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【資産運用】守りと攻めの両方を目指す「コア・サテライト戦略」 (1)商品配分の注意点と具体的な運用方法

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【資産運用】守りと攻めの両方を目指す「コア・サテライト戦略」 (1)商品配分の注意点と具体的な運用方法

「コア・サテライト戦略」という投資戦略があります。

もともと機関投資家のようなプロ向けなのですが、個人投資家にも適していると考えています。

この「コア・サテライト戦略」がどのようなものかを解説します。

【資産運用】 守りと攻めの両方を目指す「コア・サテライト戦略」

「コア・サテライト戦略」が目指すもの

「コア・サテライト戦略」には、いくつかの解釈があるのですが、私の採用しているやり方は、

元本の確定した安全資産である預貯金や国債を除いたリスク資産を2つに分けて行う資産形成・資産運用

です。

「コア(Coa)」の和訳は「核」で「中心」を意味しており、ポートフォリオでは守りのスタイルを指します。

一方、「サテライト(satellite)」の和訳は「衛星」で、ポートフォリオではコア以外の残りの部分で、攻撃のスタイルを指します。

一言で言うと、「コア・サテライト戦略」とは、

ポートフォリオを守りと攻めの2つに分けて、コア部分ではリスクを押さえながら手堅く、サテライト部分ではリスクを取りながら高いリターンを目指す、攻めと守りの両方を追求する資産形成・資産運用法

です。

通常の個人投資家の場合には、高いリスクを避けるためにコアを重視した資産形成・資産運用法が望ましいと言えます。

商品配分では「コスト」「リスク」「リターン」に気をつける

ここからは、コアとサテライトの配分において気を付ける点を解説します。

「コスト」

コアではコストは最小限にすべきです。

投信の場合の主なコストは、

・ 購入時の販売手数料
・ 毎年徴収される信託報酬
・ 売買にかかる税金

です。

次の表は、日本投資信託協会の2020年3月の統計データから抜粋したインデックスファンドとアクティブファンドの販売手数料・信託報酬の比較です。  

インデックスファンドとアクティブファンドの販売手数料・信託報酬の比較

この表が示すように、インデックスファンドは販売手数料および信託報酬がアクティブファンドに比べて安いので、コスト面ではインデックスファンドが相応しいと言えます。

また、売買を最小限にして持ち続けることを基本にするので長期投資向きです。

サテライトでもコストは考慮しますが、後述するリターンの方が重視されます。

「リスク」

証券分析で言う「リスク」とは、プラスでもマイナスでも期待した収益から乖離したブレを指し、標準偏差(α)で示します

実際には、「期待した収益に達しない場合のマイナス幅」として理解すればよいと思います。

例えば、+5%の収益を期待して投資したが、実際には-10%の損失を被った場合に、

(-5%)+(-10%)= -15% でリスクは15%

となります。

商品の価格変動が大きいほどリスクが高く、小さいほどリスクは小さいとされています。

コアでは安定的なリターンを目指すので、このリスクを最小限に抑えるようにポートフォリオを組成します。

商品や地域の分散を深めることでこのリスクは軽減できるので、分散の究極のスタイルであるインデックスファンドが相応しいと言えます。

また、長期に持つほどリスクは軽減されるので長期投資向きです。

リスクには、商品ごとの変動による時間のリスクもありますが、ドルコスト平均法による積み立てによってこの時間のリスクを軽減できます。

サテライトではリスクはあくまで次に述べるリターンとのバランスで考慮するので、リスクだけが小さければ小さいほど良いというものではありません。

「リターン」

ベンチマークの考え方を使います。

ベンチマークとは、投資信託等がファンドを運用する場合に目標にする指標として用いる基準を指します。

代表的なベンチマークは、日本株ではTOPIXや日経平均株価、米国株ではS&P500が挙げられます。

コアが目指すのはマーケットの平均的リターンですので、ベンチマークに連動する運用成果を目指すインデックスファンドで十分

と言う考え方です。

一方で、サテライトは、マーケットの平均以上のパフォーマンスを目指すので、リターンを高めることを最大限の目標にします

当然リスクも高まるので、ハイリスク・ハイリターンの商品になります。

投信であれば、ベンチマークを上回るリターンを目指すアクテイブファンドが主になります。

具体的な運用方法

コア・サテライト戦略 イメージ図

ここからは、具体的な運用方法を説明します。

コア

安定的なリターンを目指すので、マーケットに連動する商品でコストの安い商品が中心になります。

具体的には、インデックスファンドの長期、分散、積み立て投資が一般的です。

「つみてNISA」や「iDeCo」はこの機能を活用しているので、ぜひ検討いただきたいと思います。

日本株、外国株、国内債券、外国債券、金価格連動ETFに分散したインデックスファンドの積み立て投資は望ましいやり方です。

私の顧客のパフォーマンスを見ても、1年以上前からこの手法を採用している方は、今回の暴落があっても比較的ダメージが小さい結果となっております。

商品と時間の分散がうまく機能しているからです。

サテライト

マーケットのインデックスより比較的高いリターンを目指します。

具体的には、個別の国内株、外国株、債券、為替、商品、不動産等です。

また、投信の場合にはアクティブファンドが主となります。

ただし、長い期間で比較すると、アクティブファンドのリターンがインデックスファンドを上回るのは3~4割ほどの確率と言われております。

サテライトでは、リスクも高い「ハイリスク・ハイリターン型」が大半です。

したがって、ご自分のリスク許容度に応じた金額に限定すべきです。

投資家はタイプによって使い分ける

自分のリスク許容範囲は どこまで?

サテライト投資を行う場合に、もっとも大事なのはそれぞれの投資家がとれるリスク許容度です。

リスクとは「期待した収益に達しない場合のマイナス幅」と述べましたが、例えば、

株式投資では、リーマンショックのような最悪の場合は一時的に株価が半分になることもあり得ることも覚悟しておく

べきです。

通常の個人投資家の場合には、あまりリスクを取るべきではないのでコア中心に配分することをおすすめします。

特に若い方でこれから資産形成を考えている方はコア投資だけで十分です。

毎月少額でも一定額の積み立てを継続すれば将来の大きな蓄えを期待できます。

証券投資で失敗ばかりしていて証券投資はこわいというイメージを持っている方にもコア投資は有効です。

コア投資で、望ましい資産形成・資産運用法を経験していただけるからです。

もちろん「資金に余裕がある」、「株式投資等に興味がある」という方は資金の一部を個別株や個別商品に投資するのは悪くはありません。

直接投資をすることによって、リターン以外にも株式市場や経済の勉強にもなるからです。

ただし、リスクは大きいことを認識して、リスク許容度の範囲内にしていただきたいと思います。

コア投資から実践するのが賢明

以上がコア・サテライト戦略についての概要です。

繰り返しになりますが、資産形成を考えている方や資産運用でうまく行かないと悩まれている方は、まずこの戦略のコア投資から実践されることが賢明です。

次回もコア・サテライト戦略の続きについて説明します。(執筆者:シニア・プライベートバンカー、CFP 須原 國男)


《須原 國男》
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須原 國男

須原 國男

スハラFPコンサルタント代表、NPO法人「老いじたくあんしんねっと」会員 1968年慶応義塾大学卒業後、大和証券に入社。ノースウエスタン大学経営学部、大学院修了後に東京本店および海外店で日本株・外国株の推進業務に従事、その後大和総研に転籍して取締役として証券リサーチ業務に従事した。2009年より独立系ファイナンシャルプランナーとして活動している。得意分野はライフプラン、資産形成・資産運用及び遺言・相続問題のアドバイスで、個人相談、講演、執筆に従事している。 <保有資格>:シニア・プライベートバンカー(2019年12月時点で認定者は123名のみ)、日本証券アナリスト協会検定会員、CFP、第一種証券外務員資格(現在未登録)、宅地建物取引士(現在未登録)、MBA 寄稿者にメッセージを送る

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