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ナンピンとは

投資のテクニックのひとつに「ナンピン」というものがあります。
基本的なナンピンは、買った株が値下がりした場合に買い増す「ナンピン買い下がり」、あるいは売った株が値上がりした場合に売り増す「ナンピン売り上がり」であり、一般的にも良く知られた手法です。
このような基本的なナンピンの目的は、平均取得価格を有利にしていくことです。
ナンピン買い下がり → これまで買った株価よりも下がったタイミングで買い増すのですから、平均的な買値を下げられます。
ナンピン売り上がり → これまで売った株価よりも高い株価で売り増すため、平均的な売値を上げられます。
ハイリスクなナンピンとは
ナンピンはハイリスクであるといわれます。
たしかに、方法を誤ってしまえば、ナンピンは損失の拡大につながります。
例えば、ナンピン売り下がりによって平均取得価格を下げたとしても、さらに下落すれば含み損は拡大し、下落が続けば続くほど、また下落に応じて買い下がるほど不利な状況に追い込まれていきます。
そのような状況では、ナンピンするよりも早急に買いポジションを損切りしてしまったほうがよく、これがナンピンがハイリスクといわれるゆえんです。
ナンピンのリスクを避けるために
適切な方法で行うことによって、ナンピンのリスクは避けられます。
・天井圏と大底圏でナンピンすること
・比率を守ってナンピンすること
ナンピンのタイミング
ナンピンの適切なタイミングは、買いナンピンは大底圏、売りナンピンは天井圏となります。
もし、上昇トレンドがしばらく続いた局面であれば、その株価からの下落余地は大きく、まもなく下落トレンドに転換するかもしれません。
この局面での買いは天井圏での買いであり、ナンピン買い下がりを繰り返せば、下落の継続によって大きな損失を被る可能性があるため、ナンピンよりも損切りを優先すべきです。
しかし、大底圏で買うならば、その株価からの下落余地は小さいと考えられます。
下落したとしても、それに伴って底を打つ可能性も高まっていくため、ナンピンによって平均取得価格を下げるチャンスと考えられます。
ナンピン買い下がりは大底圏で、ナンピン売り上がりは天井圏で行うと考えるならば、ナンピンのリスクはかなり軽減されます。
ナンピンの比率

ナンピンの比率も重要です。
ナンピンの比率が正しくなければ、リスクは高まります。
基本的に、複数回に渡るナンピンでは、回数を重ねるごとに単位を大きくしていきます。
これは、せっかく株価が買い増し・売り増しに有利な方向へ動いても、取得する単位が小さければ平均取得価格もそれほど有利にはならないためです。
1回目のナンピンで単位を大きくしすぎると、2回目以降のナンピンで売買する単位も大きくなりすぎるため、判断を誤った際のリスクが非常に大きくなります。
ナンピンでは一定の比率をあらかじめ決めておき、その比率に忠実にナンピンしていくことが重要です。
よく使われる比率
1・2・3・4
1・3・5の比率であれば、最初に買った株が100株の場合、1回目のナンピンでは300株の買い増し、2回目のナンピンでは500株の買い増し、それ以降は買い増しせずに状況によっては損切りするというものです。
適切なタイミングと比率によって行うナンピンは、一般的にいわれているほどリスクが高いものではなく、むしろ戦略として大いに活用すべきものです。
適切な方法でナンピンを活用していきましょう。(執筆者:兼山 艮)