賃貸用物件購入の際のセールストークとして、もしくはマスコミにもよく取り上げられるポイントに「年金代わりになる」というフレーズがあります。

しかし実際に不動産投資をしながら、公的年金の受給が近づいてきている私の感想は、

「そんなに簡単じゃなかった。試行錯誤の連続だった。」

と言うのが正直なところです。

それを自分の経験と感想とともに説明していきます。

「年金機能」の問題点

1件だけでは難しい

金額編:1件では小遣い程度

例えばワンルームマンション購入当時に月10万円の家賃が取れていても、時間の経過とともに家賃は値下がりします。

20年後の家賃はいくらになっているのかというと、ある資料では毎年1%下落で、20%程度まで値下がりするとあるので、約8万円です。

さらにローン返済が終わっていたとしても、管理費や修繕積立金は引き続き支払います。

大規模修繕に備えて年々高くなるのが普通ですので、不動産業者への管理費を含めると1万数千円程度がかかり、火災保険等の保険料やその他費用を引くと

月6万円程度しか残らない

ということは、よくあると思います。

つまり、物件1件だけではちょっとした小遣い程度にしかならず複数物件を持たないと「年金」というイメージからは程遠い金額なのです。

しかし、購入時に「月10万円の年金が手に入ります」というようなニュアンスで説明を受けると、この現実には気づけません。

受け取り開始時期編:早くて60歳

購入時に業者が作成した収支計画表で、1戸当たり当初数千円~1万円程度のプラスの現金収支で作成されていても、賃料の値下げやその他の出費でほどなくマイナスになる傾向にあります。

安定的にプラスの現金収支にするためには、ローンの一部繰上げ返済が必須です。

徐々に繰り上げ返済をしていくと、現金収支も多くなるのですが、やはり全額を返済しないと相当の受取額にはなりません

ローンの一部繰上げ返済は、期間据え置きで元金を減らすことにより、毎月の現金収支を改善していきます

ただし、途中で返済期限は変えませんので、最後あたりに一括返済しても、普通はローン返済期限の5~10年程度前に全額受け取り開始時期が落ち着きます。

ローンの返済期限が75~80歳くらいですので、40歳代で始めると全額受け取れるのは60~70歳前後がいいところです。

今でいう公的年金受取時期と同じくらいかさらに遅いということです。

その場合、「やっとか…」というのが投資家本人の正直な感情でしょう。

もちろんないよりはましなのですが、そうなるとかなり拍子抜けの感じではないでしょうか。

現物であるがゆえに編:災害の心配

私自身も経験があるのですが、賃借人によるたばこの不始末で台所だけだったのですが、火事被害に会ったことがあります。

これは「年金」というよりも不動産そのものの問題です。

その他、地震や風水害など考えるときりがないのですが、不動産は突然災害に見舞われて現物を失うか損壊する可能性があります。

稀にそうなると年金代わりの賃貸収入がストップしてしまうので、保険などの契約は確実にしてください。

保険には必ず加入する

受け取りの安定性編:「まあまあ」

賃貸物件は空室リスクがいつになっても存在しますので、業者の家賃保証の有無もあるにせよ完全な賃料の補償はありません

しかし、株やFX取引など1日で大損するというような不安定さではありません。

空室リスクについては工夫をすれば少しは減らせますし、不動産投資に「ミドルリスク、ミドルターン」と言う言葉があるように安定性はまあまあというべきでしょう。

「年金機能」としてのメリット

ここからは賃貸収入を年金機能として考えた場合のメリットをお伝えします。

相続財産として:元気なうちにノウハウを教える

本人が死亡しても、相続財産として物件とともに賃貸収入も相続人に引き継げるので、家族思いの方なら十分にモチベーションを上げられます。

自分が10年受け取り相続人で10年受け取れば、月5万円でも通期で1,200万円の受取です。

ただし、相続人の方に賃貸経営のいろはくらいは事前に伝授しておくように注意してください。

収入があるのはよいのですが、管理面など分からないことが多いと、相続人にとって精神的にかなりの負担になってしまうかもしれません。

老後の生活の一部として:お小遣い程度でもよい

収入を自分で稼ぐという機会が格段に減りますし、体調不良などで出費も多くなります。

お小遣い程度の収入でも、ないよりはあった方がよいと言えます。

物件の数次第では立派な年金代わり

若くして始めて物件を少しずつ増やして行けたなら、標準的なサラリーマンでもワンルームマンション3戸程度以上を持つことは十分に可能です。

その戸数になるまでにはローン残額をそれなりに減らしているはずなので、十分に年金替わりになると言えそうです。

現在であれば月10~20万円程度の賃貸収入となり公的年金とあわせれば、サラリーマンでもかなり余裕ある生活を送れるのではないでしょうか。

「年金替わり」になるよう目標を持つ

目標をもった不動産投資をしよう

「年金替わり」と言える程度の家賃収入を受け取るためには、少なくとも2~3戸のローンを完済したワンルームマンションの所有が必要です。

そのためには給与からの貯蓄や物件の現金収支プラス分をローン返済や再投資にあてるなど、普段からの努力が必須です。

将来の計画は本人次第ですが、きちんとした目標をもっていれば購入時の「年金替わりになりますよ」を実現できそうです。

ただし、やるのは業者ではなく、あなた次第であることを忘れないでください。(執筆者:堀江 優)