場では、年後半に向けてコロナウイルスの感染拡大が終息へ向かい、企業の生産活動が回復する可能性を織り込みながら反転上昇に転じています。

特に、クラウドサービスを中心としている企業の業績期待により、ハイテク銘柄は上昇に転じ、アマゾンに関しては新高値を更新しました。

しかし、必要条件であるコロナウイルスの終息が長引けば長引くほど各企業へのダメージは深刻化することが考えられるため、各国の感染拡大ペースの推移には引き続き注目しておく必要があります。(執筆者:白鳥 翔一)