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代表的な3つの「企業年金」

従業員が退職した後の生活を豊かにするために、企業が支払う年金を「企業年金」といいます。
また、企業年金は、公的年金だけでは足りない老後資金を補填する役割を果たしています。
代表的な企業年金の種類には厚生年金基金や確定給付年金や企業型確定拠出年金などがあり、それぞれにメリットやデメリットがあります。
今回は、
・ 確定給付年金
・ 企業型確定拠出年金
の代表的な企業年金3種類について、その内容や違いについて解説していきます。
厚生年金基金
厚生年金基金とは、1階部分の国民年金や2階部分の厚生年金の公的年金に上乗せした3階部分の企業年金です。
厚生年金基金に加入するかどうかは、勤務している事業所などが厚生年金基金に加入しているかによって決まります。
厚生年金基金の保険料は、厚生年金と同じく事業者などと折半です。
厚生年金基金は1つの企業だけで設立された単独型と、資本関係があるなどグループ企業や密接な企業によって設立された連合型と、同じ業界や同じ地域により設立された総合型に分類されます。
メリット
公的年金と合わせて年金給付が充実していること
加入期間が1か月でも受給できること
会社にとっても従業員にとっても福利厚生が充実すること
デメリット
資産運用で損をすると積立不足になる可能性があること
積立不足になると事業主の業績に影響がでること
確定給付年金

確定給付年金とは、2002年4月に施行された確定給付企業年金法に基づく、給付額があらかじめ約束された年金制度です。
事業主側が拠出や運用や管理や給付までのすべての責任を負う制度で、日本で1番加入者がいる企業年金制度です。
確定給付年金の種類は、
・ 事業主側が信託会社と契約をして規約に基づいて拠出や運用を行う規約型
・ 事業主が企業年金基金を設立して運営する基金型
の2種類です。
メリット
年金の給付額が確定しているため、老後資金の計画が立てやすいこと
会社にとっても従業員にとっても福利厚生が充実すること
公的年金に上乗せして受給できること
掛け金は基本的にはすべて事業主側が負担すること
規約型であっても基金型であっても自分で資産運用する必要がないこと
デメリット
給付額が確定しているとはいえ、積立不足などで給付額の引き下げの可能性もあること
退職理由による給付額の変動が可能なため、自己都合退職の場合は給付金額が低くなる可能性があること
確定拠出年金
確定拠出年金とは2001年に施行された確定拠出年金法に基づく企業年金制度で、運用収益によって年金額が決まる年金制度です。
確定拠出年金は、
・ 個人型確定拠出年金
・ 企業型確定拠出年金
の2種類があります。
その内の企業型確定拠出年金は、企業が加入者である従業員の年金口座に掛金を積み立てていき、加入者が自ら運用を行っていく制度です。
企業型確定拠出年金のメリット
運用で得た利益はすべて非課税であること
一時金で受けとる場合は退職所得控除、年金で受けとる場合は公的年金等控除の税制控除が受けられること
転職や退職をした場合でも持ち運びができるポータビリティ制度があること
企業型確定拠出年金のデメリット
自分の運用成績によって受給額が変わること
一時金や年金は基本的に60歳まで受給できないこと
自社の「企業年金」を知る
企業年金制度には、厚生年金基金、確定給付年金、企業型確定拠出年金などがあります。
どの企業年金制度に加入するかは、勤務している会社がどの企業年金制度に加入するかによって決まってきます。
自分では選択できませんが、加入している企業年金の特徴を知ることが大切です。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)