低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯に対する国の貸付制度として、生活福祉資金貸付制度があります。
生活福祉資金貸付制度の管轄は厚生労働省で、各都道府県の都道府県社会福祉協議会が主体となって運営されています。
生活福祉資金貸付制度では、「新型コロナウイルスの影響を受け、生活の維持が困難になった人」にも対象を広げた「特例貸付」を実施しています。
今回は、拡大された生活福祉資金貸付制度について詳しく解説していきます。

目次
生活福祉資金貸付制度の目的と対象世帯
生活福祉資金貸付制度とは、国が貸付を行うことにより、低所得者世帯や高齢者世帯や障害者世帯の生活を経済的に支えることを目的とした貸付制度です。
さらに、低所得者や高齢者や障害者の在宅福祉や社会参加の促進を図ることも目的としています。
生活福祉資金貸付制度を利用できる世帯は以下です。
・ 身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳などを所有している人が属する障害者世帯
・ 65歳以上の高齢者が属している高齢者世帯
生活福祉資金貸付制度の特例貸付

生活福祉資金貸付制度では、新型コロナウイルスの影響により、休業や失業などで生活資金に悩んでいる世帯にまで対象世帯を拡大した「特例貸付」を行っています。
新型コロナウイルスの影響で拡大された生活福祉資金貸付制度は、緊急小口資金と総合支援資金の生活支援費です。
1. 緊急小口資金
緊急小口資金とは、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、少額の費用を借り入れできる、主に休業をしている人のための制度です。
特例貸付と現行との比較は以下の通りです。

2. 総合支援資金の生活支援費
総合支援資金の生活支援費とは、主に失業された人などのために、生活再建までの間に必要な生活費用を借り入れできる制度です。
原則、借入後も自立相談支援事業などによる継続的な支援を受けることが借入要件です。
特例貸付と現行との比較は以下の通りです。

今回の特例貸付では、
特例貸付の申し込みから決定・送金まで
住所地の市区町村社会福祉協議会に申し込みをして、都道府県社会福祉協議会が決定、送金を行います。

無利子かつ保証人不要。対象者はぜひ検討を
このように、生活福祉資金貸付制度では、新型コロナウイルスの影響を受けて収入が減少した世帯に対して対象を拡大しています。
無利子かつ、保証人不要で借り入れできるので、対象になる人は検討してみてください。
但し、生活福祉資金貸付制度は給付金ではなくあくまでも借入金であり、将来返済していかなくてはいけない資金であることを忘れないことが大切です。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)