「純金の仏具は相続税対策になる」

という話があります。

一体どういうことなのか、詳しく、わかりやすく解説します。

「相続財産」と「祭祀財産」

一般家庭の財産には、「相続財産」と「祭祀財産」があります。

相続財産

お金と家

相続財産とは、相続の対象になる財産のことです。

個人の資産は本人が亡くなると遺産となり、相続人に分割相続されます。

相続財産には次のようなものが含まれます。

・ 不動産など(土地、家屋、借地権など)

・ 現金、預貯金、株式など

・ 貴金属、宝石、書画、骨董など

これらはすべて、お金などの数値に換算できる「価値」を持つものです。

だからこそ複数人での分割が可能です。

祭祀財産

それに対して、祭祀財産分割相続ができません

複数の法定相続人ではなく、ひとりの祭祀承継者が祭祀財産を受け継ぎ、守っていくのが基本です。

祭祀財産には次のようなものが含まれています。

・ 仏壇

・ 仏具

・ 位牌

・ 墓石

・ 家系図 など

「祭具」は相続税がかからない

さて、相続税法第12条にはつぎのように定められています。

第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

ここでいう「祭具」が、いわゆる仏壇や仏具などのご先祖様の祭祀に用いられるものになるわけです。

純金製の仏具は「祭具」なのか

おりん

金属製の仏具はたくさんありますが、純金製の仏具も、「祭具」として認められるのでしょうか。

純金の仏具の代表は、おりんです。

おりんとは、仏壇の前に置いて「ちーん」と音を立てる梵音具のことで、100万円や200万円を超えるものがたくさんあります

その他にも、純金の五具足と呼ばれるもの(花立、火立、香炉の5点セット)もあります。

こうした仏具は、普段の礼拝の道具として用いる限り、相続税の対象にはなりません

ただし、「仏具 = 非課税」と決まっているわけではないため、税務署が「これは悪質だ」と判断すると、動産とみなされることもあるようです。

相続税対策としての効果は薄い

以上のことから、「純金の仏具は相続税対策になる」は本当のようにも思えます。

しかし、これはよく指摘されることですが、仮に純金の仏具が課税対象として扱われずに相続税を免除できたとしても、仏具そのものの価値が維持されるとは限りません

たとえばあなたが1,000万円の18金のおりんを買い、相続税を潜り抜けたとしても、質屋が1,000万円で買い取ってくれるのかというと、そうではありません。

ほとんどの場合、3分の1程度の査定金額になってしまうと言われています。

相続税対策としての純金のおりんは、効果としては薄いというのが多くの専門家が指摘するところです。(執筆者:五十嵐 信博)