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相続不動産の売却益は「譲渡所得税」の対象 確定申告の際の4つの注意点

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相続不動産の売却益は「譲渡所得税」の対象 確定申告の際の4つの注意点

不動産には固定資産税などの維持管理費がかかりますので、相続した土地をすぐに売却してお金に換えるのも節約術の1つです。

また、相続税の納税資金を集めるために、相続不動産を売却することも珍しい話ではありません。

ただし、気をつけないといけないのが、不動産売却益は譲渡所得税の対象であり、確定申告が必要だという点です。

相続した不動産を売る場合には、通常の譲渡と違う部分もありますので、ご注意ください。

注意1:譲渡所得税の取得費

購入したときの領収書は大切に保険

相続で取得した不動産の取得費は先代が購入した金額

譲渡所得税は売却の利益部分に対する税金ですので、売却金額と取得費との差額金額を算出しなければなりません。

譲渡所得税における取得費とは、売却物件の購入金額です。

相続取得の場合には相続時点の時価が取得費になると思われるかもしれませんが、亡くなった人(前所有者)の購入金額が取得費になりますので、間違えないようにしてください。

そのため、

先代が購入した不動産の契約書や領収書は処分せずに保管

しておいてください。


なお、購入金額が不明の場合には売却金額の5%を取得費とみなし(概算取得費)、譲渡所得税を計算します。

注意2:譲渡所得税の税率は売却物件の所有期間

相続取得の場合には先代の保有していた期間も所有期間に含める

譲渡所得税の税率は、金額の大小ではなく、売却物件の所有期間によって変わります。

短期譲渡所得

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合 → 税率39.63%

長期譲渡所得

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合 → 税率20.315%

所有期間とは、所有者となった時点から売却するまでを言い、相続取得の本来の所有期間は相続開始時点から売却するまでです。

しかし、譲渡所得の計算上の所有期間は、相続開始時点からではなく、

先代が所有者となった時点から売却するまでの期間

を言います。


そのため、相続開始日が1年前であっても10年前に先代が不動産を購入していた場合には、10年前からその不動産を所有していた扱いになりますので、該当する譲渡所得は短期譲渡所得ではなく長期譲渡所得となります。

なお、不動産譲渡所得は、売却した日ではなく、売却した年の1月1日時点の所有期間で判定しますので、間違えないように注意してください。

注意3:取得費が加算できる制度

取得費を加算できる制度を使おう

相続税の申告期限から3年以内に売却した場合に、取得費を加算できる制度がある

相続で取得した不動産を相続税の申告期限から3年以内に売却した場合には、不動産を取得するのに支払った相続税を譲渡所得の取得費に加算できます。

たとえば、相続財産のうち売却不動産が60%の割合を占めていた場合、納めた相続税の60%を取得費に加算できるのです。

また、取得費加算は、概算取得費にも適用できますが、相続税を支払っていない場合には制度を利用できません

注意4:控除の対象者から除外

不動産譲渡所得がある場合には扶養控除・配偶者控除から除外される可能性もある

扶養親族が相続で取得した財産を売却した場合には、扶養控除・配偶者控除の対象者から除外しなければいけない可能性があります。

扶養控除や配偶者控除の対象となる所得金額は48万円(令和2年以降)ですが、所得金額には不動産譲渡所得も含めます。

所得金額の合計が48万円を超える場合には、扶養控除や配偶者控除の対象外ですので、ご注意ください。

なお、扶養控除・配偶者控除の判定は毎年行われますので、翌年の所得金額が48万円以下になれば、再度扶養控除や配偶者控除の対象になります。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

《平井 拓》
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執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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