相続法の改正により、「特別の寄与」という制度が2019年7月1日から実施されています。

この制度により、被相続人を献身的に介護してきた長男の嫁も一定の遺産(特別寄与料)をもらうことが可能になりました

そこで気になるのは、特別寄与料としていったいどのくらいのお金をもらえるのかということですよね。

今回は、長男の嫁がもらえる特別寄与料の相場や計算方法を説明し、少しでも多くもらえる方法も紹介します。

義理の親御様の看護療養をなさっている方のご参考になれば幸いです。

【遺産】夫の親の介護に尽くした妻がもらえる「特別寄与料」 高額にする

特別寄与料の金額の決め方

特別寄与料とは、被相続人の相続人ではない親族(特別寄与者)が、無償で被相続人の療養看護などをして財産の維持・増加に貢献した場合に、相続人に対して請求できるお金のことです。

いったいどのくらいもらえるのでしょうか。

実は、特別寄与料としてもらえる金額は、相続人との話し合いでいくらでも自由に決められます

しかし、相続人の理解が得られずに話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の審判で決めてもらいます

では、家庭裁判所では特別寄与料の金額について、どのように計算されるのでしょうか。

家庭裁判所における金額の計算方法

「特別の寄与」はまだ始まって間もない制度ということもあり、家庭裁判所における計算方法についての詳しいことは不明です。

ただ、従来からあった「相続人の寄与分」の計算方法がひとつの参考になります。

相続人の寄与分とは、一部の相続人が被相続人の療養看護をするなどして財産の維持・増加に貢献した場合に法定相続分よりも多くの遺産をもらえる制度のことです。

「絶対的評価方法」で計算すれば高額に

この寄与分の計算方法の1つに、療養看護に要した労力や費用を具体的に算定する「絶対的評価方法」があります。

絶対的評価方法で計算してもらえれば、労力に見合った特別寄与料をもらうことも不可能ではありません。

具体的な計算方法

計算方法には、介護保険の介護報酬基準をベースとした次の計算式が使われることが多いと言えます。

介護報酬基準額 × 介護期間 × 裁量的割合(50%~80%程度)

裁量的割合というのは、家庭裁判所が様さまざまな事情を考慮して決める割合のことです。

長男の嫁がいかに献身的に介護をしたとしても、資格を持ったプロによる介護とは異なるので何割かは差し引かれます。

それでも、

要介護5の義親を5年間介護した場合には、1,000万円近くの特別寄与料をもらうことも可能

です。

10年間介護した場合には、2倍の2,000万円近くにも上ります。

家庭裁判所での計算方法

多くの場合は「相対的評価方法」で計算される

しかし、絶対的評価方法で計算してもらえるケースは少ないのが実情です。

多くの場合は、

療養看護によって被相続人の財産の何%が維持・増加されたかを評価する「相対的評価方法」によって計算

されます。

何%が認められるかについては、家庭裁判所がさまざまな事情を考慮して決めますが、相場は5~10%程度でしょう。

遺産総額が5,000万円だとすると、5%で250万円、10%で500万円

です。

現実にもらえる金額としては、この程度の水準で考えておいた方がよいことでしょう。

もちろん、遺産総額が少なければ、その分もらえる金額も少なくなります。

少しでも多くもらうには「絶対的評価方法」で計算してもらう

絶対的評価方法と相対的評価方法のどちらで計算するかで、特別寄与料の金額が大きく変わってしまうことがお分かりいただけたと思います。

そうだとすれば、少しでも多くもらうために何としても家庭裁判所に絶対的評価方法を採用してもらう必要があります。

そのためには、

計算の根拠となる証拠を提出したうえで、絶対的評価方法で計算しなければ不公平であることを強く主張する

ことです。

証拠としては、どのような介護をしたのかを継続的に記録した介護日記などが考えられます。

どれだけの苦労をして、被相続人の財産の維持・増加にどのように貢献したのかを明らかにする資料を作ることが重要です。

それでも絶対とはいえませんが、家庭裁判所に絶対的評価方法を採用してもらえる可能性は高まります

自分で請求しなければもらえない制度

「特別の寄与」が法律で定められたとはいっても、長男の嫁が自動的にお金をもらえるわけではありませんし、相続人のように「相続分」が認められるわけでもありません

あくまでも自分から請求して勝ち取らなければならない制度なのです。

そう考えると、現在、義親を介護中の方ができる対策としては、義親に遺言書を書いてもらってそれなりの金額を遺贈してもらう方が安心でしょう。

「法律で新制度ができたから安心!」と思っていると期待外れとなる可能性が高いのでご注意ください。(執筆者:川端 克成)