日本では、少子高齢化が進んでおり、人口は年々減少傾向にあります。

国土技術研究センターの調査では、日本の人口は2050年には1億人程度まで減少すると予想されています。

賃貸経営においては、人口の減少はすなわち「お客様である入居者が減る」ということです。

これまでは、高齢者の入居は体調面や事故、孤独死などのトラブルも多いことから、高齢者の入居を敬遠する大家さんも多かったのですが、これからは高齢者の受け入れも検討しないと賃貸経営の維持が難しい時代に入ってきました。

少子高齢化時代の賃貸経営は高齢入居者対策が必須

少子高齢化が進む現状

厚生労働省が平成25年に行った高齢者向け住まいの状況についての報告では、65歳以上の高齢者

・ 2025年には3,657万人(人口全体の30.3%)

・ 2045年にはピークを迎え、3,878万人になる

と言われています。

65歳以上の持家率は平成10年には約78%でしたが、平成20年には約70%と、年々減少傾向にあり、

3割程度が賃貸や老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅などを利用しています。

また、出生数は2018年には91万人と100万人を割り込み、2019年には86万人と大幅に減少しており今後ますます少子高齢化は進みます

日本の人口は、2019年5月1日現在では1億2,618万人ですが、2050年には1億人程度に減少します。

こういった状況下で賃貸経営を維持していくためには、

これまでのように高齢者の入居を拒んでいると、賃貸経営が難しくなってくるということです。

入居者が決まらず空室が長引く場合は、高齢者の受け入れも検討する必要があります。

アパートの空室

高齢者を入居させるリスク

高齢者の入居が敬遠されてきた理由は、やはりリスクの高さです。

特に身寄りのない場合や、身寄りはあっても遠方にしかいない高齢者の場合、ケガや病気で動けなくなったり、最悪の場合は孤独死ということもあります。

金銭面では年金収入のみといったケースも多く、保証人がいないとなかなか受け入れが難しいのが現状です。

高齢者の受け入れにはリスクはありますが、賃貸経営で考えると、

・ 1度入居が決まれば長期で住んでもらえる

・ 年金など一定の収入もある

などメリットもあります。

そのため、いかにリスクを減らして高齢者を受け入れるかが重要になります。

高齢者を受け入れる際の注意点

高齢者を受け入れる際に注意したい点は3つあります。

1. 近所に家族や親せきがいるか

1番良いのは、近所に連絡の取れる家族や親せきがいることです。

万が一トラブルが発生した場合でも、すぐに対応してもらえます。

2. 家賃保証会社が使えるか

高齢者の場合は、一般的な保証会社だと審査に通らないケースが多いので、一般財団法人高齢者住宅財団が行っている居住支援サービスである家賃債務保証制度などが利用できるか、調べておく必要があります。

家賃債務保証制度

3. リフォームなどの対策をする必要があるか

高齢者の場合は移動の際につまずくことが多いので、室内はできるだけバリアフリーに対応しておく必要があります。

バリアフリーのリフォーム費用については、国土交通省が高齢者の住居提供を促すために創設した住宅セーフティネット制度を使えばリフォーム費用の補助を受けることができます。

セーフティネット住宅

孤独死対策には保険を活用

高齢者の賃貸ニーズの増加に伴い、保険会社からも孤独死対策の保険が発売されています。

孤独死保険には、家主型と入居者型があります。

家主型

家主型は、保険料を家主が払い、基本的には1戸室あたりの契約ですが、アパートの場合だと1棟での契約となる場合もあります。

保証内容は、孤独死が起こった場合に、

・ 遺品整理

・ 原状回復費用

・ 家賃下落や空室による損失に対する損害について

です。

入居者型

入居者型の場合は、家賃保証会社や家財保険と一緒に加入できるものが多く、もし亡くなった場合には、遺品整理、原状回復費用が支払われます。

家主ダイレクト

≪画像元:株式会社Casa

保険や国の制度を活用して、時代に合わせた賃貸経営

家主型でも保険料は年間数千円程度なので、高齢者を受け入れる際には活用すべきだと思います。

今後の賃貸経営では、高齢者の受け入れは回避できないと思いますが、リスク対策をしっかりと取っておけば、それ程心配することはないと思います。(執筆者:山口 智也)