現在は中古住宅購入においても、インターネットで調べたネット銀行を、顧客側から指定することもあるようです。

しかし、中古住宅購入においては決済をスムーズに行うことが最重視されるため、融通が利かないネット銀行は敬遠されているのも事実です。

今回は、顧客側から銀行を指定することのリスクについて考えます。

ほとんどの不動産業者が提携ローンで決済する理由

ほとんどの不動産業者では提携ローンで決済

中古住宅購入では、さまざまな物件を直接見られるという利点がありますが、言い換えればさまざまな売主と向き合わなければなりません。

そして、中古住宅での決済で1番手間暇がかかるパターンとして、売主も買い替えを考えている事例があります。

この場合、売主は中古住宅購入者の購入資金をあてにしているため、ここで決済がつまずいてしまうと、売主が買い替え出来ない事態に陥ります。

そこで不動産業者は、売主も住宅ローン利用の場合の決済には細心の注意を払い、中古住宅購入者と売主に滞りなく住宅ローンが資金交付されるよう手配します。

【事例】中古住宅購入者が債務不履行寸前に

ここで、実際にあった事例をご紹介します。

この事例での中古住宅購入者は、とにかく詳細にインターネットで情報を収集し、何としてもネット銀行を使いたいと主張しました。

不動産業者としては、売主も買い替えを行うパターンであったことや、決済までの日数もなかったことから、融通が利きやすい提携ローンを進めました。

ところが、頑として譲らず、取り敢えずはネット銀行で決済することになりました。

このとき不動産業者は、何らかのリスクに備えて、提携先のメガバンクにも申込みをしておきました。

決済数日前になっても資金交付の連絡なし

決済数日前になっても資金交付の連絡が入らない状況に陥る

中古住宅購入者から、ネット銀行から資金交付されるという連絡がいっこうに入りません。

業を煮やした不動産業者が確認すると、やはり決済当日までに資金交付するのは不可能だとわかりました。

ここでようやく事の重大さに気づいたのが、中古住宅購入者です。

このまま資金交付されなければ、自らの決済が流れてしまうだけでなく、売主の決済も流れることになり、中古住宅購入者は損害賠償責任を負うことになります。

この事例では上記に記したように、提携先のメガバンクにも申込みをしていたため、不動産業者が何とかならないか相談したところ、メガバンクの担当者の力量で、何とか決済に間に合いました

取引をスムーズに運んで損失を防ぐ

取引をスムーズに運んで損失を防ぐ

売り物件が居住中ならともかく、空き家になっている場合、売主としてはできるだけ売却を急ぎたいのが本音です。

そして、その柔軟な期間に対応するために、不動産業者は提携ローンを締結しているのです。

上記のような事例は、ネット銀行を過信しすぎてしまう、中古住宅購入初心者に起こりやすい失敗例です。

まずは不動産取引をスムーズに進めることを、第一に考えていただきたいと思います。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)