※2020年5月13日現在の内容となっております。

厚生労働省は、休業者に月額賃金の8割程度を直接給付する方針を固めました。

手続きが煩雑と言われる企業が申請する雇用調整助成金よりも、2011年の東日本大震災の時にも導入した「みなし失業」を参考に、直接給付することで休業者を迅速に支援できるようになります。

関連法案を今国会に提出し、成立次第、給付を始めるようですので、今後注目されます。

個人で申請 直接給付される 「みなし失業」 内容・申請方法・注意

雇用調整助成金の申請が少ない理由

雇用調整助成金は、企業に助成金を支給することによって、従業員に休業手当を支払うのを支える仕組みをとっていました。

しかし、

・手続きが煩雑であること

・支給されるまでに時間がかかること

・休業手当を事前に支払うため、一時的な費用負担がかかること

などの理由で申請できない(しない)事業者が多く、政府が思うよりも手続きが進んでいません。

「みなし失業」とは

みなし失業」とは、休業を余儀なくされ、給与を受け取ることができなくなってしまった人について、実際には離職していなくても失業しているとみなして失業給付を受給できるようにする雇用保険の特例措置のことです。

「みなし失業」のメリット

「みなし失業」のメリットは次の通りです。

・ 従業員自らハローワークに手続きを行い直接支給されるため、迅速かつ確実に手当を受け取れる。今のところ申請から1週間程度で支給する可能正が高い。

・ 長期間の休業を余儀なくされている従業員が安定的な生活収入を確保できる

・ 会社に在籍し続けられる。

・ 一時的な負担を負うことなく、従業員の雇用を維持できる

・ 整理解雇等を行なうことがなくなる。

申請の方法

申請方法は次の通りです。

手順1:
休業者は、会社から休業証明を受け取る

手順2:
従業員自らオンラインなどでハローワークに申請する

手順3:
従業員の口座に給付金が直接支払われる

注意したい点は、会社が発行した休業証明が必要であることです。

手当の額を算出するに当たって労働者の賃金等を確認する必要があるため、通常の離職証明書と同様の様式になりそうです。

受取額

今のところ、平均賃金の8割程度で調整されるようです。

平均賃金 = 3か月に支払われた賃金総額 ÷ 3か月の暦日数

で計算できます。

雇用調整助成金は平均賃金の6~10割ですので、場合によっては少ない額になります。

上限額は雇用調整助成金と同様に月33万円程度で調整されます。

「みなし失業」の注意点2つ

雇用保険受給資格者証の書類

「みなし失業」の注意点をお伝えします。

注意点1:被保険者期間のリセットの可能正

今のところ詳しい内容はまだ報道されていませんが、東日本大震災の時には「みなし失業」による失業手当を受給すると、それまでの被保険者期間がリセットされてしまいました。

通常の失業保険の受給資格では、少なくとも6か月以上の被保険者期間が必要です。

被保険者期間は、離職日からさかのぼって、被保険者であった期間を1か月ごとに区切り、それぞれの期間の中に労働した日数が11日以上ある期間を被保険者期間1か月とします

もしも、コロナの影響が長期化して出勤した日数が11日未満の月が続いた後、本当の「失業」をした場合に失業手当を受けられなくなってしまう可能性もあります。

被保険者期間がリセットされるかどうかも注目点です。

注意点2:雇用保険に加入要件を確認

本来の失業手当は雇用保険に加入されている従業員を対象としています。

「みなし失業」の特別措置も雇用保険に加入している従業員対象となることでしょう。

自分は雇用保険に加入していないから対象外だと思う前に加入要件を確認してみてください。

パートやアルバイトなどの雇用保険に加入していない人の中には、本来は雇用保険に加入しなければならないのに会社が違反して雇用保険に加入していないケースもあります

雇用保険の適用基準

・31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。

・1週間の所定労働時間が20時間以上であること。

上記に該当しているにも拘らず雇用保険に加入していない場合には、事業主に加入手続きをしてもらうように伝えることも大切です。(執筆者:望月 葵)