新型コロナウイルスの影響で、収入が激減する人が増えています。
中には、会社が倒産したり、会社は倒産しないまでも自宅待機のままリストラになってしまったり…。
そうなると、食費や光熱費はギリギリまで削っているので、残るは生命保険ということになるのではないでしょうか。
バブルの運用利回り(予定利率)が良い時期に加入している人は、いま解約すると、まとまったお金が戻ってくるケースも多いですが、それで本当に解約してしまっていいのでしょうか。
いつもなら、「保険を見直して、必要なければ解約も」とお勧めてしている私ですが、
となれば、話は少し違ってきます。
もちろん、リストラされても、必要以上に大きな保険に加入している人は、解約してもいいでしょう。
けれど、会社を辞めると公的保障が減るので、必要な人も出てくることでしょう。
会社員の場合には、病気で会社を休む給料の3分の2が傷病手当金として最長1年6か月給付されます。
ところが、会社を辞めて、国民健康保険になれば、こうした保障は付きません。
しっかり貯金があるという人は別ですが、そうでなければ少し考えたほうがいいという人もいることでしょう。
では、そういう人は、どうすればいいのでしょうか。
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目次
新型コロナで「支払猶予期間」が7か月近くまで延長
生命保険の場合、保険料を払わないと保険がすぐに失行する(保険の効力が失われる)わけではありません。
生命保険料には、月払いの場合、「払込期月の翌月の1日から末日」までは、支払いを待ってくれる「猶予期間」があります。
4月10日に保険の契約をしていたら通常は翌月5月10日に保険料を支払わなくてはなりませんが、「払込期月の翌月の1日から末日」までは猶予が効くので、6月末までに保険料を支払えば、保険は失効しません。
つまり、「猶予期間」を使えば、1~2か月近くまでは保険料を支払わなくてもいいことになります。
その間も、保障は継続していますから、死んだら死亡保険金が出るし、病気で入院(通院)したら給付金も出ます。
この「猶予期間」が、新型コロナ対応で、6か月間に延長されました。
保険料を払わなくても、最長7か月近くは、その保険に加入し続けられるということです。
「猶予期間」を使うためには申請が必要
「猶予期間」中に死亡したり入院(通院)して給付金をもらうと、その中から保険料を払うことになります。
「猶予期間」が終わると、その時点でまとめて保険料を支払うことになります。
それまでに、何とか収入が改善されていれば、対処できるでしょう。
生命保険は、通常は入院(通院)しなくては給付金が出ません。
ただし、新型コロナの場合だと、軽症な人は入院せずに自宅(ホテル)待機になるケースがほとんどです。
こうした場合にも、医師の証明書があれば「みなし入院」ということで加入している保険から給付金が出ることになっています。
運用利回りが高い保険契約は大切に!
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解約してはもったいない保険の場合、その保険を担保に、お金を実質無利子で借りられます。
保険は、加入した時に運用利回り(予定利率)が決まり、その利回りで最後まで運用されます。
バブルの頃に終身保険に加入していた人などは、運用利回りが5.5と高いですから、超低金利の今でも、5.5%という高い金利で保険が運用されています。
たとえば30年前に35歳で1,000万円の終身保険に加入し、65歳で保険の支払いが終わった人がいたとします。
この場合、65歳からは保険料を支払わなくても、いつでも死んだら1,000万円の保険が出ます。
しかも、解約してまとまった解約返戻金をもらえますが、これを65歳でもらえば約400万円、90歳まで置いてもらえば2倍の約800万円にまで増えます。
つまり、老後のとてもいい貯金になるということです。
こうした「お宝保険」を、お金がないからと解約してしまってはもったいない。
そういう時には、保険を解約しなくてもまとまったお金が手にはいる「契約者貸付」を使うといいでしょう。
解約するとお金が戻るタイプの保険に加入している人なら、解約して戻る解約返戻金を担保に、その7~8割までを「契約者貸付」で借りられます。
この「契約者貸付」には、通常は、加入している保険の運用利回りよりちょっと高い金利が付いていますが、いまは新型コロナ対応担っているので、貸付金利が運用利回りと同じになるので、実質的には無利息ということになります。
こうして急場を凌ぎましょう。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)