海外に移住するとこれまでかけ続けてきた日本の年金はどうなってしまうのかが心配です。

そこで、本記事では、海外に移住する場合にしておくべき「手続き」と「将来もらえる年金額」について説明します。

加入期間を確保

10年以上の加入が必要

公的年金をもらうためには、最低10年以上の加入期間が必要です。

そのため、海外に移住する場合、最低でも10年の加入期間を満たさなければ将来年金はもらえません。

10年の加入期間を満たすには、

1. 国民年金への任意加入

もしくは、

2. 年金加入期間の合算

という制度を利用する方法があります。

1. 国民年金への任意加入

海外に移住して海外転出届を出すと、国民年金の強制加入義務はなくなります。

しかし、海外転出届を出していたとしても、日本国籍を有する20歳以上65歳未満の方であれば国民年金に任意加入をして加入期間を継続することは可能です。

国民年金の任意加入であれば、将来もらえる年金額にも反映されます。

そのため、現在国民年金の加入期間が10年に満たないものの、将来受け取れる年金額を増やしたい方は、国民年金に任意加入しておけばよいということです。

ただし、任意加入の場合には保険料の免除はされないので、保険料は満額納付する必要があります。

また、40年加入しなければ年金を満額受け取れないので、将来年金を満額受け取りたいという方は、40年間任意加入を継続して保険料を納付する必要があります。

任意加入の手続きは、市区役所・町村役場の国民年金担当窓口か年金事務所で行えます。

2. 年金加入期間の合算

合算できる加入期間には、

1. 海外居住期間

2. 居住国の年金加入期間

の2種類があります。

海外居住期間を日本の年金加入期間に合算

10年の加入期間を満たすだけであれば、海外居住期間を年金加入期間に合算できる制度があるので、これの利用が可能です。

この制度は、昭和61年4月1日以降、海外に居住していた期間が年金加入期間としてカウントされるというものです。

海外居住期間については、日本に海外転出届を提出することによって戸籍にその旨の記載がなされるので、これをもって証明でき、特に手続きをする必要はありません。

ただし、注意しなければならないのは、保険料を納めるわけではないので、将来もらえる年金額は増えないということです。

そのため、保険料を支払った期間が10年に満たず、任意加入も希望しないものの「保険料を払ったからには将来少しでも年金を受け取りたい」という場合にこの制度を利用することが考えられます。

居住国の年金加入期間を日本の年金加入期間に合算

海外分を合算してください

日本と社会保障制度の二国間協定を結んでいる国に居住されている場合は、その国の年金制度に加入していた期間を日本の年金加入期間に合算することが可能です。

ただし、この場合も日本に保険料を納めているわけではないので、将来もらえる年金額には反映されません

将来の年金受給見込額

国民年金に任意加入して保険料を支払うかどうかは、将来年金がいくらもらえるのかによっても判断が分かれるところです。

では、将来の年金受給見込額はいくらになるのでしょうか。

国民年金の受給額は、保険料を納付した期間に応じて決まります

そのため、40年間保険料を納付した場合には満額もらえますが、納付した期間が短くなるとその分将来もらえる年金額も減るのです。

令和2年度では、国民年金保険料を40年間納付した場合、1年間で78万1,700円の年金をもらえますので、計算式は次の通りです。

78万1,700円 × 保険料納付期間(月数)/ 480か月

この計算式によれば、もし保険料を納付した期間が10年しかない場合には、1年間で19万5,425円の年金をもらえることになります。

令和2年度の保険料が19万8,480円(毎月納付の場合)なので、

10年間保険料を納付して、10年間年金をもらえれば納付した保険料の分は回収できる

という計算です。

任意加入で受給額を増やす

海外に移住しても加入期間の合算により年金をもらうことは可能ですが、受給額を増やすためには任意加入をする必要があります。

年金の受給額を増やしたいという方は、国民年金の任意加入手続きをとっておきましょう。(執筆者:弁護士 横山 和美)