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【不当解雇に対抗】解雇予告手当の要件・手順・対象。法律の知識を身につけ、もらい損ねを防ぐ

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【不当解雇に対抗】解雇予告手当の要件・手順・対象。法律の知識を身につけ、もらい損ねを防ぐ

5月下旬、新型コロナウイルス関連の解雇・雇い止めが1万人を超えたと報じられました。

退職強要や不当解雇などの問題も出はじめています。

コロナの収束がいまだ見えない状況では、これからますます解雇が増える可能性があります。

解雇には、法律で定められた要件や手順があります。

場合によっては、「解雇予告手当」の支払いが必要です。

不当解雇にあったり、解雇予告手当をもらい損ねたりしないよう、解雇についての知識を身に着けておきましょう。

解雇予告手当の要件・手順・対象

解雇の要件とは

解雇については、労働契約法第16条で、次のように明記されています。

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。e-Gov

経営者が適当に理由をつけて労働者を解雇することは、法律で禁じられています

常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成が義務づけられており解雇の理由についても記載しておかなくてはいけません

この点も、労働基準法第89条に明記されています。

会社の就業規則をわざわざ確認することはないかもしれませんが、万一の場合に備えて、就業規則には目を通しておくのがおすすめです。

解雇予告は、解雇日の30日以上前が原則

労働基準法第20条には、以下のような記載があります。

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。e-Gov

解雇の予告は原則として、解雇日の30日以上前にしなくてはいけません

いきなり「今日で会社辞めて」と言われてクビになる、などということがないよう定められています。

ただし、これはあくまでも原則です。

30日をきっていた場合に支払われる解雇予告手当

この労働基準法第20条には続きがあります。

○2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。e-Gov

たとえば、解雇予告がおこなわれたのが解雇日の20日前だったとしても、10日分の平均賃金を支払えばいい、ということです。

このとき支払われる、平均賃金×日数のお金が「解雇予告手当」です。

30日分の手当を渡して「今日で解雇です」は認められるか

では、解雇日の当日に解雇予告をして、30日分の解雇予告手当を支払うというケースはどうでしょう。

認められるのでしょうか。

答えは、認められます

「即日解雇」と言われており、違法な行為ではありません。

解雇される労働者にしたら、

転職先を探す間もなく辞めさせられる

わけですから、たまったものではありません。


しかし、これが法律です。

解雇予告通知書

解雇予告手当はみんなもらえる

解雇日の少なくとも30日前に予告をしなくてはいけないのは、正社員でもパート、アルバイトでも同じです。

そして、解雇予告手当も、正社員でもパート、アルバイトでも同じようにもらう権利があります

解雇予告手当は解雇予告手当はみんなもらう権利がある

ですから、

「きみはパートだから解雇予告手当は出ないよ」

と言われても、うのみにしないでください

30日以上前の解雇予告、および解雇予告手当が対象外になるのは、次のような人たちだけです。

・ 日々雇い入れられる者(1か月を超えて雇われている場合を除く)

・ 2か月以内の期間を定めて使用される者(当初の期間内を超えて雇われている場合を除く)

・ 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(当初の期間内を超えて雇われている場合を除く)

・ 試用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されている場合を除く)

正当な解雇なのか

「解雇は30日以上前に予告さえすればOK、足りない日数分は解雇予告手当さえ支払えばOK」ではありません。

解雇はまず、前述したように

「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当」でなくてはいけません。

「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当」でなければ、何日前に予告しても、解雇予告手当をいくら支払っても、

不当解雇

です。


そうでなければ、経営者が解雇予告手当を支払って気に入らない社員を辞めさせる、という行為がまかり通ることになってしまいます。

経営者が解雇に関する正しい知識を持っていないケースも考えられます。

そのような場合でも、労働者が正しい知識を持っていれば、法の定めに基づいて権利を主張できますし、解雇予告手当をもらい損ねることもありません。(執筆者:社会保険労務士 嵯峨 朝子)

《嵯峨 朝子》
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嵯峨 朝子

嵯峨 朝子

職場を転々とするうちに、気がつけば、総務・労務関係の実務経験は15年以上に。社会保険労務士の資格を取得しており、失業手当や傷病手当金を受給した経験もあります。現在は、フリーランスのWebライターとして生計を立てつつ、健康と節約に気を配った、自分なりの豊かな暮らしを実践中。 寄稿者にメッセージを送る

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