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新型コロナで優劣が鮮明になった「バランス型ファンド」 選定には運用会社とファンドマネージャーの能力見極めが重要

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新型コロナで優劣が鮮明になった「バランス型ファンド」 選定には運用会社とファンドマネージャーの能力見極めが重要

近年脚光を浴びていたリスクコントロール型バランスファンド

バランス型ファンドには、大きく分けて

・ 資産配分変動型のもの

・ 資産配分固定型のもの

が存在します。

ここでは、資産配分変動型のファンドについて見ていきたいと思います。

新型コロナで優劣が明確になった 「バランス型ファンド」

資産配分変動型のファンドは「リスクコントロール型バランスファンド」と呼ばれることがあります。

このタイプのファンドの特徴は、

リスクオン時(相場が上昇しているとき)には、リスク資産の組入れ比率を高めて収益確保を狙い

リスクオフ時(相場が調整しているとき)には、リスク資産の比率を低くして損失を限定する

ことを狙うというものです。

つまり、常に資産配分比率を固定しておくのではなく、変動させることでリスクを抑え、大きなリターンを狙う戦略と言えます。

資産の組入れを変更するタイミングで運用成果が大きく異なる

リスクコントロール型のバランスファンドは、上記のような特徴を有しており、非常に魅力的に思えます。

しかし、資産配分を変更するタイミングによって、運用成果は大きく異なってしまいます。

つまり、相場がリスクオンやリスクオフになる潮目を読む力が運用会社ひいてはファンドマネージャーに求められるのです。

コロナショック下でリスクコントロール型のバランスファンドが、実際にどのようなパフォーマンスを見せたのかを具体的に見てみましょう。

Aファンドのリスク資産組入れ比率の推移

2月25日時点:61.8%
2月28日時点:56.9%
3月6日時点 :43.4%
3月17日時点:0%
3月17日以降現在まで:0%

Bファンドのリスク資産組入れ比率の推移

2月20日時点:45.8%
2月26日時点:22.2%
2月28日時点:21.3%
3月3日時点 :2.6%
3月31日時点:15.0%
4月30日時点:30.1%
5月29日時点:27.1%

この両ファンドを比較する際の判断材料になるのは、同期間(両ファンドのデータ取得期間は多少異なっている)のニューヨークダウ工業株30種平均株価でしょう。

ダウ30は、新型コロナウィルスの拡大を受けて2月の最終週から下落を始めました。

その後、多少の反発はあったものの、3月23日の1万8,591ドルまで急落し、そこから足許まで株価は上昇してきています。

ニューヨークダウ工業株30種平均株価の変動幅(前営業日比)の推移

2月24日:△1,031ドル
2月27日:△1,190ドル
3月9日 :△2,013ドル
3月12日:△2,352ドル
3月16日:△2,997ドル
3月23日:△582ドル(年初来安値18,591ドルをつける)
3月24日:+2,112ドル
4月6日 :+1,627ドル
5月18日:+911ドル

ダウ30を判断基準に、A、B両ファンドを比較してみると、Bファンドはダウ30が下落をはじめた瞬間にリスク資産を機動的に減らしているのが分かります

2月末から3月初旬にかけては、欧州だけではなく米国にも新型コロナウィルスの影響が拡大していた時期です。

そのため、株価の調整も一時的ではないと判断することはそう困難ではなく、Bファンドはしっかりと対応できていたことが分かります。

一方のAファンドは、2月下旬はもちろん、米国で株価が継続的に下落していた3月初旬にもまだ大量にリスク資産を保有しています。

また、ダウ30は3月23日を底に上昇に転じており、それに合わせる形でBファンドはリスク資産の組入れ比率を高めているのが分かります。

一方でAファンドは、これだけ株式相場が上昇しているのに、リスク資産の組入れ比率は0%のままです。

このように見ると、AファンドとBファンド、どちらのファンドが優れているのかは一目瞭然でしょう。

優劣が付く

新型コロナで再確認した運用会社、ファンドマネージャー選定の重要性

コロナ前までは、Aファンドも非常に優れたリスクコントロール型のバランスファンドであるとされており、雑誌等でもよく取り上げられていました。

しかし、新型コロナウィルスという特異な状況が発生することで、ファンドの真の能力があらわになったといえます。

Aファンドは、誰が見ても明らかに運用に失敗しています

つまり、Aファンドの運用成果が悪いのは、Aファンドを運用している運用会社の投資方針が悪く、その運用会社が選んだファンドマネージャーの能力が低いのと同義です。

ファンド投資をする際には、投資対象だけで選定されている方も多いと思います。

しかし、投資対象だけではなく、運用会社やファンドマネージャーの能力を見極めて投資することが重要であることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。(執筆者:土井 良宣)

《土井 良宣》
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土井 良宣

元日本銀行員で、現在独立系のファイナンシャルプランナーとして活躍しています。一般的なファイナンシャルプランナーと異なり、マクロ経済分析をベースとした運用アドバイスを独立した立場から行っています。また、相続や保険・家計の見直しのご相談も承っております。 寄稿者にメッセージを送る

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