自分のマイナンバーがわかるものには、2015年の秋頃に送付された紙製の「通知カード」があります。

また、所定の交付申請によって発行されるプラスチック製でICチップの付いた「マイナンバーカード」でも、自分のマイナンバーがわかります。

日本に住んでいる方はいずれかを保有していると思いますが、マイナンバーカードの普及率は2020年4月1日時点で約16%にとどまっているため、通知カードを保有しているかたが大多数だと思います。

最近この両者に関して、多くの人々の話題を集める次のような2つのニュースがありました。

通知カード廃止でマイナンバーカード取得をどうするか

ニュース1:マイナンバーカードの交付申請で役所に人が殺到

その1つは新型コロナウイルスの影響を受けた家計を支援するために支給される、1人10万円の「特別定額給付金」のオンライン申請の手続きに必要なマイナンバーカードの交付申請をする人が市区町村の窓口に殺到しているというものです。

また、マイナンバーカードの暗証番号を忘れてしまった人や、暗証番号の入力間違いで発生したロックの解除を求める人も、市区町村の窓口に殺到しているようです。

このようにして人々が集まれば、新型コロナウイルスに感染するリスクが高まるため、市区町村では冷静な対応を呼びかけています。

行列に並ぶ人々

ニュース2:通知カード2020年5月25日廃止

もう1つのニュースは、通知カードが2020年5月25日で廃止される予定であるという情報です。

マイナンバーカードの交付申請を行うために市区町村の窓口に人々が殺到したのは、特別定額給付金の給付申請に加えて、この通知カードの廃止が背景にあるのではないでしょうか。

特別定額給付金の給付申請はマイナンバーカードがなくてもよい

通知カードとマイナンバーカードに関する、上記の2つのニュースを初めて聞いた時には納得のいかないことがいくつかありました。

その1つは

郵送であれば、マイナンバーカードを持っていなくても特別定額給付金の給付申請ができるのに、多くの人々がマイナンバーカードに関連したことで市区町村の窓口に殺到した

という点です。

調べたところ、マイナンバーカードを使った電子申請の方が郵送の申請よりも早く始まったため、特別定額給付金を早く受給できる可能性があるというのが主な理由のようです。

そう言われてみると、確定申告の還付金も郵送より電子申告の方が早く受け取れました。

しかし、混雑している市区町村の窓口に行けば、新型コロナウイルスに感染するリスクが高まります。

従って、特別定額給付金については郵送で申請しておき、マイナンバーカードの交付申請やロックの解除については新型コロナウイルスの事態が収束してから取り組むのがよいと思います。

また、特別定額給付金をすぐに受け取らないと生活が成り立たないくらいに、お金に困っている場合には、

社会福祉協議会が実施している緊急小口資金の特例貸付などを、利用するのがよい

と思います。

【関連記事】【無利子&保証人不要】国の生活福祉資金貸付制度 コロナ困窮世帯に対象ひろがる「特例貸付」2種の解説

通知カードは廃止後も「マイナンバーを証明する書類」として利用可

もう1つ納得できないのは、マイナンバーカードがほとんど普及していない状況で、政府が通知カードを廃止する点です。

このニュースを初めて聞いた際には、「今後はマイナンバーカードを持っていないと困ってしまう場面が出てくる」と思いました。

しかし、通知カードに記載された氏名や住所などに変更がなければ

当面の間は、通知カードを「マイナンバーを証明する書類」として利用できる

ことがわかりました。

マイナンバーカード取得が必要な3つのケース

従って、通知カードしか持っていなくても当面の間は困らないのですが、次のような3ケースに該当した場合には、マイナンバーカードが必要です。

ケース(1) 通知カードを紛失した場合

通知カードを紛失した場合には再発行してもらえばよかったのですが、2020年5月25日以降は再発行されないのです。

そのため、通知カードを紛失した人が「マイナンバーを証明する書類」を提示しなければならない場合には、マイナンバーカードが必要です。

ケース(2) 氏名や住所などが変わった場合

氏名や住所などが変わった場合には、市区町村の窓口に行って変更した事項を通知カードの裏面に記載してもらうのですが、2020年5月25日以降はこのような対応がなくなります

これにより、通知カードは「マイナンバーを証明する書類」として使えなくなるため、マイナンバーカードが必要になるのです。

ケース(3) 出生&海外から転入した場合

2020年5月25日以降に出生した場合や海外から転入した場合には、従来と同じように新たにマイナンバーが付与されます。

ただし、マイナンバーの通知は、通知カードではなく、その代わりとなる「個人番号通知書」で行われるのです。

この個人番号通知書は通知カードとは異なり「マイナンバーを証明する書類」として使えないため、マイナンバーカードが必要になるのです。

赤ちゃん誕生でマイナンバー新規発行

マイナンバーカードを取得しないで済ませる方法

通知カードを使い続けたいと思っても、上記の(1)~(3)に該当する場合にはマイナンバーカードを取得しなければならないのですが、これを取得しないで済ませる方法があります。

それは「マイナンバーを証明する書類」が必要になった際に、

マイナンバー入りの住民票の写しを、市区町村の窓口で請求する

というものです。

ただし、これを提出できるのは、行政機関、地方公共団体、独立行政法人、または社会保障、税、災害対策の手続きを行う民間事業者に限定されています。

また、必要になるたびに請求するという手間がかかります

マイナンバーカードのメリット・デメリット

一方、マイナンバーカードであれば「1度発行すれば、以降何の手間もかからないのか」というと、そうではありません。

マイナンバーカードには有効期限があり、期限を迎える前に更新手続きが必要です。

この更新の手間が、マイナンバーカードのデメリットだと言えるでしょう。

【マイナンバーカードの有効期限】

マイナンバーカード:
原則10年(未成年者は5年)

マイナンバーカードに格納されている電子証明書:
原則5年

そしてメリットは、マイナンバーカードがあれば役所に行かなくても、コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書などを入手できることです。

2021年3月~健康保険証としても利用できるが懸念事項もある

また、2021年3月からは、

マイナンバーカードを健康保険証として利用できる

という新たなメリットが生じます。

ただし、懸念事項もあります。

マイナンバー法案が可決された際には「個人の医療情報とマイナンバーを紐付けしない方針」だったにも拘らず、その約2年後には予防接種と特定健診(40~74歳)に関する情報をマイナンバーと紐付けする改正案が可決され、すでに実施されているのです。

マイナンバーカードを健康保険証として使う人が増えたタイミングでさらに紐付けが拡大されたとしたら、個人情報が流出した際の被害が大きくなるため、メリットばかりではなくデメリットも考えられるのです。

いずれにしろ通知カードが廃止された後も、当面の間は従来と同じように使えるのでマイナンバーカードの交付申請を慌てて行う必要はありません。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)